忙しいのに儲からないのはなぜ?中小企業の利益が残らない7つの原因と改善策

松本尚典

松本尚典

テーマ:売上あげる 売れる化 コツ

御社が、次のような状態に一つでも当てはまるなら、売上ではなく「利益構造」を見直す時期かもしれません。

・売上はあるのに、手元に資金が残らない
・毎日忙しいのに、その忙しさが利益に結び付いていない
・経営者自身が現場で動き続けないと、会社が回らない
・原材料費や人件費の上昇を価格に転嫁できない
・値上げをしたいが、顧客離れが怖くて実行できない
・人件費や固定費が増え、売上が伸びても利益が増えない
・どの商品・サービスが本当に利益を生んでいるのか分からない
・頑張って売上を伸ばしても、決算書を見ると利益が残っていない
・利益は出ているのに、設備投資や人材投資へ回す資金がない
・利益が出ない原因が、営業不足なのか、価格なのか、コストなのか分からない


決算書を見て、「なぜこんなに忙しいのに、儲からないのか?」と思っていませんか?


「売上はある。」

「仕事もある。」

「社員も自分も、毎日忙しく働いている。」

それなのに決算書を見ると、

「これだけ働いて、利益はこれだけなのか?」

と感じる。

このような状態にある中小企業は、決して珍しくありません。

中小企業のオーナー経営者は、

営業。

顧客対応。

社員管理。

採用。

仕入。

資金繰り。

商品開発。

クレーム対応。

まで、自ら担当していることがあります。

毎日忙しいため、

「これだけ仕事があるのだから、会社も儲かっているはずだ」

という感覚になりやすい。

しかし、

「忙しいこと」

と、

「会社が利益を生み出していること」

は、まったく別です。


むしろ、

忙しい。

人が足りない。

残業が多い。

社長も現場から抜けられない。

それなのに利益が少ない。

という状態は、

「仕事量は多いが、その仕事を利益へ変換する仕組みが弱い」

可能性があります。

売上が増えても、利益が増えるとは限らない


まず、経営者が押さえておきたい基本があります。

売上高

-変動費

=粗利益・限界利益に相当する利益

そこから

-固定費

=営業利益


という大きな構造です。

例えば、

売上1億円。

粗利益率30%。

なら、粗利益は3000万円です。

そこから、

人件費。

家賃。

システム。

広告費。

車両費。

管理費。

その他の固定費。

として2800万円使えば、

残る営業利益は200万円です。

一方、

売上8000万円でも、

粗利益率50%で4000万円の粗利益があり、

固定費が2500万円なら、

営業利益は1500万円です。

つまり、

会社の強さは、売上高だけでは判断できません。

重要なのは、

いくら売ったのか。

ではなく、

「売った結果、いくら会社に残ったのか」

です。

「利益が出ない」と「おカネが残らない」は、同じではない


ここも非常に重要です。

経営者が、

「利益が出ない」

と言うとき、

実際には、

「利益は出ているが、現金が残らない」

というケースもあります。

利益とキャッシュは違います。

例えば、

売掛金が増える。

在庫が増える。

設備投資をする。

借入金を返済する。

税金を支払う。

といったことによって、会計上利益が出ていても、手元資金が減ることがあります。

反対に、借入を行えば、利益が出ていなくても一時的に現金は増えます。

したがって、

「儲からない」

という問題を分析するときには、

利益の問題なのか。

キャッシュの問題なのか。

両方なのか。

を最初に分けて考える必要があります。


中小企業で利益が残らない7つの原因


僕が中小企業の経営を見ていると、

「忙しいのに儲からない会社」

には、いくつか典型的な原因があります。

① 粗利益率が低すぎる


第一は、

売っても十分な粗利益が残らない構造です。

例えば、

100万円売っても10万円しか粗利益が残らない事業

と、

100万円売れば60万円の粗利益が残る事業

では、同じ売上100万円でも意味が違います。

売上だけを追いかける経営では、

「今月も前年を超えた」

という数字だけを見てしまいがちです。

しかし、

売上が10%増えても、

仕入、人件費、外注費などが15%増えていれば、

利益は減ることがあります。

まず経営者が確認すべきなのは、

商品・サービスごとの粗利益率です。

② 値上げができていない


原材料費。

人件費。

物流費。

外注費。

光熱費。

などが上がっているのに、販売価格を据え置けば、粗利益率は徐々に低下します。

しかし、多くの経営者は、

「値上げすると顧客が離れる」

と考え、価格改定を先送りします。

もちろん、安易な値上げは危険です。

しかし、

コストが上昇しているのに価格だけを維持することも、経営上の意思決定です。

そして、その負担を会社自身が引き受け続けることになります。

値上げを考えるときには、

競合価格。

顧客に提供している価値。

需要の価格感応度。

値上げした場合の販売数量。

値上げしない場合の利益減少。

を比較します。

重要なのは、

「値上げするか、しないか」

ではなく、

「どの価格なら顧客価値と利益を両立できるか」

を考えることです。


③ 利益の出る商品と、利益の出ない商品を区別していない


売上が大きい商品が、会社にとって最もよい商品とは限りません。

例えば、

商品A
売上3000万円
粗利益300万円。

商品B
売上1500万円
粗利益750万円。

なら、

売上規模ではAが大きい。

しかし、会社へ利益を残しているのはBです。

それなのに、

「Aは売上が大きいから主力商品だ」

と思い込み、

営業。

広告。

社員。

在庫。

をAへ集中している会社があります。

これでは、忙しくなっても利益は増えません。

商品別。

サービス別。

顧客別。

営業担当者別。

事業別。

に、

売上だけではなく粗利益を見ます。

④ 固定費が、会社の成長以上に膨らんでいる


会社が成長すると、

社員。

オフィス。

車両。

システム。

管理部門。

などが増えていきます。

問題は、

売上や粗利益より先に固定費が増えてしまうこと

です。

例えば、人を採用した結果、

売上は500万円増えた。

しかし年間人件費は700万円増えた。

のであれば、少なくとも短期的には会社の利益を圧迫します。

もちろん、採用は将来への投資でもあります。

したがって、

採用しない方がよい

という話ではありません。

重要なのは、

その固定費を増やすことで、

いつまでに。

どれだけの粗利益を。

どうやって増やすのか。

を事前に設計することです。


⑤ 社長自身の時間が、低付加価値業務に使われている


中小企業では、社長自身が会社の最も高価な経営資源である場合があります。

その社長が、

書類作成。

日程調整。

単純な確認作業。

細かな発注。

現場作業。

などに一日の大部分を使っている。

すると、

商品開発。

営業戦略。

採用。

幹部育成。

重要顧客との関係。

新規事業。

資金調達。

といった、社長にしかできない高付加価値業務へ時間を使えません。

「社長が一番忙しい会社」が、「社長を最も有効に使っている会社」とは限りません。

年商1億円、その先へ進むほど、

社長自身が何をするか

ではなく、

「社長が何をしないか」

を決めることが重要になります。

⑥ 業務量は多いが、生産性が低い


「忙しい」という言葉は、生産性の高さを意味しません。

例えば、

同じ資料を複数回入力する。

承認に何日もかかる。

顧客ごとに毎回ゼロから資料を作る。

社員が同じ質問を何度も社長へする。

紙とExcelとシステムが混在している。

会議が多い。

こうした状態では、

社員全員が忙しく働いていても、顧客価値を生まない作業へ大量の時間を使っている可能性があります。

そこで、

業務をやめる。

業務をまとめる。

標準化する。

外注する。

システム化する。

AIで支援する。

権限委譲する。

という改善を行います。

生産性向上とは、

社員をもっと忙しく働かせることではありません。

同じ時間・人員・資金から、より大きな付加価値を生み出すことです。


⑦ 利益を「結果」としてしか見ていない


もう一つ重要なのが、

利益目標を決めず、

売上だけを計画しているケースです。

例えば、

「来期は年商2億円を目指す」

という目標はある。

しかし、

粗利益率はいくらにするのか。

営業利益はいくら必要なのか。

何人採用できるのか。

どれだけ広告へ投資できるのか。

何か月分のキャッシュを残すのか。

が決まっていない。

これでは、

売上2億円を達成したものの、

「忙しくなっただけだった」

ということが起こります。

利益は、決算の結果として初めて確認する数字ではありません。

経営計画の段階で、あらかじめ作りにいく数字です。


なぜ企業には利益が必要なのか?


利益というと、

「社長や株主が儲けるためのおカネ」

というイメージを持つ方がいるかもしれません。

しかし、企業経営において利益にはもっと重要な役割があります。

利益を積み上げることで、

財務基盤を強くする。

社員の給与を上げる。

人材を採用する。

設備へ投資する。

マーケティングへ投資する。

システムへ投資する。

新商品を開発する。

新規事業を始める。

海外へ進出する。

不測の事態に備える。

といったことが可能になります。

会計上の利益と現金は同じではありませんが、

利益を継続的に生み出せない企業は、長期的に投資余力と財務余力を作ることが難しくなります。

だからこそ、

利益を出すことは、単なる成果ではありません。

会社の未来へ投資するための条件です。

利益改善は、「経費削減」だけではない


利益を改善しようとすると、

まず経費削減を考える会社があります。

もちろん、無駄な経費は削減すべきです。

しかし、

利益改善=経費削減

ではありません。

利益を増やす方法には、

売上を増やす。

価格を上げる。

粗利益率を上げる。

利益率の高い商品へ販売を集中する。

仕入・外注条件を改善する。

業務生産性を高める。

固定費を最適化する。

顧客当たり売上を増やす。

継続率を上げる。

不採算商品・不採算顧客から撤退する。


などがあります。

重要なのは、

「経費を削ればよい」

でも、

「売上を増やせばよい」

でもありません。

自社の利益を最も大きく圧迫しているボトルネックがどこなのかを見つけ、そこへ経営資源を集中することです。

利益構造を分析し、把握する


まず必要なのは、

「なぜ儲からないのか」

を数字で分解することです。

例えば、

事業別売上。

商品別売上。

商品別粗利益。

顧客別粗利益。

固定費。

変動費。

人件費。

一人当たり売上・粗利益。

広告費。

顧客獲得コスト。

在庫。

売掛金。

キャッシュ。

などを見ます。

さらに、

どこで利益が出ているのか。

どこで利益を失っているのか。

どの業務に時間がかかっているのか。

どの顧客に手間がかかっているのか。

どの商品が社内資源を消費しているのか。

まで確認します。

経営者の感覚と、実際の数字が違うことは珍しくありません。

低生産状態から脱却する


利益が出ない会社では、

「頑張っているのに成果へ変わらない工程」

が存在することがあります。

例えば、

営業担当者が見積作成に時間を使いすぎる。

経営者しか決裁できない。

部署間で同じデータを再入力する。

顧客ごとのカスタマイズが多すぎる。

利益の少ない顧客に、多くの人員を投入する。

といった状態です。

ここでは、

バリューチェーンのどこで顧客価値を生み、

どこで時間・人・おカネを浪費しているのか

を確認します。

忙しい会社を、さらに頑張らせるのではありません。

忙しさそのものを減らしながら、利益を増やす仕組みへ変えていきます。


利益構造を再設計する


分析した後は、利益構造を再設計します。

例えば、

値上げする。

商品構成を変える。

利益率の低いサービスをやめる。

顧客ターゲットを変える。

契約方式を月額型へ変える。

業務を標準化する。

外注する。

AI・システムを使う。

社員配置を変える。

仕入先を見直す。

営業プロセスを変える。

といった方法があります。

ここで重要なのは、

部分的なコスト削減ではなく、ビジネスモデルそのものへ踏み込むことです。

例えば、

価格が安い。



粗利益が少ない。



人材へ投資できない。



社長が現場へ入る。



営業・戦略に時間を使えない。



売上が伸びない。

という悪循環があるなら、

単に残業代を削減するだけでは解決しません。

価格。

商品。

顧客。

組織。

社長の仕事。

までまとめて見直す必要があります。

利益を改善するとき、経営者が確認したい7つの数字


忙しいのに利益が残らないと感じたら、まず次の数字を確認してみてください。

1.売上高

2.粗利益額・粗利益率

3.固定費

4.営業利益

5.商品・事業別の粗利益

6.一人当たり売上・粗利益

7.月末キャッシュと今後の資金繰り


そして、

前年。

予算。

同業他社。

商品別。

顧客別。

で比較します。

数字を見る目的は、

「悪かった」

と確認することではありません。

「どこを変えれば、最も利益が改善するのか」を特定することです。

年商1億円から先では、「社長が頑張って利益を出す会社」から脱却する


年商数千万円程度までであれば、

社長自身が営業する。

社長が現場へ入る。

社長自身がコストを管理する。

ことで利益を出せる場合があります。

しかし、年商1億円、その先へ進むほど、

この経営方法には限界がきます。

会社の利益を、

社長自身の労働量

によって作るのではなく、

商品。

価格。

営業。

業務プロセス。

人材。

組織。

数字管理。

によって生み出す必要があります。

年商5億円の壁を超える会社とは、

「社長がもっと働いたから利益が増えた会社」

ではありません。

「社長が動かなくても、会社の仕組みが利益を生み出せる会社」です。


「忙しいのに儲からない」を、経営構造から変えたいオーナー経営者の方へ


「売上は伸びているのに利益が残らない」

「毎日忙しいが、何が利益を圧迫しているのか分からない」

「値上げすべきか、コストを削るべきか判断できない」

「どの商品を伸ばし、どの商品をやめるべきか整理できていない」

「社員は増えたのに、社長自身がさらに忙しくなっている」

「決算書は見ているが、経営判断へどう使えばよいか分からない」

こうした問題は、

単なるコスト削減だけではなく、

商品。

価格。

顧客。

マーケティング。

組織。

人材。

財務。

業務プロセス。

を経営全体から見直す必要があります。

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