【ストーカートラブル】大学・専門学校でのつきまとい|学生間のストーカー
この記事は、2026年10月時点の法令と、警察庁・政府広報などの公表情報をもとに作成しています。警察署の担当部署の名称や受付の運用は、都道府県警察や警察署ごとに異なることがあります。
つきまといや執拗な連絡に悩み、警察に相談しようと決めても、「警察署のどの窓口に行けばよいのか」「何を持っていけば話が伝わるのか」が分からず、足が止まってしまう方は少なくありません。弁護士ドットコムなどの相談サイトにも、警察に電話したところ「担当者がいないこともある」「突然来られても対応できないかもしれない」と言われて戸惑った、という声が寄せられています。
この記事では、ストーカー被害を警察に相談するときの窓口の選び方、出向く前に電話で確かめておきたいこと、当日に持っていくもの、窓口で伝えておきたいことを順に整理します。準備が完璧でなくても相談はできますが、手元の資料を整えておくと、限られた時間で状況を伝えやすくなります。
ストーカー相談の窓口はどこか
警察署では生活安全課が担当することが多い
警察署にストーカー被害の相談に行くと、多くの場合は生活安全課が担当します。生活安全課は、ストーカーやDV、近隣トラブルなど、日常生活の安全に関わる相談を扱う部署です。警察署によっては、ストーカーやDVなどの事案を専門に扱う係が置かれていたり、担当部署の呼び方が異なったりすることもあります。
受付で部署名が分からなくても、「ストーカー被害の相談をしたい」と伝えれば担当部署に案内してもらえるのが一般的です。政府広報オンラインでは、最寄りの警察署はストーカーに関する相談に24時間対応すると案内されています。ただし、夜間や休日は担当者が不在のこともあるため、急ぎでなければ平日の日中に出向く方が、落ち着いて話を聞いてもらいやすいでしょう。
どの警察署に行けばよいか
基本は、住んでいる場所を管轄する警察署です。愛知県警察なども、お住まいを管轄する警察署に証拠となる資料を持って相談するよう案内しています。つきまといや待ち伏せが勤務先の周辺で起きている場合など、被害の場所が自宅から離れているときは、どこに相談するのがよいかを電話の段階で尋ねておくと、行き違いを防げます。
転居を考えている、すでに転居したという場合は、前の住所地の警察署に相談した記録があるかどうかも伝えておきましょう。警察署どうしで情報を引き継いでもらえることがあります。
電話で先に相談する方法
いきなり警察署に行くことに抵抗がある場合は、電話で相談することもできます。
| 窓口 | 主な役割 | 備考 |
|---|---|---|
| 最寄りの警察署 | ストーカー相談の受付、警告・禁止命令などの措置の検討 | 来署前に電話で担当部署につないでもらうことができる |
| 警察相談専用電話 #9110 | 都道府県警察本部の相談窓口につながる | 東京都内では警視庁総合相談センター(03-3501-0110)につながる |
| 女性相談支援センター #8778 | ストーカーやDVなど女性からの相談に対応 | 受付時間は都道府県ごとに異なる |
| 110番 | いま危険が迫っているときの緊急通報 | 相手が自宅前にいる、追いかけられているなどの場面 |
#9110は、事件や事故の発生には至っていないものの不安がある、という段階の相談に使える番号です。相手が近くにいる、身の危険を感じるという場面では、相談窓口ではなく110番をためらわないでください。
警察署に行く前に電話で確かめておきたいこと
警察署での相談は、事情の聞き取りに時間がかかることが多く、1回で数時間に及ぶこともあります。担当者の不在で出直しになる事態を避けるため、出向く前に電話で次の点を確かめておくと安心です。
- ストーカー被害の相談を担当する部署と、対応してくれる担当者の名前。
- 来署する日時の目安と、相談にかかるおおよその時間。
- 女性の警察官に話を聞いてもらいたい場合は、その希望が通るかどうか。
- 家族や友人、弁護士が同席してよいかどうか。
- 持参したほうがよい資料があるかどうか。
電話をした日付と、対応した担当者の名前を控えておくと、その後のやり取りで「前回お話しした件です」と伝えやすくなります。
相談時に持っていくもの
警察庁のストーカー対策のサイトでは、相談に来た時点で証拠となる物や記録した物があれば持参するよう呼びかけています。何を持っていけばよいかを、目的ごとに分けて整理します。
本人確認と手続のためのもの
運転免許証やマイナンバーカードなど、本人確認ができる身分証を持っていきましょう。相談だけで終わらず、その場で被害届の提出や警告の申出といった手続に進む場合に備え、印鑑も持っていくとよいとする法律事務所の解説もあります。書類への押印の扱いは警察署によって異なるため、念のため持っておく、という程度に考えておけば十分です。
被害の内容を示すもの
相手の行為が繰り返されていることや、不安を感じる内容であることを示す資料です。政府広報オンラインでも、手紙などの送付物や着信履歴、電子メール、SNSのメッセージのスクリーンショット、通話の録音、つきまといの様子を撮影した写真や動画を残しておくよう案内されています。
- LINEやSNS、メールのメッセージ画面(送信者と日時が分かるもの)。
- 着信履歴、留守番電話の記録。
- 相手から届いた手紙、贈り物、郵便物(実物)。
- 待ち伏せやつきまといの様子を撮影した写真・動画。
- 防犯カメラやインターホンの録画映像。
- 通話や会話の録音データ。
メッセージや着信履歴は、スクリーンショットだけでなく、スマートフォン本体も持っていくと、その場で画面を見てもらうことができます。充電を十分にしておきましょう。防犯カメラの映像の残し方は、【ストーカートラブル】防犯カメラの映像を証拠にする|設置と保存の注意点で詳しく解説しています。
相手を特定するための情報
警察が警告などの措置を取るには、相手が誰かを把握する必要があります。分かる範囲で構いませんので、相手の氏名、住所、勤務先、電話番号、SNSのアカウント名、車のナンバー、顔写真などをまとめておきましょう。相手との関係(元交際相手、職場の同僚、客など)や、知り合った経緯も伝えられるようにしておきます。
相手が誰か分からない場合でも、相談はできます。その場合は、見かけた日時や場所、服装、乗っていた車など、手がかりになる情報をできるだけ書き留めておいてください。
経緯をまとめたメモ
窓口では、被害に遭った日時や場所、状況を順に尋ねられます。緊張していると順序立てて話すのは難しいため、時系列のメモを用意しておくと、聞き漏れや言い漏れを減らせます。
| 項目 | 書いておく内容 |
|---|---|
| いつ | 日付と時刻(分かる範囲で) |
| どこで | 自宅前、駅、勤務先の近くなど |
| 何をされたか | 待ち伏せ、連絡、贈り物、書き込みなど |
| 自分の対応 | 拒否を伝えた、返信しなかった、など |
| 残っている記録 | スクリーンショット、写真、録音の有無 |
特に、相手に「連絡しないでほしい」「会うつもりはない」と伝えたやり取りが残っていれば、それも持参しましょう。相手の行為が望まれていないものであることを示す材料になります。
けがや体調の変化がある場合
暴力を受けてけがをした場合や、不眠や体調不良などで医療機関を受診している場合は、診断書や通院の記録も持っていきましょう。暴行や傷害など、ストーカー規制法以外の罪の検討にもつながることがあります。
持っていく前に気をつけたいこと
証拠を集めようとするあまり、かえって危険が増したり、記録が失われたりすることがあります。次の点に気をつけてください。
- 相手からのメッセージや手紙は、不快でも削除・廃棄しない。
- 手紙や贈り物の実物は手元に残し、警察に渡す場合は写真を撮っておく。
- 証拠を集める目的で相手に返信したり、会いに行ったりしない。
- 相手の自宅や勤務先を自分で調べに行かない。
- データはスマートフォンだけでなく、パソコンやクラウドにも保存しておく。
相手からの連絡を受け取るたびに記録を取るのは負担が大きいものです。無言電話や非通知の着信が続く場合の記録の取り方は、【ストーカートラブル】無言電話・非通知の着信が続く|記録と止め方もあわせてご覧ください。
窓口で伝えておきたいこと
どのような対応を望むのか
警察は、相談の内容や被害者の意向を踏まえて対応を検討します。相談の場では、自分が何を望んでいるのかを伝えることも大切です。
- 相手に行為をやめるよう警告してほしい。
- 禁止命令を出してほしい。
- 被害届を出したい、相手を処罰してほしい。
- 自宅周辺のパトロールを強めてほしい、防犯の助言がほしい。
- いまは相手に知られたくないので、記録だけ残してほしい。
令和7年(2025年)のストーカー規制法の改正により、被害者からの申出がなくても警察の職権で警告ができるようになりました。それでも、相談者の意向は対応の判断に影響します。相手を刺激したくない、引っ越しを終えるまでは動いてほしくないなどの事情があれば、遠慮せずに伝えてください。禁止命令の手続については【ストーカートラブル】禁止命令を出してもらうには|申出の方法と出るまでの期間、被害届と告訴のどちらを選ぶかについては被害届と告訴の違い|ストーカー・脅迫でどちらを選ぶで解説しています。
相談した事実を控えておく
相談の内容は警察で記録されます。その時点で警告などの措置が取られなかったとしても、相談した記録は、後に相手の行為が続いたときに経緯を示す資料になることがあります。相談した日付、警察署名、担当者の名前は、自分の手元にも控えておきましょう。
相談記録を手元に取り寄せたい場合の方法は、【ストーカートラブル】警察への相談記録を手元に取り寄せる|開示請求の手順と黒塗りの読み方で紹介しています。相談したものの思うような対応が得られなかったときは、【ストーカートラブル】警察に相談したのに警告が出ない|次に取れる手段も参考にしてください。
一人で行くのが不安なとき
警察署に一人で行くことに不安がある場合は、家族や友人に付き添ってもらうことができます。ただし、聞き取りの内容によっては、本人だけで話を聞かれる場面もあります。家族に被害を打ち明けにくい事情がある方は、【ストーカートラブル】被害を家族に言えない|一人で相談に行くときの準備も参考になります。
弁護士に依頼して、警察への相談に同行してもらう方法もあります。弁護士が事前に事実関係と証拠を整理した書面を作り、相談の場で説明を補うことで、話の要点が伝わりやすくなる場合があります。警察と弁護士のどちらに先に相談するか迷う方は、【ストーカートラブル】警察と弁護士のどちらに先に相談するか|ストーカー被害での順序をご覧ください。
よくあるご質問
証拠がほとんどなくても相談してよいですか
相談できます。証拠が少ないと、すぐに警告などの措置に進むのは難しいことがありますが、相談した記録が残ること自体に意味があります。相談をきっかけに、今後どのような記録を残せばよいかの助言を受けられることもあります。
警察に相談したことは相手に伝わりますか
相談しただけで、その内容が直ちに相手に伝わるわけではありません。一方で、警告や禁止命令、捜査などの措置が取られれば、相手は警察が関わっていることを知ることになります。相手に知られることへの不安があれば、その点も含めて相談の場で伝え、対応の順序を相談してください。
交番に相談してもよいですか
交番でも相談を受け付けてもらうことはできますが、継続的な対応や警告などの手続は警察署で行われるのが一般的です。急いでいなければ、はじめから警察署の担当部署に相談するほうが、話が一度で済みやすいでしょう。
まとめ
- ストーカー相談の窓口は、多くの警察署で生活安全課が担当しています。
- 基本は住所地を管轄する警察署で、事前に電話して担当者と日時を確かめておくと安心です。
- 身分証、印鑑、被害の記録、相手の情報、時系列のメモを持っていくと状況が伝わりやすくなります。
- 証拠のために相手に接触したり、記録を削除したりしないよう注意が必要です。
- 相談の場では、警告や禁止命令、被害届など、自分が望む対応も伝えましょう。
警察への相談は、被害を止めるための手段を検討する入口です。資料が揃っていない段階でも、まずは相談し、記録を残していくことが、その後の選択肢を広げることにつながります。警察への相談と並行して、相手との接触を代理人に任せたい、示談や接近禁止の手続も考えたいという場合は、弁護士への相談もご検討ください。
同じような状況でも、経緯や残っている記録によって取れる手段は変わります。どこから手をつければよいか判断がつかない段階でも、事実を整理するところからご一緒できます。
当事務所では、電話・メール・LINEのうちご希望の方法でご相談をお受けしています。ご都合のよい手段をお選びください。
早い段階でご相談いただくほど、選べる手立ては多く残ります。迷っている段階でも、まずはお気軽にお声がけください。


