【バレエ・ダンス】大人から始めても、上達を進めていけるコツとは?~姿勢づくりと、体幹の動きづくり~
こんにちは、
姿勢・動作改善専門トレーナーの八巻です。
大人になってから、
様々なスポーツ・ダンスなどを新たに始めて、
それ以来頑張っている人ってたくさんおられますよね。
40代・50代それ以上の年齢から始めてやっているという人もいるでしょう。
60代から鉄棒を始めて大車輪まで出来るようになったなんていう人もテレビで観ましたね。
そんな風に40代・50代になってから始めたバレエダンサーに
(ほかのスポーツでもあると思いますが)
必ずと言っていいほど立ちはだかる壁があります。
それは、「ケガの壁」と「上達の壁」です。
この二つの大きな壁が立ちはだかり、
チャレンジしようと意気込んでいた心を折っていくのです。
今回は、バレエダンスでよくある足のトラブル・外反母趾痛について、
お話していきたいと思います。
実はこの外反母趾になる要因は意外なところにもあり、
それは上達にも大きく関わるポイントです。
バレエダンスによる「ケガの壁」と「上達の壁」を越えるヒントが見つかるかと思いますので、
是非読んでみてください。
(バレエをされないけれど、パンプスなどでやはり外反母趾だという方も、参考にしていただけるかと思います)
見出し:外反母趾編
◎原因:バレエで起こる外反母趾の原因は?
◎特徴:外反母趾になっている足の特徴は?
◎なぜ、足が平べったくなるのか?
◎外反母趾になる人の特徴・原因は実は・・腰
◎体感してみよう。姿勢による足の負担の違い
◎足の筋力アップ法
◎つま先立ちは、体幹も使って行う!
◎外反母趾の根本解決は、姿勢の改善から!
上達編
◎バレエ上達につまずいている人がチェックすべき体幹の動作
◎ダンス中ふらつきやすい人がすべきトレーニングは?
◎上達しなくなったら、方法をかえてみよう。
◎まとめ
バレエダンスで起こる外反母趾は、何が原因?
バレエをされている方で、外反母趾になるケースは比較的多いようです。
なぜ外反母趾になるのでしょう?
1.トゥーシューズ(パンプス)による
よく言われているのは、
トゥーシューズを履いて行うことによって、
足の形が変形してしまうということです。
これは日常でのパンプスやピンヒール・
ジョギング・ランニングなどで起こる外反母趾痛も同じで、
靴が足に合わない事で痛みが出ることは原因の一つに挙げられるでしょう。
2.激しい練習で足に負荷がかかっている
つま先立ちになるなど、足への負担も大きいバレエダンス。
その負荷に足の指が耐えられずに変形してしまう事も考えられます。
3.足の筋力不足
あとよく言われるのが、足の筋力不足です。
土踏まずなどの足裏アーチが低下すると、外反母趾になりやすいと言われています。
先に挙げた1番のトゥーシューズが原因というのも、
シューズを履いていないけどなる人もいるようですので、
シューズが全ての原因だとは言えません。
そして何より、バレエをやってもハイヒールを履いても
外反母趾にならない人もいます。
そう考えると、2か3の説が有力になりますが、
たくさん練習をしてもやはり外反母趾にならない人もいます。
すると、3の説が有力という事になるのでしょうか?
足の筋力をアップすると外反母趾は改善するという事になるのでしょうか?
そこは後でさらに検証していきましょう。
外反母趾になっている人の足の特徴は
”アーチ低下による平べったい足”
私はこれまで外反母趾の方の個別指導も多く行ってきましたが、
足の特徴として、親指が内側に大きく曲がっている事以外に
足が平たく幅広になっている事が挙げられます。
本来、人間の足は指の方から見ると親指側から小指側までまっ平ではなく、
真ん中が上がったアーチ型をしています。
細かい骨が石垣のような感じで積まれているはずなのですが、
外反母趾の方の足はこれが崩れて足が平たく広がってしまっているのです。
中指の根元あたりの足裏に、タコや角質が硬くなっているところがある事も多いです。
トゥーシューズやパンプスのような先の細い靴の中で足が広がり、
小指や親指の付け根が靴に当たり、さらに指が細い靴の先に追いやられ、
痛くなるのではないかと考えられます。
なぜアーチが低下し、足が平べったくなるのか?
では、なぜ足が平べったくなるのでしょうか?
そこを今度は考えてみましょう。
足を平べったくしている一番大きな要因は、立って動いているときに、
「体重が足の先にかかり過ぎている」事ではないかと考えています。
足の先に体重がかかり過ぎてしまうのは、何故なのでしょうか?
その原因は、実は動作時の姿勢によるところが非常に大きいのです!
歩く時にペタペタ音が大きくする人、ジョギング・ランニング時に足音が大きい人、
例えばこんな特徴がある人も外反母趾になりやすいと言えるのですが、
そういう人の動作時の姿勢は、
「反り腰」
である事が非常に多いです。
外反母趾の原因は、反り腰の姿勢にあった?!
これまでの動作指導の経験から、
多くの人は普段座っているときは骨盤後傾で
背骨が後に湾曲(すなわち背中が丸まっている)しています。
この姿勢のまま立ち上がり進むと、このような姿勢になります。
このままだと重心が後ろにあるので、前に進みにくいので、
みぞおちの辺りを前に出して重心を前にして進みます。
この進み方が実は足に負担をかけてしまうんです!
体感してみよう。姿勢による足の負担の違い。
では実際に記事をお読みの皆さまに、姿勢による体重のかかり方を感じていただきましょう。
まずはこのように腰を落として背中を丸めた姿勢。
次にみぞおちorおへその辺りを前へ突き出すようにした姿勢。
それぞれで足裏のどのあたりに特に体重がかかるかをみてみましょう。
みぞおちのあたりを出した「反り腰」姿勢にしていくと、
足への負荷が先の方へ移っていくのではないでしょうか?
この姿勢で動作を続けていると、常に足の先に強い負荷がかかる訳です。
この負荷に耐えられずに足のアーチがつぶれてしまうのではないかと思われます。
という事は、簡単に言えば
バレエダンスをする時(スポーツも)の姿勢を変えれば
それだけで足への負担は軽減させる事が出来るという事です。
最後に伸びをしてお腹や腰を縦に拡げるようにした姿勢。
こうした時の足裏の感覚もみてみましょう。
こんな感じで正しく体が積まれている状態で立って動けると、
足への負担は減ってくるのではないかと思います。
正しく体を積むポイントは「伸び」です。
多くの人の姿勢は、頭や胸が落ちた状態になっています。
姿勢を元に戻すにはそれらの位置を本来の位置に戻す事です。
みんな頭や胸が重力によって落ち、体が崩れたまま運動をしているという訳です。
だから体に余計な負荷がかかり、動きにくいのです。
筋力がどうか以前の話なんですね。
足の筋力アップも、同時に必要!その方法は?
外反母趾痛に悩んでいる方の多くは、姿勢に改善点があるというお話をしましたが、
もう一つ、足元にも動作不全があるんですね。
足首の動作が上手く出来ないケースが多いんです。
バレエではつま先立ちをよくやると思いますが、
足首を正しく使ってつま先立ちがきちんと出来ていないです。
今度は足首のエクササイズを用意したので出来るかやってみてください。
やる前に、足をケアしておきましょう。
このように足を折り曲げるようにしてあげます。
これで平たくなってしまった足をケアします。
このように足首を曲げてみましょう。
この時に足の指が反らないようにし、足首だけ曲げます。
続いて、足首を伸ばします。
すね~足の甲が真っ直ぐになる位伸ばします。
足の指は今度はこのように反らせます。
この交互動作が足首の動作のセットになるのですが、
スムーズにおそらく出来ないと思います。
この動作を正常化する事がとても重要です。
外反母趾になりやすい方は、つま先立ちをする際に、
この足首の動作を上手く使えていない事が多いです。
足首の動作で体を押し上げられていないんですね。
つま先立ちは、足首だけ使うのではなく、
”体幹の筋力”も使ってする!
そしてさらに重要なのは、つま先立ちをする際に、
足首の動作・筋力だけでつま先立ちをしようとしてはいけないという事です。
つま先立ちをする際に、かかとを高く上げようとする意識より、
「頭や体を出来るだけ上へ引き上げよう」という意識で行う事が大切です。
頭のてっぺんをさらに上に引き上げるようにという
言い回しを使う事がよくあるかと思いますが、
さらに、あばら骨を骨盤から遠ざけるように引き上げる意識を持ってやると、
結果的につま先が浮いてきます。
そのようにやると、体幹の筋力で体を引き上げてくれるので、
足首の負担は減るんですね。
この時のあばら骨を引き上げる動作は、姿勢を元に戻すのに欠かせない動作です。
姿勢改善の基本をマスターすることが、足への負担軽減にもつながる事が期待出来るのです。
外反母趾痛の根本解決は、
姿勢の組み直しから始めよう!という結論になる!
では、外反母趾痛の解決のためにやるべき事を整理してみましょう。
◎シューズ・履き物を替える
対処法としては有効な事だと思います。パンプスのような靴はやはりリスクは高いです。
しかしこれはあくまで対処に過ぎません。
◎対策グッズを使う
これも同様に対処に過ぎないので、一時しのぎにはなるかもしれませんが、
根本の改善にはつながらないと考えていいでしょう。
◎筋力トレーニングをする
タオルギャザーエクササイズも有名ですが、
そもそも外反母趾になる人はタオルギャザーが苦手なので、
ただ行ってもあまり効果は無いんじゃないかと思います。
上でも少しご紹介したような足首のトレーニングをすると
タオルギャザーに必要な要素が入っているので、
これをある程度マスターしてからやると少しやりやすくなるでしょう。
◎立ち方・歩き方から改善する
根本から治すなら立ち方・歩き方から改善し、
足指に負担のかからない立ち方・歩き方を身につける必要があります。
バレエダンスでも必要な正しい姿勢のつくり方を身につけます。
◎病院で治療する
足指の変形が大きい場合は、手術で治すしかないでしょう。
まだ変形は少なく、痛みが出るという位の方であれば、
上の方法で進行を防ぐことも可能です。
ランナーの改善例
バレエ上達につまずいている人が、
チェックしなくてはならない体幹の動作がある
今度は40代・50代からでも上達が可能なポイントのお話です。
先ほど、あばら骨というワードが出てきましたが、
○バレエ・ダンスでキレイに立つために、
○手先だけでない、しなやかでダイナミックに踊れるようになるために、
あばら骨まわり・すなわち
「胸・背中」の部分をいかに動かせるかがポイントになります。
あばら骨まわりの動きが硬いと、
正しく胸を張ることが出来ないので、正しい姿勢にする事が出来ません。
さらに、あばら骨が硬いと肩甲骨まわりの背骨が反れません。
背骨は頸から腰まで全てが連動して動かないと、しなやかな動作は生まれません。
バレエやダンスをされる方は特に、背骨・あばら骨の動きをつくっていき、
それを踊りの要素に上手く取り入れていく事が大事だと思います。
指導をしていてわかった、背骨の中で特に動きの悪い所とは?
ダンス中、体がふらつきやすい人がすべきトレーニングとは?
バレエやダンスで思うように表現が出来ないという方は、
背骨やあばら骨が硬く、体がしなやかに動いてくれないためではないかと思われます。
こういう方が必要なのは、そのまま、背骨をしなやかに動かせる練習をする事です。
動画:正しい胸の張り方について
また、踊りをする中で体がふらつくという方もおられると思いますが、
ここで間違えないで欲しいのが、ふらつくのは「筋力不足」が原因ではありません。
(そのケースも無くはないですが)
ほとんどのケースは、不良姿勢による「重心位置」の不具合です。
動作時の重心の位置が良くないため、ふらつくのです。
こういうケースも同じく、背骨やあばら骨まわりの動作を改善していって、
体を最適な位置に近づけられるようにしていく事でふらつきが軽減されます。
動画:片足立ちのエクササイズ
https://youtu.be/hqgNQVs6tIk
背骨まわりの動作が硬い人が、体幹トレーニングなどをやっても、
それは何の効果もありません。
元々体が固まっているのに、体を固める体幹トレーニングはそれを助長するだけです。
40代・50代、またそれ以上からのバレエダンス・スポーツ上達の壁を越えるには、
年齢を重ねて動きが悪くなっている部位の動作を、
元通りにする事が一番ではないかと思います。
スポーツの動作は所詮人が出来る動作の範囲です。
その中で、自分に出来ない動作が多いと、あるところで上達が止まってしまうという事です。
練習をただ続けていても、それ以上は上達出来ない。
その時が方法を変えてみるタイミング!
バレエダンス・スポーツで練習を続けていても、何か上手くならないなぁと感じたら、
それは現時点での”限界”に達してしまっているかもしれません。
「胸をもっと引き上げて!」など、
先生にいつも同じ事を言われても直せない・・
でも、その具体的な引き上げ方をその先生が教えてくれないのであれば、
そこではもう上達は望めないと思います。
そうした時には、諦めてしまう人もいるでしょうが、
諦めないで何とかしたいという方は、
私のように具体的な改善方法を指導出来る人のところを訪ねてみるといいでしょう。
まとめ”二兎を追って二兎をも得る”
という訳で、今回はバレエ・ダンスで外反母趾になる人の原因と対処法、
何歳からでも上達を可能にするためにやるべき事のお話をしてきました。
両方の改善に共通して欠かせないのが、
「姿勢の改善」「動作の改善」であるという事でした。
特に背骨まわりを正しく動かせるようにする事は、
体を正しく積み上げてキレイな姿勢をつくる事に直結しますし、
背骨が全体で大きくしなって(回って)動く事で、
ダイナミックでしなやかな表現をする事が出来るようになります。
体を正しく積み上げてキレイな姿勢をつくると、重心の位置が良くなり、
足への負担が軽減されます。
二兎を追う者は一兎をも得ずということわざもありますが、
姿勢の改善をしっかり行えば、
二兎を追って二兎をも得るになり得るのではないかと、私は感じています。
上達・改善を目指す皆様の参考になりましたら。