マナーうんちく話2281《草木萌え動く弥生3月。雛人形は流すものだった》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

●草木が芽吹きを始める頃

菜の花や 月は東に 日は西に(蕪村)

冬枯れの野や山に、薄緑色の小さな息吹がみられる頃になりましたが、我が家の畑では、昨年秋に種をまいた菜の花が旬を迎えています。

菜の花は童謡「朧月夜」にも登場する、まさにこの季の花ですが、私が主催している講座開講日には毎年テーブルに飾り、受講生の皆様に春の息吹を感じて頂いています。

また、この花は「生け花」のみならず「食用」にもなる、とても貴重な野菜で、種の料金も手頃で、作りやすいのが嬉しいです。

ところで草木が目を出し始めることを「草萌え」と言いますが、これからは植物にとって、一雨ごとに春が来ます。

今年は異常なくらい雨が少なかったので、この時期の雨は大変ありがたいですね。

ちなみにこの頃の雨は「木の芽起こし」とも呼ばれ、多くの植物にとって、花を咲かせ、実をつけるのに大変貴重な雨になります。

●白魚のようなしなやかで美しい指
この時期の味覚としては「白魚」が有名ですが、昔は小料理屋で良く戴いたものです。

また白く透き通るような細長いこの魚は、「女性の細く、しなやかな美しい指」にもたとえられています。

それだけに箸、フォーク・ナイフ、コーヒーカップ、ティーカップ、グラスなどの小物を持つときには、指先を意識したいものです。

ポイントは指先を揃え、動作を丁寧にすることです。
手の甲に少し丸みを与えるのもいいでしょう。

特に和食をいただくときの箸使いの作法は三手ですが、指先を常に意識することが大事です。

●奥深い雛祭りの由来と蛤をいただく本当の理由とは?
そして3月3日は五節句の一つ「上巳の節句」です。

3月10日から14日頃は七十二候の「桃始笑」で、桃の花が咲き始める頃の節句ですから「桃の節句」とも呼ばれます。
桃は、邪気払いや安産の象徴とされてきました。
また桃の漢字は木偏に兆しですから、まさに春の兆しが感じられる木ということになります。

ところで「雛祭り」は最近でも非常に実施率の高い年中行事ですが、元は水辺で邪気を払う中国の行事が日本に伝来し、主に貴族階級に広がった行事です。

そして平安時代になると、邪気を草や土や紙で作った人形に移し、それを川に流す「流し雛」の風習になったといわれています。

つまり今は女の子の健やかな成長を祝う行事になっていますが、もとは中国の行事で、それが3月の最初の巳の日に、水辺で邪気を払う「上巳の祓(はらえ)」になり、その公家や武家の風習が庶民にも広がり、女の子のお祭りとして現在に至っているということです。

従って、この節句のポイントは、もともと自分の身体に蓄積した邪気を、人形に移すためですから、全部川や海に流さなければなりません。

それが室町時代頃から次第に凝った人形が作られるようになり、江戸時代になると、さらに豪華で精巧な人形になってきます。

こうなると川や海に流すのが勿体ないようになり、飾るようになります。
そして雛祭りの期日が過ぎたら、いったんかたづけて、次の年まで収納するようになった次第です。

今でも雛祭りを終えたら、人形を速やかにしまわないと婚期が送れるといわれていますが、これは整理整頓の大切さとともに、片づけることで、人形を川に流したと見立てたのだと考えます。

加えて、いつまでもお祭り気分に浸っていないで、「けじめ」をつけることの大切さをおしえたのでしょう。

ちなみに雛人形の「雛」は幼い鳥、つまり親からえさを与えてもらっている鳥を意味しますが、小さくて愛らしい様子を表現する言葉でもあります。

また江戸時代から飾られるようになった雛人形は、皇室の結婚式をモチーフにしていますので、ひな人形を飾る意味は女の子が良縁に恵まれることを祈願したわけです。


●蛤が雛祭りのご馳走の食材になった納得の理由
また雛祭りのご馳走に欠かせない具といえば「蛤」ですが、同じ貝でしか二枚の貝殻がピタッとかみ合わないので、夫婦和合及び幸せな結婚に通じるといわれ、縁起物として重宝されています。

さらに現代に通用するか否かは別として、女性の貞操観念の固さを象徴する食材で、貞操教育的なしきたりもあるようですね。

雛人形を飾る目的は女の子の幸せな結婚を祈願するわけですから、いずれも納得できます。

ただ蛤が雛祭りのご馳走に登場する最も大きな要因は、蛤は今が旬で、最も手に入りやすく、しかも美味で栄養価も高いからです。
冷蔵庫も冷凍庫もない時代の事ですから、旬の食材こそ重宝されたのでしょう。

●春の楽しみ「野がけ弁当」
行楽の季節到来で、この時期になると、ご馳走をもって野外に出て楽しむ風習があります。

いわゆる「山遊び」ですが、陽気が良くなると、山の神様とともに、野山で遊び、厳寒の冬に衰えた生命力を復活させ、春の息吹をしっかり取り込む意味合いがあったと思います。

特に江戸時代の女性は普段外出することがないので、花見とともに、とても楽しい行事になったといわれています。

行楽に持参する弁当は「野がけぶるまい」と呼ばれ、贅を尽くしたご馳走や弁当箱が発達しました。

ひとへに、江戸時代になって政権が安定し、平和な時代が長続きし、経済が発展したお陰です。

なんだかんだと言って平和が一番ですね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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