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松本尚典

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松本尚典(まつもとよしのり) / 経営コンサルタント

URVグローバルグループ 

コラム

タックスヘイブンを、今後も日本人が利用し続ける条件

2023年10月9日

テーマ:タックスヘイブン 会社設立 

コラムカテゴリ:ビジネス


1、タックスヘイブンと国際金融センター


タックスヘイブンとは、タックス=租税、ヘイブン=避難所、つまり租税回避地を意味します。よく誤解されていますのが、タックスヘブン=租税天国ではありません。

僕は、ニューヨークの金融系コンサル会社で10年以上仕事をしていました。アメリカでは、大企業や、リッチ・スーパーリッチと言われる高所得資産家を顧客とする、租税回避というコンサルティング分野が成立しています。僕も、アメリカ合衆国ニューヨーク州の公認会計士として、このようなニーズを持つクライアントを抱え、世界の公認会計士ネットワークを駆使して、租税回避の支援なども、クライアント向けに行っておりました。

日本では、公認会計士の多くが、税理士資格を同時保有しているシステムです。日本の税理士は国税当局からの監視監督を受けるため、日本の税理士資格者が租税回避の指導を行うことはできません。日本の税理士の目的は、クライアントに適切な納税を行うための支援実務を行うことにありますから、租税回避指導を行うことは自分の資格のはく奪の危険を伴う行為となります。そのため、日本では、租税回避ということが、なじみがありません。

しかし、アメリカをはじめとする世界では、大企業や、リッチ・スーパーリッチと言われる高所得資産家が、租税回避を行うことは、むしろ、当然のことと意識されています。

そのために利用されるのが、タックスヘイブンと呼ばれるエリアです。そして、国家がタックスヘイブン政策を採用した結果、そこに海外から多大な投資が集まるため、そのエリアが、巨大な国際金融センターとなるのです。

今、日本もようやく政府が投資立国を政策の基本に据えるようになりました。日本の場合、世界への投資国の一つですから、他国から投資を集めるのではなく、自国の資本の投資を他国に逃げないようにする、という政策が重視されています。「個人版超小型タックスヘイブン」政策が、NISAです。

日本の場合、世界の富裕層の資金を投資として集める、という政策は、格差を拡大させ、国民に人気がないため、国内の個人向けのNISAが、大きな投資立国の柱となるのです。

海外のタックスヘイブンは、日本のNISAを、海外の大企業や、リッチ・スーパーリッチ向けに行い、大規模な投資を集めるわけです。

そして、その恩恵を大企業や、リッチ・スーパーリッチが受け、更に、そこに巨額な富の集中が起きているのが、今の世界の潮流なのです。


タックスヘイブンを日本人が使う条件


2、なぜ、タックスヘイブンが世界に存在するのか?


タックスヘイブンは、主権国家と、その競争が生み出す不可避な存在だと僕は思っています。

現在の国家は、歴史的には近代の国民国家の誕生とともに、ヨーロッパに現れたシステムです。もとは、古代ローマの国教となり、絶大な力を持ったカトリック教会に対して、歴史的に世俗の権力を拡大した絶対君主が、自らの対宗教独立性を主張するために確立された、主権という概念で武装した主権国家というシステムに由来します。

主権は、対外的に独立した、域内の絶対的な権威を国家に認める概念です。現代国家においては、国連という1国1票のシステムで対等な地位におかれた国家が、租税という国家財政の基礎となる制度を、対外的に干渉を受けないで決定できる、ということが主権の重要な一面となっています。

途上国が、政治的な安定を果たし、経済成長を目論むとき、最も重要な政策は、アメリカ・欧州・中国、そして日本などの先進国の資本を、いかに自国に引き込むか、ということにあります。途上国が自国産業を育成する場合、不可欠なのが、資本の提供国である先進国の投資マネーなのです。この先進国のマネーは、先進国という極めて高コストな社会と不均衡を是正するために機能する高率な税によって、その成長を抑制されています。

そこで、途上国は、この先進国のマネーに、主権で先進国に干渉を受けない税の優遇という政策を敷きます。先進国のマネーは、途上国の経済成長のポテンシャルと安い税を見据えて、途上国に大きく移動します。この投資マネーによって、途上国は、自国の産業を発展させ、経済成長を爆発させる新興国へと変貌するのです。

もともとは、先進国であったイギリスから独立したアメリカ合衆国が、イギリス資本を吸収して爆発的な発展をしたのを皮切りに、韓国・台湾・香港・シンガポールが、この方法で発展し、そして中国も、この方法で経済大国となりました。

そして、今、世界中のあらゆる途上国が新興国に脱皮するとき、活用するのが、タックスヘイブンの手法なのです。

ですから、タックスヘイブンは、世界から国家間の資本を奪い合う競争がなくならない限り、なくならない「必要悪」の仕組みなのです。

3、財政収入をめぐる主権国家間の暗闘 ~先進国vs新興国~


しかし、タックスヘイブンは、先進国の莫大な財政を支える税から、富裕層や大企業を逃れさせる仕組みです。くわえて、先進国の平和に不可欠な格差の是正という政策に、タックスヘイブンは逆行します。大企業や富裕層は、その利益への課税を逃れ、富の集中が進み、その結果、格差は更に広がります。

そのため、先進国は、自国の企業や富裕層がタックスヘイブンを使って納税を回避することを防ぐため、新興国に対して、国家間での税の差がなくなるように、圧力をかけます。

財政収入をめぐる主権国家間の、先進国と新興国の利害が対立する事態となります。

例えば、法人税の最低税率を15%に揃える国家間の合意が形成されていますが、このような合意は、上記のような利害対立の中の妥協の産物ということになります。

4、タックスヘイブンは、世界からなくなるのか?


しかし、それでも、税制度の政策的決定は、国家主権の権力の中枢に位置する事項です。先進国といえども、国連で小国でも1票を持っている国の主権を尊重しなければなりません。

先進国とすると、自国の財政へのマイナス面や格差拡大という、負の効果を受けるタックスヘイブンですが、これを自国のチカラで抑えつけることは、かなり難しいわけです。先進国は、G7などの連携のチカラで、タックスヘイブン撲滅への圧力をあけようとし、一方、新興国も、様々な連携をして、これに対抗しているというのが、現在の国際社会の在り方です。

アジアでいれば、現在、最大のタックスヘイブンは、シンガポールです。かつては、香港も、それと並ぶタックスヘイブンでしたが、現在は、中国の主権が及び、自由主義圏の大企業や富裕層が、そこに資産を保有するリスクが大きくなってきましたので、現在は香港から、投資が逃げている状況にあります。

途上国や貧困国が、政治的な安定期に達し、経済的な成長を政策の最重要課題に位置付けると、その国が経済新興国への道を歩み始めるわけです。その段階では、その国には産業が育っておらず、技術もなく、その成長を支える資本もありません。そのため、まず、海外から資本を呼びこむ必要があります。その資本を持っているのが、先進国発の大企業や富裕層ということになりますので、その資本を呼びこむため、資産の安全な運用と税の優遇措置を、政治が保証するということになります。

こうして、海外の資本を呼び込み、その資本のチカラが、産業や技術を向上させ、その国が、急速な経済発展を遂げることになるわけです。

これが、タックスヘイブンの誕生のメカニズムです。したがって、主権国家による世界の秩序が維持され、途上国から新興国へ脱皮をしようとする国がある限り、タックスヘイブンはなくなりません。そして、世界のどこに、これからタックスヘイブンが誕生するのかは、時々で、変わってゆくわけです。

5、税の「目的」と、富裕層としてタックスヘイブンを利用する条件


先進国は、社会保障や防衛・外交や都市インフラ整備や公務員の人件費など、膨大な財政をその維持に必要としています。その財源は、税と国債などによって賄われますが、国債を無制限に増やすことは財政の悪化を意味するため、税を徴収することを強化しなければなりません。

加えて、自由競争に基づく格差が開くと、多数派である中低所得者の政権への不満が増大し、与党や政府の安定が損なわれます。

そのため、税を富裕層や高所得者に厚く負担をさせる累進課税システムが所得税に稼働しています。そのため、個人が高所得になればなるほど、税負担は重くなります。日本の場合、給与所得に対する所得税と住民税をあわせた最高税率は、55%に達します。これに、国民皆保険制度にも伴う厚生年金や健康保険の負担も最高額に達し、更に、消費ごとに消費税が課税されています。こうなってくると、個人で高額の給与所得をえても、実際の可処分所得は非常に小さくなります。

一方で、日本国内でも、法人税率は、国際的な投資競争の観点から、所得税よりも税率が低く抑えられており、仕入れや販管費も広く認められますし、消費税も預かり税の中から支払い税が控除されるため、個人事業よりも格段に法人を設立したほうが、税は抑えられます。

そして、このように節税をして蓄積した内部留保を投資して、海外の現地法人をタックスヘイブンに設立した場合、主に法人税や地方税で、事実上、課税がなくなります。

但し、タックスヘイブンを使うには、条件があります。個人の日本人が、住民登録を日本においたまま、タックスヘイブンの銀行口座をもったり、不動産投資を行っても、現地の税が軽減されますが、日本での課税が行われてしまいます。

日本に住民登録をおいている居住者は、海外に5000万円以上の資産を持っている場合、税務当局への届け出義務があり、届け出れば、日本で、タックスヘイブンで逃れた分の益金に課税をされてしまいます。

海外の銀行口座を日本の居住者が開設するには、パスポートでの本人確認が、現在は、例外なく義務付けられており、日本の国税当局は、日本人の海外口座のほとんどを把握していると言われています。居住者が届け出義務を怠り、日本の税を逃れると、国税調査の対象となり、脱税として、犯罪を犯すことになります。

したがって、個人でタックスヘイブンの税の特典を受けるためには、一定期間、日本の非居住者になる必要性が出てきます。

一方、現地法人の場合で、現地で正常な事業活動を行っていれば、仮に、現地法で資本とプレジデントが外国人であることを認めるタックスヘイブンであれば(その代表例が、シンガポールです)、法人の利益を個人に還元しない限り、タックスヘイブンの恩恵を享受できます。

タックスヘイブンに海外進出を行い、そこで健全な事業を行うことが、日本の居住者がタックスヘイブンの恩恵を受けられる、合法的な方法であるといえます。

6、タックスヘイブンを活用する日本人


したがって、日本人がタックスヘイブンを活用して、その税の恩恵を利用するには、非居住者となって一定の時間の経過を待つか、あるいは、タックスヘイブンの地に会社を設立し、その会社が現地で事業を営んで利益をあげ、ビジネスとしてタックスヘイブンの恩恵を受けるか、のいずれかの方法によることになります。

現に、僕のクライアントの日本企業の経営者の数名は、日本企業の社長を営みつつ、ビザをとって住所を海外に移し、日本の非居住者となられています。

また、日本を離れられない場合、現地での体制を作って、現地法人を設立し、その現地法人で、活発な事業を成功させています。ここで、注意してほしいのが、タックスヘイブン対策税制です。これまで、タックスヘイブンを利用して、租税回避をしようとするヒトが行っていた手段は、そこにペーパーカンパニーを設立し、そこを利用して、個人への課税を回避する方法でした。これが、タックスヘイブン対策税制で、封じ込められました。

今後は、単なるペーパーカンパニーではなく、外国で、しっかりと事業を行い、収益を確保する独立の法人でなければ、タックスヘイブンを使った租税回避はできません。いわば、経営能力がない、単なる金持ちは、日本の税制を回避することができなくなりました。

日本で事業を成功させ、海外進出を行う経営者が、タックスヘイブンに設立した日本企業とは独立した現地企業を設立し、その現地企業が、タックヘイブンで正常な事業を行い、利益をあげる必要があるのです。

このような合法的な手法で、日本という高いコストの国の租税を回避し、海外で、大きな資産を構築して、豊かに暮らしている経営者の方はおられます。

タックスヘイブンを活用する極意は、それを脱税という犯罪的な手法の道具にしてはならないということです。脱税は、本来、納税に義務があるに、それに反して税を逸脱することであり、日本の優秀な国税庁の調査の前に、このような行為は、絶対に逃れることができないと思ってください。

脱税と租税回避は、異なります。租税回避は、各国の税法の仕組みを知り、その中で、合法的に租税を回避する方法を編み出すことです。国税当局は、その力をかけて、このような租税回避の穴を埋めていますが、外国の主権を尊重する趣旨から、そのような穴は、100%埋めることができません。その穴を活用して、合法的に、租税を回避し、利益を富に変える方法を編み出すのです。

7、企業版「経済特区」の仕組みを活用する

タックスヘイブンとは呼ばれませんが、事実上、それと同じ機能を果たすのが、経済特区と呼ばれる制度です。URVグローバルグループも、各国の経済特区の制度を利用して、現地法人を設立して、成功しています。

経済特区は、製造業をはじめとする外資を誘致するため、そのエリアに限定して、その国の法制度や税制を免除する特別エリアです。

先にあげた通り、タックスヘイブン対策税制がスタートし、租税回避は、現地法人での実業を伴った企業を使ってしか、日本の租税を回避できなくなりました。そうすると、単なる租税の回避目的での活動は、日本の居住者である限り、非常に難しくなるわけです。

むしろ、今後は、タックスヘイブンではなく、僕が行っているように、各国の経済特区に事業会社を、日本の企業から投資して設立し、そこでの事業所得に対して、恩恵を受けることを目指すのが、勝ち組に至る正道となるのだと、感じます。

松本尚典の中小企業経営者支援コンサルティングサービス
https://mbp-japan.com/tokyo/yoshinori-matsumoto/service1/5002501/

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