【第三日最終日】ベトナム ホーチミンシティから、市場視察状況をリアル発信します
目次
ご相談事例
- A社:南アフリカの輸出会社
- B社:香港の輸入会社。ちなみに、D社代表の説明によれば、このB社は「政府系の非常に優良な企業」であり、「絶対に信用できるとC社の台湾人社長が言っている」とのこと。
- C社:台湾企業
- D社:ご相談の日本企業。食品の輸出入を行う商社。
ご相談者は、D社の代表。
内容
以前から面識のあったC社より、次のような話が持ち込まれた。
A社が取り扱う銅を、B社が輸入する取引において、C社が三角貿易の形でそれを取り扱うことになった。三角貿易とは、輸出者(今回は南アフリカ)と輸入者(今回は香港)の間に、第三国(今回は台湾)を介在させて行われる貿易である。資金の流れは、C社からA社に支払い、その後、B社からC社に支払われる形をとり、商品は直接、A社からB社に動くのだという。
C社によれば、A社より前払いを要求されたため、C社が取引銀行にLC(信用状)の発行を依頼したが、取引銀行からLCが下りない。
そこで、C社に代わってD社よりLCを発行してくれれば、C社の利益の半額をD社に渡すという。
このような話を信用してよいと思うか?
典型的な貿易詐欺事例
まず、この事例をD社の代表の方からヒアリングした際の私の感想は、「典型的な貿易詐欺事例」であるということです。
そして、D社の代表の方には、
・この話には絶対に乗らないこと
・この話を持ち込んできたC社の台湾人担当者とは、関係を断つこと
を、アドバイスする方針を立てました。
では、その理由と、この事例がなぜ詐欺案件と考えられるのかを、ご説明してまいりましょう。
この貿易を三角貿易にする必要性は全くない
まず、この相談をD社の代表から受けたとき、最初に感じたのは、
「なぜ、この貿易を三角貿易にする必要があるのか?」
という疑問です。
この貿易は、そもそも、南アフリカのA社から香港のB社が直接輸入すればよいだけであり、台湾のC社を経由しなければならない理由が全く存在しません。
D社の代表の話では、B社は「政府系の非常に優良な企業」であるということなので、B社が取引銀行に依頼してLCを発行し、それがA社の取引銀行に送られれば、信用状による貿易は問題なく成立し、A社に対して先払いをする必要はなくなります。
したがって、そもそもC社が介在する必要性も理由も全くありませんし、C社がD社にLCの発行を依頼する必要もありません。
D社の取引銀行からLCは下りない
では、100歩譲って、この案件においてC社とB社が、同じ中華系企業として強いコネクションを持っており、C社に利益を落とす目的でB社が三角貿易の形態をとっていると仮定しましょう。
そうなると、C社は自社の与信で、取引銀行からLCを取得しなければなりません。仮にC社の与信が不十分で取得できないとしても、D社の取引銀行が、C社に代わってLCを発行するようなことは考えにくいでしょう。
D社は食品の専門商社です。そのD社が突然、南アフリカから香港へ向かう銅の貿易を行うとして、その取引を保証するLCの発行を取引銀行に依頼しても、銀行が応じる可能性は極めて低いと考えられます。
D社にLCが下りなかった後に、C社は何を要求してくるか?
では、LCが発行されるはずのない取引を、C社はなぜD社に依頼したのでしょうか?
私の経験では、この点こそが、C社の詐欺の狙いだったのではないかと直感的に感じています。
D社が取引銀行に本件のLC発行を申し入れ、それを断られたという負い目につけ込み、C社は次の手に出てくる可能性が高いのです。
C社は、
「D社を信用し、D社がLCを出すことを前提に、A社が輸出の手続きに入ってしまった」
と言い出し、D社に対して、
「先払いの形で、貿易代金の一部だけでも立て替えてもらえないか。そうすれば、A社はすぐに商品を発送し、その商品がB社に届き次第、B社から代金がC社に支払われるので、D社にはすぐに立替金の返済と謝礼を支払う。」
といった話を持ち掛けてくると考えられます。
・B社は政府系の企業であり、与信は全く問題ない
・ただし、大企業なので代金の先払いができない。その立替えをしてくれるだけで、C社には大きな謝礼が入る。つまり、不労所得が入る
このような話をしてくると思われます。
実態は、A社とB社との銅の貿易の話など存在しない
私の経験では、この手の話には、ほとんど実態がありません。つまり、C社がD社に持ち掛けた、A社とB社との銅の貿易の話など存在しないと見たほうがよいでしょう。
この話は、おそらく、D社に前払いをさせ、その費用をだまし取る貿易詐欺の手口です。
貿易の実務を負担せずに、濡れ手で粟のような不労所得を得たいという願望を持っている会社経営者が、まんまとだまされてしまうケースです。
D社の代表は、冷静に判断する前に私を頼って相談し、踏みとどまったため、だまされることはありませんでした。しかし、中には「うまい話」だと勘違いしてだまされる人もいるでしょう。
D社は、即刻、C社と関係を断絶するべき、とアドバイス
ただ、D社の社長は、私の「このような話を持ち掛けてくるC社の社長とは、今後、取引関係や付き合いを断つべきだ」というアドバイスには、従わなかったようです。
どうやら、C社の社長とD社の社長は長い付き合いだったようで、D社の社長は、
「おそらく、C社は、A社かB社にだまされているのだと思います。」
と、私に言っていました。
詐欺師やマルチ商法の仕掛け人というのは、このC社の社長のように、「他人を信じさせる」ことにかけては、非常に巧みな能力を持っているものです。
おそらく、D社の社長は今後もC社との付き合いを続け、いつか、より巧妙な手口でだまされるのではないかと、私は感じました。
そのようなことがないように、D社の社長が早い段階で気づくことを、私は祈っています。
グローバルビジネスには大きなポテンシャルがあります。一方で、いったんだまされてしまうと、国境を越えた取引では法的手段で相手を訴えることが難しい場合も少なくありません。海外取引には、国内取引のように日本の商習慣や制度だけでは守りきれないリスクが存在します。
海外販路開拓、輸出入取引、三角貿易、LC取引などには、大きなビジネスチャンスがある反面、危ない話も数多くあります。大きなポテンシャルを追っていくのと同時に、自分の身は自分で守る知恵が必要になるのが、グローバルビジネスなのです。
海外企業との取引、三角貿易、LC取引、前払い要求などに少しでも不安を感じた場合は、契約や送金を進める前に、専門家に相談することをおすすめします。貿易詐欺は、事前に違和感を見抜けるかどうかで、損失を防げる可能性が大きく変わります。
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