【風俗トラブル】家族や職場に連絡すると言われ請求された人から多い質問10問|実務の観点から回答

若井亮

若井亮

テーマ:風俗トラブル

本記事は2026年11月時点の法令にもとづいて記載しています。刑法の「懲役」「禁錮」は2025年6月1日施行の改正により「拘禁刑」に一本化されたため、本文の法定刑は改正後の表記で示しています。個別の事情によって結論が変わることがあるため、具体的な対応は弁護士にご相談ください。


風俗店の利用後に「払わないなら奥さんに連絡する」「会社に電話する」と告げられた方からは、「家族に知られずに済むなら、言われた額を払ってしまいたい」という声を多く聞きます。反対に、ご自身に思い当たる行為がある方からは「こちらにも非があるのだから、そう言われても仕方がない」と、要求をそのまま受け止めてしまう声も聞かれます。

 インターネット上では「脅されても払う必要はない」「恐喝なので警察へ」といった説明をよく目にします。それ自体は誤りではありませんが、実際の相談では、相手の請求のうちどこまでが話し合いの対象になり、どこからが受け入れる必要のない部分なのか、また家族や職場への連絡をどう防ぐのかという、手前の整理で迷われている方が大半です。

 この記事では、家族や職場への連絡をほのめかされながら金銭を請求された方から、相談の場で実際に多く寄せられる質問を10問取り上げ、実務の観点から回答します。請求直後の具体的な行動の順序や、相手への返信の文面については、それぞれ別の記事に譲ります。

「連絡する」という言葉と請求の性質についての質問


Q1 「家族や職場に連絡する」と言われただけで、犯罪にあたるのですか

家族や勤務先に利用の事実を知らせると告げることは、本人の名誉に対する害悪の告知として、脅迫罪(刑法222条)の対象になり得ます。さらに、その告知を手段として金銭を支払わせようとすれば恐喝罪(刑法249条)、支払いに至らなくても恐喝未遂罪(同法250条)が問題になります。恐喝罪の法定刑は10年以下の拘禁刑です。

 ただし、言葉の文面だけで犯罪かどうかが決まるわけではありません。どのような経緯で、どのような口調・頻度で、どれだけの金額と結びつけて告げられたのかによって評価は変わります。「犯罪になるかどうか」より先に、いつ・誰から・どのような言葉で告げられたかを記録しておくことが、その後のどの手段を選ぶうえでも土台になります。

 請求が恐喝にあたるかの考え方は、「金を払わなければ通報する」と脅されたら|風俗トラブルにおける恐喝罪への対処法でも解説しています。

Q2 本番行為など、自分にも落ち度がある場合でも同じですか

ご自身の行為によって相手に損害が生じている場合、相手がその賠償を求めること自体は正当な権利行使です。しかし、正当な請求であっても、その手段が社会通念上許される範囲を超えれば恐喝罪が成立し得ることは、古くから判例でも示されています(最高裁昭和30年10月14日判決)。

 実務では、「請求の中身」と「請求の手段」を分けて考えます。キャスト本人の損害について話し合う余地があることと、家族や職場への連絡を材料に支払いを迫られることを受け入れる必要があるかは、別の問題です。落ち度があることは、相手の示した金額や条件をそのまま受け入れる理由にはなりません。

 正当な請求と恐喝の境目については、店の請求が恐喝に変わる線引き|正当な権利行使との境界で詳しく解説しています。

Q3 相手は本当に家族や勤務先の連絡先を知っているのでしょうか

知っている場合も、知らない場合もあります。予約時に伝えた電話番号、店舗で提示や撮影を求められた身分証、名刺、財布の中身、SNSのアカウントなどから、氏名・住所・勤務先がたどられることはあり得ます。一方で、実際には情報を持っていないまま、心理的な圧力として「知っている」と告げているケースも見られます。

 どちらであっても、相手に新たな情報を渡さないことが基本です。確かめようとして勤務先や家族構成を自分から話してしまうと、それが次の材料になりかねません。予約時の情報がどのように使われるかは、【風俗トラブル】予約時に伝えた本名・電話番号はどう使われるのかで解説しています。

支払いと相手とのやり取りについての質問


Q4 言われた額を払えば、家族や職場に連絡されずに終わりますか

支払えば必ず終わるとは言い切れません。家族や職場への連絡を材料に支払いを受けた相手は、同じ材料で再び請求できると考えることがあります。実際の相談でも、一度支払った後に「別の費用がある」「店の分が残っている」として追加の請求を受けたという例は珍しくありません。

 仮に支払う場合でも、支払いの前に、これで全て解決したことを確認する清算条項、口外しないことの約束、今後接触しないことの約束などを書面で取り交わしておくことが重要です。金額の交渉よりも、「これで終わる」ことをどう書面に残すかが、家族や職場を守るうえでは大きな意味を持ちます。

 支払った後に再請求を受けた事例としては、【解決事例】デリヘルの本番行為で「罰金」50万円を支払った後に再請求|交渉で支払済みの50万円が全額返金された事例があります。

Q5 「今日中に払わないと連絡する」と期限を切られました。どうすればよいですか

短い期限は、考える時間や相談する時間を与えないための手段として使われることが少なくありません。その場で支払いや借用書・念書への署名に応じる前に、一度持ち帰って検討する姿勢を保つことが大切です。

 相手に返事をする場合も、「検討して改めて連絡する」程度にとどめ、金額の承諾や事実関係の認めとなる言葉は避けたほうが安全です。期限が迫っていると感じるときこそ、その日のうちに弁護士へ相談し、窓口を切り替えられるかを確かめる価値があります。請求額が連絡のたびに変わる場合の考え方は、【風俗トラブル】請求額が連絡のたびに増えていく|金額が動く請求への向き合い方で解説しています。

Q6 相手からの電話やメッセージは、無視してもかまいませんか

連絡に応じる法的な義務はありません。ただ、何の反応もしないことで相手が「本人に届かないなら家族や職場へ」と動き出すおそれもあり、無視が常に最善とは限りません。

 実務では、本人はやり取りを最小限にとどめつつ、届いたメッセージや着信履歴、通話の録音は消さずに保存しておくことをおすすめしています。着信拒否やブロックをする場合も、その前に画面の記録を残しておくと、後で恐喝や脅迫の経緯を示す資料になります。交渉を自分で続けるか弁護士に任せるかの判断材料は、【風俗トラブル】店との交渉を自分でするか弁護士に任せるか|分かれ目になる5つの事情にまとめています。

実際に連絡されたとき・警察への相談についての質問


Q7 実際に家族や勤務先へ連絡が入ってしまったら、どうなりますか

家族や勤務先に利用の事実を広く伝える行為は、内容や伝え方によって名誉毀損罪(刑法230条)や、民事上の不法行為(民法709条)としてのプライバシー侵害にあたる可能性があります。連絡されたこと自体が、相手に対する責任追及の材料になり得るということです。

 一方で、連絡が入った後は、相手との交渉と並行して、家族や職場への対応も必要になります。家族に対しては、相手の言い分をそのまま認めるのではなく、事実と確認中のことを分けて伝えることが、その後の話し合いを落ち着かせます。家族が先に相手と話してしまった場合の整え方は、【風俗トラブル】家族が店からの電話に出てしまった|家族への説明とその後の交渉で、職場に連絡が及ぶ経路と影響は風俗トラブルが原因の失職・懲戒|会社にバレる典型ルートと防止策で解説しています。

Q8 警察に相談すると、自分の利用の事実まで問題にされませんか

危害を加えると告げられた、自宅や職場の近くで待ち伏せされているなど、身の安全にかかわる場面では、迷わず110番や最寄りの警察署に相談してください。緊急性が高くない段階でも、警察相談専用電話(#9110)で相談することができます。

 ただし、ご自身の行為について相手が被害を訴えている場合には、警察への相談が自分の側の刑事手続と結びつく可能性も考えておく必要があります。どちらの立場で何を相談するのかを事前に整理しておくと、相談の場で不用意な説明をせずに済みます。自分の行為についての刑事上の見通しと、相手の請求手段の問題を一緒に整理できるのは、弁護士に相談する利点の一つです。

弁護士への依頼と、支払ったお金についての質問


Q9 弁護士に依頼すれば、家族や職場に知られずに済みますか

必ず知られずに済むとお約束することはできませんが、知られる可能性を下げる手立ては取れます。弁護士が受任すると、相手方に受任通知を送り、今後の連絡は弁護士に一本化するよう求めます。本人や家族、勤務先への直接の連絡を控えるよう明確に伝えることで、多くの場合、相手の連絡先は弁護士に移ります。

 あわせて、事務所からの郵送物の宛先や連絡方法も、ご家族に知られにくい形でご希望に合わせて調整します。相手が「弁護士を入れたら終わりだ」と告げてくる場合の受け止め方は【風俗トラブル】店から「弁護士を入れたら話は終わりだ」と言われたで、全体の考え方は家族・職場に知られずに風俗トラブルを解決する方法|弁護士が解説で解説しています。

Q10 すでに払ってしまったお金は、取り戻せますか

家族や職場への連絡を告げられて支払った場合、強迫による意思表示として合意を取り消し(民法96条1項)、支払った金銭の返還を求める余地があります。恐喝にあたる行為による支払いであれば、不法行為にもとづく損害賠償(民法709条)として請求することも考えられます。

 もっとも、実際に返還を受けられるかは、相手を特定できるか、支払いの経緯を示す記録が残っているか、相手に支払う資力があるかによって左右されます。振込の直後であれば取れる手段もあるため、早めに相談されることをおすすめします。振込直後の対応は【風俗トラブル】振り込んでしまった直後|振込を止められるか・取り戻せるかで解説しています。

まとめ


  1. 家族や職場に知らせると告げることは、脅迫罪(刑法222条)の対象になり得て、金銭の要求と結びつけば恐喝罪(同法249条)や恐喝未遂罪(同法250条)が問題になる。
  2. 自分に落ち度がある場合も、請求の中身と請求の手段は分けて考え、手段が許される範囲を超えていれば受け入れる必要はない(最高裁昭和30年10月14日判決)。
  3. 支払っても終わるとは限らないため、支払う場合は清算条項・口外禁止・接触禁止を書面に残すことが重要になる。
  4. 期限を切られても、その場での支払いや署名には応じず、記録を残して持ち帰る。
  5. 実際に連絡された場合は、名誉毀損罪(刑法230条)や不法行為(民法709条)としての責任追及の余地がある。
  6. 脅されて支払った金銭は、強迫による取消し(民法96条1項)や損害賠償により返還を求める余地がある。
  7. 弁護士が窓口になることで、家族や職場への直接の連絡を防ぐ手立てを取ることができる。


弁護士法人若井綜合法律事務所では、風俗トラブルに関するご相談を池袋と新橋の事務所でお受けしています。家族や職場への連絡をほのめかされている、期限を切って支払いを求められているなど、急ぎの対応が必要な場面でも、まずは現在の状況をお聞かせください。

ご自身の行為に思い当たる点がある方も、身に覚えのない請求を受けている方も、相手の請求のどこに応じる必要があり、どこに応じる必要がないのかを一緒に整理したうえで、ご家族や職場への影響をできるだけ抑えた進め方をご提案します。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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