まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
4月の和風月名は、卯の花が咲く時期ですから「卯月」と呼ばれますが、卯の花は万葉集にも多く詠まれている白い花です。
唱歌「夏は来ぬ」でおなじみで、山間部ではゴールデンウイーク頃から見かける機会が多くなります。
そして清楚な感じの小さい卯の花に対し、ゴージャスであでやかな目連の花も見ごろを迎えます。
日本の春は梅に続き、桃、桜と開花して、私たちの目を楽しませてくれます。
そして例年なら、その間をぬって楽しめるのが、ひときは目立って咲く目連なのですが、今年は気温のせいでしょうか、多くの花が一斉に咲いてしまった気がします。
また日本人にとって最もなじみの深い春の花の一つに「タンポポ」がありますが、別名は「鼓草(つつみぐさ)」と呼ばれます。
タンポポの花の形が鼓に似ており、その鼓をたたいたらタン・ポン・ポンとなるので、「タンポポ」と名づけられたようです。
もっとも最近は温暖化で、花の咲く時期もかなり早くなってきましたが、いずれにしても4月は百花繚乱の春本番といったところでしょうか。
秋の紅葉とともに、一年で最も美しい季節ですが、桜の花が咲く頃に、一時的に冷え込んで寒くなることを「花冷え」といいます。
大変粋な表現だと思います。
単に気象現象だけでなく、桜の咲く時期の情景や日本の花見文化とも結びつけ、心のニュアンスまで含めた表現は、恐らく日本独特ではないでしょうか。
粋な言葉は花だけではありません。
4月初めは「春分」の末候「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」ですが、春本番を告げる雷が鳴り響くようになります。
また雷は夏に多いのですが、春の雷は一つ、二つで鳴りやむことが多いので、それほど恐怖心はないでしょう。
ちなみに春の雷は「春雷」と呼びますが、その年に初めてなる雷は「初雷」といいます。春が来て鶯が始めて鳴くことを「初音(はつね)」といいます。
同じ音でも性質は大きく異なりますね。
加えてこの時期の言葉におなじみの「朧月夜(おぼろづきよ)」があります。
この言葉も大変風情豊かですが、月がかすんで見えるのは中国の黄砂が原因といわれています。
ところで二十四節気の「春分」ガ終われば、次は「清明」の季節になります。
清明とは「清浄明潔」の略ですが、この時期が一年で一番、万物に清らかな気が溢れる頃で、全てのものが生き生きとする時期ということです。
では、なにをすればいいのということですが、お勧めは「整理・整頓」です。
身の回りの整理・整頓のみならず、自分自身の心も清めたいものです。
そして、ゆとりがあれば「お宮参り」がお勧めです。
AI万能の今、あまり認識することはないかもしれませんが、日本には昔から「穢れ」が少ないほど美しいという価値観があります。
だから、神社に参拝し、身も心も清めるのがいいという理屈です。
ただ参拝されるときには「作法」にも注意してくださいね。
鳥居をくぐるときには一礼して、次に手水舎で身も心も清めてからお参りします。
私はツワーで旅をするのが好きですが、ほとんどのツワーには有名な神社仏閣見学が含まれています。
その際、添乗員やボランティガイドの方々が丁寧に説明して下さるので、大変ありがたいのですが、残念なところもあります。
参拝に当たって最初に手水舎を案内していただければうれしいのですが、この部分が省略されるケースが多いように思います。
しかし、参拝の前には手水舎で清めるという行為はとても大事だと思います。
さらに教会にしても、お寺にしても、神社にしても、有名な観光スポットである前に、信仰の場であるということをお忘れなく。
身だしなみや立ち居振る舞いも大切ということです。
「清明」の季節が過ぎれば、「穀雨」の季節になります。
概ね4月20日頃からですが、多くの穀物を潤す「恵みの雨」が降る頃です。
この時期に降る小雨の長雨は「菜種梅雨」と呼ばれますが、最近の春の雨は必ずしも小雨ばかりではなくなりましたね。
また「春の花が早く咲くようにと催促するように降る雨」のことを「催花雨」と表現した先人の感性は本当に素晴らしいと思いますが、最近は状況も大きく異なってきているようです。
そして先人のように自然に対し謙虚に振舞い、自然に寄り添った生き方もTPOに応じて大切にしたいものです。
もともと花冷えや菜種梅雨や催花雨などの美しい言葉は、自然に寄り添って歴史を積み重ねてきた過程で生まれた世界に誇る美しい言葉です。
また自然に寄り添うということは、自然に対し畏敬の念を抱き、自然と共存することだと考えます。
災害防止などのために自然をコントロールすることも大事でしょうが、人の振る舞いをコントロールする方法を見出すことも大切にしたいですね。
今まさに清める力がピークに達している時節です。
自然から発散される清める力を、身体全体で受け止め、住まいも自分自身も精いっぱい清々しくして、元気で春を謳歌してください。



