【親子問題】子が逮捕されたことを、近所や親戚にどう伝える?
親名義の公営住宅で子と暮らしている、あるいは子の将来の住まいとして公営住宅を考えている。そうしたご家庭から、「親が亡くなった後も、子は同じ部屋に住み続けられるのか」「子が一人で公営住宅に申し込めるのか」というご相談をいただくことがあります。
公営住宅は、民間の賃貸住宅とは仕組みが大きく異なります。親が亡くなれば子が当然に引き継げるものではなく、住み続けられるかどうかは、子の年齢や障害の有無、同居の経緯、収入などによって変わります。本記事では、東京の都営住宅を例に、親亡き後の子の住まいとして公営住宅を使える場面と、親が元気なうちに整えておきたい点を整理します。
本記事は、2026年11月時点で公表されている東京都の都営住宅の制度をもとにしています。区営住宅・市営住宅や他県の公営住宅では基準が異なることがあり、制度が改定されることもあるため、実際の手続の前には管理窓口で最新の要件をご確認ください。
公営住宅の「住む権利」は相続されない
民間の賃貸住宅では、借主が亡くなると賃借権は相続の対象となり、相続人が借主の立場を引き継ぐのが原則です。これに対し公営住宅は、住宅に困っている収入の少ない世帯に低い家賃で貸すための住宅であり、入居者は公募と選考を経て決まります。
最高裁判所は、公営住宅の入居者が亡くなった場合でも、その相続人が公営住宅を使用する権利を当然に引き継ぐものではないと判断しています(最高裁平成2年10月18日判決)。入居を待っているほかの世帯との公平を保つ必要があるためです。
一方で、公営住宅法は、入居者が亡くなった時点で同居していた方が、事業主体(都営住宅であれば東京都)の承認を受けて引き続き住むことができる仕組みを置いています(公営住宅法27条6項)。これが「使用承継」と呼ばれる手続です。つまり、子が住み続けられるかどうかは、相続ではなく、承継の承認を受けられるかどうかで決まります。
親亡き後に公営住宅を使う2つの道
親亡き後の子の住まいとして公営住宅を考える場合、道は大きく2つに分かれます。
| 道 | 主に対象となる子 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 使用承継 | 親名義の公営住宅で親と同居している子 | 配偶者以外の承継が例外として認められる条件にあたるか、同居の経緯、収入 |
| 新たな申込み | 親と別居している子、承継が認められなかった子 | 単身で申し込める区分にあたるか、都内での居住年数、所得、抽選 |
親と離れて暮らしている子は、親名義の部屋を引き継ぐことは原則としてできません。同居していない子は、その住宅の入居者としての審査を経ていないためです。この場合は、子自身が入居者として申し込む道を検討することになります。
親名義の部屋に住み続ける|使用承継
都営住宅では原則として配偶者のみ
都営住宅の使用承継は、原則として名義人の配偶者またはパートナーシップ関係の相手方に限られています。かつては子などの一親等の親族も承継できましたが、国が2005年の通知「公営住宅管理の適正な執行について」で承継の範囲を絞る方針を示し、東京都も2007年8月から原則として配偶者のみとする運用に改めました。
そのため、親子二人で暮らしていて親が亡くなった場合、子は原則として承継の対象になりません。ただし、次の例外にあたる場合は、名義人の三親等内の親族まで承継が認められます。
子が例外として承継できる場合
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 高齢者 | 承継しようとする子が60歳以上であること(同居者に18歳以上60歳未満の方がいる場合は、世帯の収入が入居収入基準以下であること) |
| 障害者 | 承継しようとする子または同居者が、愛の手帳1度から4度、精神障害者保健福祉手帳1級から3級、身体障害者手帳1級から3級のいずれかに該当するか、所得税法上の特別障害者にあたること |
| 病弱者 | 承継しようとする子または同居者に、病気のためその住宅に住み続けなければ生活の維持が難しいと認められる方がいること(難病患者、原爆被爆者、公害病認定患者のほか、医師の診断書をもとに居住の継続が必要と判断される場合など) |
親亡き後のご相談で多いのは、障害のある子と暮らすご家庭や、親が80代、子が50代から60代になっているご家庭です。子がすでに60歳を超えていれば高齢者の例外にあたる可能性があり、障害のある子の場合は、手帳を持っているかどうかが分かれ目になることがあります。手帳の取得は本人の生活全体に関わる判断なので、承継のためだけに考えるものではありませんが、該当しうるのに手続をしていない場合は、主治医や支援機関に相談しておく意味があります。
例外にあたっても必要な条件
- 世帯の収入の合計が入居収入基準以下であること(高齢者・障害者等の世帯は認定月額21万4千円)。
- 名義人の入居時から引き続き同居しているか、正式な同居許可を受けてから1年以上経過していること。
- 使用料(家賃)を3か月以上滞納していないこと。
- 承継しようとする子が成人していること。
- 承継しようとする子と同居者が持ち家を持っていないこと。
- 承継しようとする子と同居者が暴力団員でないこと。
見落とされやすいのが同居の手続です。親の介護などのために子が後から実家の都営住宅に戻ってきた場合、管理窓口で同居の許可を受けていなければ、何年一緒に暮らしていても正式な同居とは扱われません。親が元気なうちに同居許可を受けておくかどうかで、承継の可否が分かれることがあります。
申請の期限と、許可されなかった場合
名義人が亡くなったときは、住宅世帯員変更届と住宅使用承継申請書を管理窓口(JKK東京の窓口センター)に提出し、東京都の許可を受ける必要があります。許可を受けないまま6か月を過ぎると、その翌月から、近隣の民間賃貸住宅並みの家賃(近傍同種の住宅の家賃相当額)を負担することになります。
承継が認められなかった場合は、部屋を明け渡すことになります。家賃を払い続けていれば住み続けられるというものではなく、明渡しに応じないまま時間が経つと、明渡しを求める訴訟を起こされることもあります。一方で、退去までの時期や転居先の探し方については、事情を伝えて窓口と相談できる場合もあります。結論を一人で抱え込まず、早めに窓口に事情を伝えることが大切です。
子が自分で申し込む|単身者向け住宅
親と別居している子や、承継が認められなかった子は、子自身が入居者として都営住宅に申し込むことを検討します。単身での申込みには、家族向けとは別に、主に次のような条件があります。
- 申込み時点で都内に引き続き3年以上住んでいること。
- 60歳以上、身体障害者手帳1級から4級、精神障害者保健福祉手帳1級から3級、愛の手帳1度から4度、生活保護の受給など、単身で申し込める区分にあたること。
- 所得が定められた基準内であること。
- 住宅に困っていること(持ち家がある場合などは対象外)。
気をつけたいのは、単身者向け住宅は申し込めばすぐに入れるものではなく、募集の時期が限られ、抽選で入居者が決まる点です。親が亡くなってから申し込んでも、すぐに部屋が決まるとは限りません。障害のある方などには当選率が高くなる優遇抽せんの制度もありますが、それでも時間がかかることを前提に考えておく必要があります。
また、単身での公営住宅への入居は、原則として身の回りのことを自分でできる方を想定しています。常に介護が必要で、自宅で介護を受けることが難しい場合には、単身での入居が認められないこともあります。
もう一つの注意点が、相続との関係です。親が持ち家に住んでいて、その家を子が相続すると、子は持ち家がある状態になり、公営住宅の申込みの対象から外れることがあります。親の家を子に残すのか、売却して生活資金に回すのか、公営住宅を前提にするのかは、まとめて検討しておきたい点です。
公営住宅が難しいときに考えられる住まい
公営住宅は家賃の負担を抑えられる一方で、条件や抽選があり、思い通りにならないこともあります。ほかの選択肢と並べて検討しておくと、親亡き後の計画が一つの制度に頼りきりにならずに済みます。
- 障害のある方が支援を受けながら共同で暮らすグループホーム(共同生活援助)。
- 生活保護の住宅扶助を使って民間の賃貸住宅に住む方法。
- 保証会社や自治体の居住支援の窓口を利用して民間の賃貸住宅を借りる方法。
- 子が高齢であれば、高齢者向けの住宅や施設。
どの住まいを選ぶとしても、家賃をどう払い続けるかという問題は残ります。収入が年金や生活保護に限られる場合には、そのお金を誰が管理するのかも合わせて考えておく必要があります。生活保護と世帯の考え方については、【親子問題】ひきこもりの子に生活保護は使えるのか|世帯分離の考え方で解説しています。
親が元気なうちに整えておきたいこと
- 今住んでいる公営住宅の承継の基準を、管理窓口で確認しておくこと。
- 子が後から同居した場合は、同居の許可を受けているかを確かめること。
- 子が承継の例外や単身申込みの区分にあたりうるか(年齢・手帳・病状)を整理しておくこと。
- 家賃の滞納をつくらないこと。
- 持ち家や預貯金を子にどう残すかを、公営住宅の要件と合わせて検討すること。
- 子の生活費や手続を誰が支えるのかを、遺言や任意後見、死後事務委任なども含めて考えておくこと。
とくに最後の点は、住まいを確保するだけでは解決しないことがあります。親が亡くなった後には、承継の申請、収入の申告、家賃の支払いなど、子自身が窓口とやり取りする場面が続きます。子が一人で手続を進めるのが難しい場合に、誰がそれを担うのかを決めておくことが、住まいを保つことにもつながります。親亡き後の生活設計の全体像については、【親子問題】親亡き後問題|子の生活をどう設計しておくかで整理しています。
退去が必要になった場合に起きること
承継が認められずに退去することになった場合や、別居している子が親の部屋を片付けることになった場合、相続人である子には、部屋に残された家財の整理や、退去時の原状回復費用、未払いの家賃などの負担が問題になることがあります。これらは親の債務として、相続の対象となりうるためです。
親に目立った財産がなく、負担のほうが大きい場合には、相続放棄を検討することもあります。ただし、相続放棄は原則として、自分が相続人となったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があり、それまでに親の財産を処分すると、相続を承認したものとみなされるおそれがあります。家財の扱いを決める前に、どこまで手をつけてよいかを確認しておくことが大切です。
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弁護士とカウンセラーが関われること
公営住宅の承継や申込みは、管理窓口での手続が中心です。それでも、親子の問題を抱えるご家庭では、子が窓口とのやり取りを拒んだり、親子の関係がこじれて話し合いができなかったりして、手続が進まないことがあります。
当事務所では、親の代理人として、親亡き後を見すえた財産の残し方の検討や、子との話し合いの窓口を担っています。あわせて、自立支援カウンセラーとチームを組み、子の住まい探しや生活保護などの申請、日々の金銭管理まで、生活の基盤づくりを支える取組みも行っています。サービスの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
公営住宅を使えるかどうかは制度の基準で決まりますが、使える場合も使えない場合も、その後の生活をどう組み立てるかはご家庭ごとに異なります。同居の許可や手帳の有無、家の残し方など、親が元気なうちに確かめておける点は少なくありません。気になる点があれば、早めに整理しておくことをおすすめします。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
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