まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
日本は国土の7割以上が山林で覆われた南北に細長い国ですが、春夏秋冬の四季以外にも二十四の「気」という季節と、七十二の「候」という季節があります。
天気の事を「気候」と呼びますが、この「気」と「候」をあわせたものです。
明治5年までは日本では旧暦が使用されていましたが、当時の人々はそうした季節の移ろいを敏感に感じ取り、自然と共生していたわけです。
旬や初物を楽しみ、四季の風物詩を生活に取り入れ、多彩な祭事や行事に、五穀豊穣や健康や子孫繁栄などを祈願してきました。
AIやIT万能の時代とはいえ、自然と仲良く暮らす旧暦の生活は、ますます価値を深めていくことでしょう。
「厳寒の日々が続いていますが暦の上では春になりました」「相変わらず猛暑が続いていますが「暦」の上ではすでに秋です」とか言われますが、決して「カレンダーの上では・・」とはいいません。
昔の暦には、身も心も喜ぶ内容が凝縮されていると思っています。
●月と太陽の暦
人は昔から、月の満ち欠けと太陽の動向を目安に、季節や月日などを把握していました。
月が新月から、次の新月になるまでを一月とするのが「太陰暦」です。
ちなみに太陰とは月の事です。
一方、地球が太陽の周りを一周する時間の長さを一年とするのが「太陽暦」です。
現在の暦を「新暦」、そして明治5年まで使用していた暦を「旧暦」と呼んで区別していますが、旧暦は正確には「太陰太陽暦」で月と太陽の動きを基にした暦です。
ちなみに新暦は「太陽暦」ですが、まだ150年余りです。
旧暦はもともと中国の春秋戦国時代(約2500年前)に、農作業のタイミングを把握する目的で、黄河流域から下流の地域で考えられたものが、6世紀頃に日本に伝わってきたわけですから、千年以上の歴史があります。
ただ新暦の季節感とは異なる点が多々あるのも致し方ないですね。
旧暦は歴史が長いだけに、その名残があちこちに残っているということです。
●二十四節気が生まれた背景
太陽の周期と月の満ち欠けは同じではなく、一年間で11日くらいのズレが生まれます。
だから閏月(うるうつき)を数年に一度設けて、一年が13か月の年を作りましたが、これでは農業を始め、日常生活にも大きな影響が出てしまいます。
そこで季節感を補う目的で一年を24等分した24節気が誕生したわけです。
太陽が最も低くなる日が「冬至」で、高くなる日が「夏至」、その中間が「春分」と「秋分」で、この4つを起点に一年を24に分けたわけです。
●四季より詳しく、一年間を24等分にして名前をつけた二十四節気
二十四節気は太陽の動きを基に、一年を24等分して、季節の移り変わりを分かりやすくした暦で、立春で始まり、大寒で締めくくられています。
春、夏、秋、冬をそれぞれ6つに分け、合計24の節気を定めることで、種をまいたり、収穫するタイミングを知るわけですが、現代でも、天候によって左右される農作業の目安になっています。
私も種をまいたりする際に参考にします。
●現代の季節感と二十四節気のズレが生じる原因
一年で最も寒い日が「立春」で春になったり、最も暑い日が「立秋」で秋になったりで、季節のズレを大いに感じることは多々あります。
これは日本の季節と中国の黄河の中流・下流の流域との気候の差が考えられます。
また、この暦が誕生してから数千年以上の月日が経過しており、気温の差が生じているのも原因の一つです。
まして最近は地球温暖化の影響を激しく受けています。
さらに日本は南北に細長い国ですから、暦と体感は当然地域により異なります。
●二十四節気を日常生活に気軽に取り入れた人生の楽しみかた
都会のど真ん中での暮らしでは、季節の移ろいがなかなか感じられないかもしれませんが、ほとんどの地域で実は、季節を感じることは可能だと思います。
常に二十四節気を意識することをお勧めします。
出来れば手帳もカレンダーも二十四節気が表示されているものがお勧めです。
そのことにより季節の移り変わりを時系列に把握することができ、ファッションやテーブルコーディネート、部屋のしつらえ、さらに年中行事等の参考になるでしょう。
つまり自然のリズムに乗り、季節と同化することができるということです。
さらに日本には季節に応じた時候の挨拶もあります。
暑中見舞い、残暑見舞い、寒中見舞い、余寒見舞いなどはすべて二十四節気が基準になります。
お中元やお歳暮の目安に活用してもいいですね。
そして料理に携わる人にとっても二十四節気や七十二候は参考になるでしょう。
私は野菜の種まきなどの参考にします。
●二十四節気の一覧
〇春の二十四節気
立春、雨水、啓蟄(けいちつ)、春分、清明、穀雨
立春は二十四節気のスタートで、一年の始めです。
ちなみに「八十八夜」「二百十日」は、それぞれ立春から数えて88日目と210日目です。
まさに暦の上では春になり、しだいに花が咲きほころび、生命力が溢れ、雛祭り、お彼岸、入学式などの行事があります。
ワラビやゼンマイなど苦い食材が食卓に並びます。
〇夏の二十四節気
立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑
次第に夏の訪れが感じられるようになり、やがて梅雨を経て猛暑を迎えます。
水分補給や熱中症に対する注意が必要です。
トマト、キュウリ、ピーマン、茄子など夏の食材が旬を迎えます。
鰻の蒲焼、七夕、お盆の行事があり、学校は夏休みがあります。
夏至は一年で最も昼が長く、夜が短い日です。
〇秋の二十四節気
立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降
残暑も厳しく、台風に警戒する時期ですが、やがて自然が穏やかに移り変わり、紅葉のシーズンを迎えます。
野菜や果物といった農作物が収穫の時期を迎え、秋祭りやお月見を楽しむ頃になります。新米が出回るようになります。
まさに食欲の秋、行楽の秋、文化の秋で、なにをするにも良い季節です。
〇冬の二十四節気
立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒
寒さが到来し、インフルエンザ等にも注意が必要ですが、一方ウインタースポーツやクリスマスや正月といったビッグイベントが楽しみの季節でもあります。
花や野菜も少なくなり、人にも動物にも厳しい季節です。
以上ですが、中でも特に夏至と冬至を「二支」、春分と秋分を「二分」、そして二支と二分を併せて「二支二分」といいます。
また立春・立夏・立秋・立冬を四立(しりゅう)といい、二支二分と併せて「八節」といいます。
最後に二十四節気はとても細かく一年間を分類していますが、完ぺきではありません。そこで「雑節」「五節句」と呼ばれる季節の区分を取り入れるわけですが、「七十二候」とともに次回で詳しく触れます。



