【親子問題】子が親の車で事故を起こした|親名義の車と賠償
子の腕に傷が増えている、何度も同じことが起きている。そうした様子に気づいたとき、親としては驚きや不安、自分を責める気持ちが一度に押し寄せ、誰に何を話せばよいのか分からなくなることが少なくありません。自傷行為は本人の心身に関わる問題であると同時に、家族だけで抱え続けると親の側も疲れ切ってしまいやすい問題です。この記事では、子の自傷行為が続いているときに親が相談できる窓口を役割ごとに整理し、子の年齢による違いや、金銭の要求・暴力など別の問題が重なっている場合の考え方を解説します。
この記事は一般的な情報の整理を目的としたもので、医療上の判断に代わるものではありません。けがの程度が大きい、意識がはっきりしないなど命に関わるおそれがある場合は、ためらわずに119番に連絡してください。
自傷行為に気づいたとき、親が最初に確かめたいこと
最初に確かめたいのは、いま医療につなぐ必要がある状態かどうかです。出血が止まらない、意識がもうろうとしている、処方薬などを多く飲んだ様子があるといった場合は、相談窓口を探すより先に救急の対応を優先します。夜間や休日で受診先に迷うときは、各地の救急相談(東京都であれば「#7119」)で受診の目安を尋ねることもできます。
すぐに救急対応が必要な状態でなければ、次は落ち着いて本人と向き合う時間をつくることになります。自傷行為は、言葉にしにくいつらさを抱えているサインであることがあると説明されています。強く叱る、問い詰める、「もうしないと約束しなさい」と迫るといった関わりは、かえって本人が隠すようになるきっかけになることがあります。まずは「気づいている」「心配している」ことを短く伝え、手当てが必要な傷であれば手当てを手伝う、という程度にとどめるほうが、その後の相談につなげやすいと考えられます。
家の中から刃物などをすべて取り除く、部屋や持ち物を常に確認するといった対応は、親の不安からは自然な発想です。ただ、家族だけの判断で監視を強めると、本人との関係がこじれ、相談の糸口がなくなることもあります。どこまで見守り、どこから専門家に任せるかは、次に挙げる窓口で一緒に考えてもらうのが現実的です。
相談先は役割ごとに分けて考える
子の自傷行為について親が相談できる先は一つではありません。それぞれ得意とする役割が違うため、「どこが一番よいか」ではなく「いま何を相談したいか」で選ぶと迷いにくくなります。
| 相談先 | 主な役割 | 親が相談するときのポイント |
|---|---|---|
| 医療機関(精神科・心療内科・児童精神科) | 診察・治療、入院の要否の判断 | 本人が来られない段階でも、家族だけの相談を受け付けているところがある |
| 保健所・精神保健福祉センター | 地域の精神保健の相談、医療機関や支援先の紹介 | 費用の心配をせずに、受診前の段階から相談できる |
| 電話・SNSの相談窓口 | つらい気持ちの受け止め、相談先の案内 | 夜間や休日にも利用できる窓口がある |
| 学校・児童相談所(子が未成年の場合) | 学校生活での見守り、家庭への支援 | スクールカウンセラーや養護教諭と情報を共有できる |
| 弁護士 | 金銭の要求・暴力・外部とのトラブルへの法的対応 | 自傷そのものではなく、重なっている問題の整理を担う |
医療機関
自傷行為が繰り返されている場合、最終的には医療の関わりが中心になることが多いといえます。ただ、本人が受診を嫌がることも珍しくありません。その場合でも、医療機関によっては家族だけの相談(家族相談)を受け付けているところがあり、本人の様子や家庭での状況を伝えて、受診につなぐ方法を一緒に考えてもらうことができます。子が18歳未満であれば、児童精神科や思春期外来も選択肢になります。精神疾患との関係が気になる場合は、【親子問題】ひきこもりと精神疾患の切り分け|医療につなぐ判断もあわせてご覧ください。
保健所・精神保健福祉センター
どの医療機関に相談すればよいか分からない段階では、地域の保健所(保健センター)や、都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センターが入口になります。電話をかけた地域の公的な相談機関につながる「こころの健康相談統一ダイヤル」(0570-064-556)も用意されています。受付時間は地域によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
電話・SNSの相談窓口
厚生労働省の特設サイト「まもろうよ こころ」では、電話やSNSで相談できる窓口がまとめて紹介されています。たとえば「#いのちSOS」(0120-061-338)や「よりそいホットライン」(0120-279-338)は、24時間対応の窓口として案内されています。子が未成年であれば、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)もあります。これらは本人だけでなく、家族が自分の不安を話す先としても使うことができ、親が本人に「こういう窓口もある」と伝える材料にもなります。
学校・児童相談所
子が在学中であれば、担任よりもまずスクールカウンセラーや養護教諭に相談すると、学校内での見守りや医療への橋渡しについて具体的な助言を受けやすくなります。いじめや人間関係など、学校での出来事が背景にある場合は、学校との情報共有が欠かせません。18歳未満の子については、児童相談所も家庭の相談を受け付けています。
子の年齢によって親が関われる範囲は変わる
子が18歳未満であれば、親は親権者として受診の手続きを進めたり、医師から説明を受けたりする立場にあります。本人の気持ちを尊重しながらも、親が主導して医療や支援につなぐことが基本になります。
一方で、子が成人している場合は事情が異なります。成人した子の治療内容は本人の個人情報であり、医師には守秘義務があるため、本人の同意がなければ親に詳しい説明がされないこともあります。18歳・19歳の子も法律上は成人であり、同じ考え方になります。もっとも、個人情報保護法は、人の生命や身体を守るために必要で、本人の同意を得ることが難しい場合の例外を定めています。また、親から主治医に家庭での様子を伝えること自体は、本人の同意がなくても妨げられるものではありません。「教えてもらえない」と諦めるより、「親が知っていることを伝える」という形で医療と関わる道を探るのが現実的です。
入院が話題に出たときに知っておきたいこと
自傷行為が続き、本人の安全を守ることが難しい状態になると、医師から入院を勧められることがあります。精神保健福祉法には、本人の同意による任意入院のほか、本人の同意が得られない場合に家族等の同意で行う医療保護入院、自傷他害のおそれがあると判断された場合に都道府県知事等の権限で行う措置入院といった仕組みがあります。
医療保護入院では、家族が同意を求められる場面があります。同意するかどうかは、本人との関係や退院後の生活にも関わる判断のため、急かされても内容を確認してから決めることが大切です。詳しくは【親子問題】医療保護入院の同意を求められた|家族が同意することの意味や【親子問題】子が措置入院になった|退院後の受け入れをどうするかで解説しています。
自傷と別の問題が重なっているとき
自傷行為そのものは犯罪ではなく、法律で「やめさせる」ことはできません。しかし、実際のご相談では、自傷に別の問題が重なっていることが少なくありません。たとえば次のような場面です。
- 「お金を出さなければ死ぬ」と言われ、求められるまま金銭を渡し続けている。
- 自傷のほか、親やきょうだいへの暴力や物の破壊が起きている。
- SNSで知り合った相手や交際相手との関係が、自傷のきっかけになっているように見える。
- いじめや職場でのハラスメントが背景にあり、相手方との話し合いが必要になっている。
こうした場合、命に関わる問題と、金銭や暴力、外部とのトラブルの問題を分けて考えることが出発点になります。命の問題は医療や相談窓口に、金銭や暴力、相手方との交渉は法的な手段に、と役割を切り分けることで、親が一人ですべてを背負う状態から抜け出しやすくなります。金銭の要求が絡む場合は【親子問題】「金を出さないと死ぬ」と子に言われた|命の問題と金銭の問題を分けて考える、暴力がある場合は【親子問題】子から暴力を受けている|まず確保すべき安全と記録も参考になります。
親自身が相談を続けられる状態を保つ
子の自傷行為が続くと、親は夜も眠れず、仕事や生活に影響が出ることがあります。親が倒れてしまえば、子を支える人もいなくなります。親自身が保健所や家族会で話を聞いてもらう、ほかの家族と役割を分けるといった手配は、子のためにも必要なことです。【親子問題】子の問題で親自身が限界|親が先に休むための手配や【親子問題】家族会・当事者会の役割|弁護士に頼む前にできることもあわせてご覧ください。
また、相談の際には、自傷に気づいた時期、頻度、受診の有無、本人の言葉、家庭で起きている出来事などを簡単にメモしておくと、どの窓口でも状況を伝えやすくなります。窓口全体の役割分担については、【親子問題】親子の問題はどこに相談すればよいのか|警察・行政・弁護士の役割分担で整理しています。
本人に相談や受診を勧めるときは、「治さなければいけない」という言い方よりも、「つらさを一緒に考えてくれる人がいる」「家族も相談している」と伝えるほうが受け入れられやすいことがあります。一度断られても、それで終わりではありません。親が先に窓口とつながっておくことで、本人が話してみようと思えたときに、すぐ案内できる状態を整えておくことができます。
当事務所がお手伝いできること
当事務所は、自傷行為の治療を行う立場ではありません。一方で、金銭の要求や暴力、外部の相手方とのトラブルなど、自傷と重なって家庭を追い詰めている問題については、親の代理人として窓口に立ち、自立支援カウンセラーと連携しながら対応してきました。医療や相談窓口とどう役割を分けるかを含め、ご家庭の状況に合わせて方針を一緒に考えます。サービスの内容は【親子問題】弁護士が「親の代理人」として親子問題に介入するサービス|家庭内暴力・ひきこもりに悩むご家庭へ、自立支援カウンセラーとチームで対応でご紹介しています。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


