【ストーカートラブル】過去に交際を断った相手から何年も連絡が来るときは?

若井亮

若井亮

テーマ:ストーカートラブル

長いあいだ音沙汰がなかった相手から、ある日ふとメッセージが届く。返事をしないでいると、数か月後や翌年にまた届く。過去に交際を申し込まれてお断りした相手から、こうした連絡が何年にもわたって続き、どう受け止めればよいのか迷っている方は少なくありません。毎日のように連絡が来るわけではないため、「この程度で相談してよいのか」とためらってしまいやすい場面です。

本記事は、令和7年12月30日に施行された改正ストーカー規制法の内容を反映しています。個別の事案で使える手続は、連絡の内容や頻度、これまでの経緯によって変わります。


 この記事では、交際を断った相手からの連絡が長い期間続いている場合に、法律上どのように扱われうるのか、記録の残し方、相談先の選び方を順に説明します。

何年も連絡が続くときに見られる形

交際を断った後の連絡が長引く場合、毎日のように届くというよりも、間隔をあけて繰り返されることが多くあります。たとえば、次のような状況です。

  • 誕生日や年末年始など、決まった時期にだけメッセージが届く。
  • ブロックすると、しばらくして別のアカウントや番号から連絡が来る。
  • 数年連絡がなかったのに、転職や引っ越しの時期に合わせたように連絡が再開した。
  • 共通の知人を通じて近況を聞かれたり、伝言が届いたりする。
  • 「まだ待っている」「気持ちは変わらない」といった言葉が添えられている。


 一つ一つの連絡は短く、脅すような言葉もないことが多いため、ご本人も「迷惑だが実害はない」と考えて様子を見続けてしまいがちです。しかし、断った後も長い期間にわたって好意に基づく連絡が続いている場合、その積み重ね自体が法的な対応を検討するきっかけになりえます。

時間があいていてもストーカー規制法の対象になりうるか


交際していたかどうかは問われない

ストーカー規制法は、特定の人に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行われる「つきまとい等」を規制しています(同法2条1項)。交際していたことは要件ではないため、交際を申し込まれて断った相手からの行為も対象になりえます。

連絡の中身によって当てはまる規定が変わる

「つきまとい等」には複数の類型があり、連絡や接触に関係する主なものは次のとおりです。

連絡や接触の内容関係しうる規定ポイント
会ってほしい、付き合ってほしいと求める面会・交際の要求(2条1項3号)求める内容そのものが問題とされ、回数や間隔は条文上の要件になっていない
断られた後に電話・メール・SNSのメッセージを送る拒まれた後の連続した連絡(2条1項5号)「拒まれたにもかかわらず」「連続して」行われることが必要
無言電話をかける無言電話(2条1項5号)拒まれていなくても、連続していれば対象になる
自宅や職場の近くに現れる、待ち伏せするつきまとい・待ち伏せ等(2条1項1号)連絡とあわせて行われていれば、あわせて検討される


 年に一度のメッセージのように間隔が大きくあいている場合、5号の「連続して」に当たるかどうかは慎重に判断されることがあります。一方で、メッセージの中で会うことや交際を求めていれば、3号の面会・交際の要求として扱われる余地があります。連絡の頻度だけでなく、何を求めているかという中身にも目を向けることが大切です。

「反復」は全体の経過で見られる

つきまとい等を同じ相手に反復して行うことが「ストーカー行為」とされ、刑事罰の対象となります(同法2条4項、18条)。法定刑は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。反復といえるかどうかは、行為の回数や間隔、内容、断られた後の経過などを踏まえて判断されると考えられます。数年にわたる連絡を一通ずつ切り離して見ると軽く見えても、通して並べると、断られた後も一貫して好意を伝え続けているという経過が浮かび上がることがあります。

 また、ストーカー行為に至らない段階でも、つきまとい等をして相手に不安を覚えさせ、さらに繰り返すおそれがあると認められる場合には、警察による警告や公安委員会による禁止命令の対象になりえます(同法4条、5条)。

断った意思が相手に伝わっているかを確かめる

5号の連絡は「拒まれたにもかかわらず」行われることが前提です。何年も前にお断りしていても、その後に時々返信をしていたり、角が立たないよう曖昧な返事を重ねていたりすると、相手が「まだ望みがある」と受け止め、拒絶の意思がはっきりしないと評価されることがあります。

 これまでの経過に不安がある場合は、改めて意思を示すことを検討します。方法としては、次のようなものがあります。

  • ご自身から一度だけ、短く「今後の連絡はお断りします」と伝え、それ以上のやり取りはしない方法です。
  • 警察に相談し、相手方への指導や警告という形で伝えてもらう方法です。
  • 弁護士が代理人として、連絡を控えるよう求める書面を送る方法です。


 ご自身で伝える場合、理由の説明や相手への気遣いを書き添えると、それが新たなやり取りのきっかけになることがあります。相手の反応が読めない、以前に強い言葉を向けられたことがあるといった場合には、自分で伝えることにこだわらず、第三者を通すほうが安心です。第三者を通すと、いつ、どのような内容で断ったかが記録に残るという利点もあります。

何年分もの連絡を記録として整える

長い期間の連絡は、記録が散らばりやすいのが難点です。機種変更でメッセージが消えた、古いアカウントを削除してしまったということも起こります。今残っているものを失わないうちに、次の順序で整理しておくと、警察や弁護士に相談するときに経過を伝えやすくなります。

  1. 今あるメッセージや着信履歴を、日時と送信元が分かる形でスクリーンショットに保存すること。
  2. ブロックした相手からの連絡も、削除せずに残しておくこと。
  3. 交際を断った時期と、そのとき伝えた言葉を、思い出せる範囲で書き出すこと。
  4. 連絡の日付・手段・内容の要旨を、年ごとの時系列表にまとめること。
  5. 過去に警察や職場などへ相談したことがあれば、その時期と窓口を書き添えること。


 古い記録が手元に残っていなくても、相談を諦める必要はありません。覚えている範囲の経過と直近の記録だけでも、相談の出発点になります。以前の相談記録を生かす考え方については、【ストーカートラブル】数年ぶりにつきまといが再開した|以前の記録を生かすでも説明しています。

相談先と使える手続


警察への相談と警告・禁止命令

警察に相談すると、事案に応じて、相手方への指導や警告、被害を防ぐための助言などを受けられることがあります。令和7年12月30日に施行された改正では、被害者からの申出がなくても警察が職権で警告できる仕組みが設けられました。また、都道府県公安委員会は、つきまとい等を繰り返すおそれがある場合に禁止命令を出すことができ、その効力は1年で、必要に応じて延長されます(同法5条)。禁止命令に違反してストーカー行為をした場合は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金とされています(同法19条1項)。

 相談の結果、すぐに警告や禁止命令に進まなかったとしても、相談した事実は記録として残ります。その後も連絡が続いたときに次の手続へ進むための資料になりますので、相談した日付と対応した部署を控えておきましょう。

弁護士による通知と合意

弁護士が代理人となって、相手方に連絡を控えるよう求める書面を送る方法があります。ご本人が直接やり取りする必要がなくなり、相手からの連絡も弁護士に集約されます。相手方が応じる場合には、接触しないことを約束する合意書を取り交わし、約束に反した場合の違約金を定めることも検討できます。

裁判所の手続

連絡や接近が続き、警察の手続だけでは十分でないと考えられる場合には、人格権に基づいて接触の禁止を求める仮処分を裁判所に申し立てる方法もあります。また、繰り返される連絡によって精神的な苦痛を受けたとして、損害賠償を求めることを検討できる場合もあります。どの手続が適しているかは、連絡の内容や頻度、相手の住所が分かっているかなどによって異なります。

時間がたつと問えなくなることはあるか

ストーカー行為罪の公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。もっとも、反復された一連の行為がまとめて一つの罪として扱われる場合、時効は行為が終わった時から進みます(同法253条1項)。連絡が今も続いているのであれば、何年も前の連絡も、断られた後の経過を示す事情として意味を持ちえます。

一人で動く前に気をつけたいこと

長く続く連絡に疲れ、一度で終わらせたいと考えるのは自然なことです。ただ、次のような対応は、かえって接触を長引かせたり、別のトラブルを招いたりすることがあります。

  • 相手を説得しようと長文で返信すると、やり取りの再開と受け止められることがあります。
  • 一人で会って話をつけようとすると、その場で引き止められたり、新たな要求を受けたりするおそれがあります。
  • 相手の家族や勤務先に事情を伝えたり、SNSで相手を名指しして公表したりすると、名誉やプライバシーをめぐる別の争いになることがあります。
  • 結婚や新しい交際相手の存在を知らせれば止まるだろうと近況を伝えると、かえって関心を向け直させることがあります。


 どこまで自分で対応してよいか迷う場合は、動く前に一度相談しておくと安心です。警察と弁護士のどちらに先に相談するかについては、【ストーカートラブル】警察と弁護士のどちらに先に相談するか|ストーカー被害での順序で整理しています。

よくあるご質問


年に一度の誕生日メッセージだけでも相談できますか

相談できます。間隔が大きくあいている場合、法律上どの規定に当たるかは慎重な検討が必要ですが、断った後も何年にもわたって届いていること自体が相談の理由になります。会うことを求める内容が含まれているか、自宅の周辺に現れるといったほかの事情がないかもあわせて伝えると、見通しを立てやすくなります。

相手とは何年も会っておらず、今の住所も分かりません。それでも手続はできますか

警察への相談は、相手の住所が分からない段階でも行えます。弁護士が書面を送る場合や裁判所の手続を使う場合には相手の住所の確認が必要になるため、氏名や以前の住所、勤務先など、手元にある情報を整理したうえでご相談ください。

ブロックを解除して、改めてはっきり断ったほうがよいですか

これまで明確に断ったことがない場合には、意思をはっきりさせる意味があります。ただ、ブロックを解除すると連絡が再開しやすくなるため、ご自身で伝えるか、警察や弁護士を通して伝えるかは、相手のこれまでの反応を踏まえて選ぶのがよいでしょう。

まとめ


  • 交際していなかった相手からの連絡でも、好意に基づくものであればストーカー規制法の対象になりえます。
  • 間隔があいた連絡は「連続して」に当たるか慎重に判断されることがありますが、会うことや交際を求める内容であれば別の類型として扱われる余地があります。
  • 断った意思がはっきり伝わっているかを確かめ、不安があれば第三者を通して改めて伝える方法があります。
  • 何年分もの連絡は、年ごとの時系列表にまとめておくと、相談の際に経過を伝えやすくなります。
  • 警察の警告・禁止命令、弁護士による通知や合意、裁判所の手続など、状況に応じて手段を組み合わせることができます。


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交際を断った相手からの連絡にお悩みの方へ

交際をお断りした相手からの連絡は、間隔があいているぶん「いずれ止まるだろう」と一人で抱え込みやすいものです。弁護士法人若井綜合法律事務所では、池袋と新橋の事務所でストーカー被害のご相談をお受けしており、これまでの経過の整理から、警察への相談の準備、相手との連絡の窓口となることまでお手伝いしています。

同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。

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若井亮
専門家

若井亮(弁護士)

弁護士法人若井綜合法律事務所

風俗トラブルや男女トラブル、それに伴う刑事事件まで一貫して対応。累計相談件数は男女トラブル約23,000件、風俗トラブル約8,000件。全国からの相談を24時間受け付け、迅速な対応を心がけています。

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