マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
いよいよ令和7年も残り僅かになりましたが、気分的にあわただしくお過ごしの方も多いと思います。
令和8年を清々しい気分で迎えたい気持ちの表れでしょうか。
今までのおさらいになりますが、正月は年神様をお迎えし、おもてなしをして、お見送りをする一連の行事です。
歳神様は先祖霊や穀霊の集合霊であり、日本人の暮らしの中で大切に伝えられてきました。
そして12月は歳神様をお迎えするにあたり、準備万端整える月と言えるでしょう。
それぞれの家庭において年神様をお迎えするわけですから、家の中を清めなければなりません。
「マナーうんちく話」でもすでに触れておりますが、12月13日は「煤払いの日」で、神様をお迎えするため、家の中を清める日です。
現在の大掃除ですが、かつては12月13日と、全国一斉に取り組む日が決められていました。
一年の罪や穢れを払い、家の中を清めて、気持ちよく年神様をお迎えするためで、この日から計画的な準備が始まるわけです。
ちなみに生まれ育った家に里帰りされた年神様が、暫く鎮座される場所は「鏡餅」です。
●「良いお年を」の言葉には、年神様をお迎えする準備の意味がある
ところで師走も中旬から下旬にかけて、今年最後に会う人には別れ際に「良いお年を」という挨拶をかわしますが、この言葉は年神様に関わりがあります。
年神様がそれぞれの家で滞在中に、心地よく過ごしていただくために「煤払いの神事(大掃除)」をするわけですが、この大掃除は勿論12月31日には完了していなければいけません。
従って12月31日に「良いお年を」というのは適切ではないような気がします。
なぜなら大晦日はすでに準備万端整っているからです。
では大晦日にかわす別れ際の挨拶はどのような言葉がいいのか?
「今年一年お世話になり有り難うございました。来年もよろしくお願いいたします」がお勧めです。
勿論、今の時代「良いお年を」でも、相手に違和感を覚えさせることはないとおもいます。
また、いつから「良い年を」を使用するか決まりはありませんが、12月の中頃から遅くとも30日くらいまでがいいと思います。
大晦日は準備が整っているので「来年もよろしくお願いします」がいいでしょう。
では喪中の人への別れ際の挨拶はどうか?
「良いお年をどうぞ」でも間違いではないと考えますが、喪中の人は正月をめでたい気持ちで迎えることは出来ないと思います。
従って「来年もよろしくお願いします」がいいと思います。
「良いお年を」といわれたら「良いお年を」で返します。
●正月を気持ちよく迎えるために借金の清算を年末にする
私が社会人になりたての頃は、今のような居酒屋はあまりなく「スナック」でよく飲んでいました。
当時はなじみの客になればいちいち現金払いでなく「ツケ」払いができたので、給料日前なんかとてもありがたかったわけです。
ちなみに「ツケ」とは、商品や飲食代金などを店から借りた形にしておいて、後日その代金を支払う慣習です。
江戸時代には米や醤油のような買い物は「ツケ」が一般的だったようで、そのツケを年末にしなければなりません。
年末には様々な借金や利子の支払いが行われていたということですね。
従って手持ちの金がない人は、年末は大変難儀をしなければなりません。
年末を「年の瀬」というのはそのためです。
ちなみに「瀬」は川の難所ですから、借金を多く抱えている人にとっては、年末は川の難所である「瀬」を渡るようなもので、とても厳しく、とても越せそうにないわけですね。
日本では、この風習は戦後しばらくは続いていたと思います。
ただ江戸時代の取り立て屋は、年末に取り立てることができなかったら、来年の盆迄伸ばしてくれたようです。
嘘か本当化はわかりませんが・・・。
なんとなく当時の人の温かみが感じられるようですね。
年神様から頂戴する「お年玉」をスマホで送信したり、米が異常の高値を記録したり、歳神様も何かとご苦労が多い年になりましたが、世界屈指の長い伝統を誇る日本の正月文化の由来を正しく理解し、次世代に紡いでいきたいものです。
令和8年の午年が、「マナーうんちく話」をご愛顧いただいた皆様方にとって、何事もうまくいって、末広がりの良いお年になりますように・・・。



