マナーうんちく話2270《落ち葉で季節の移ろいを楽しむ師走・12月》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

世界に誇る日本の四季の美しさ!
その代表格と言えるのが秋の紅葉でしょう。

木々の葉が鮮やかに色づき、周囲の風景に一層の彩りを添えていましたが、それもつかの間、その期間は儚いほど短く感じます。

平家物語の冒頭に「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・」という言葉があります。

諸行無常とは仏教の根本的な教えであり、この世に存在するすべての物は常に変化し、同じ状態にとどまることがないという意味です。

紅葉の美しさも、厳しい冬に向かう直前の20日前後くらいです。
だからこそ鮮烈な色になって、日本人の心を魅了するのかもしれませんね。

ちなみに紅葉の終わりを表す「色葉散る」という言葉があります。

晩秋のせつなさや寂しい気持ちを表現する言葉ですが、この時期は、すでに紅葉して散って行く葉もあれば、まだ染まっていない葉もあります。

このような二つの状態が存在する意味でも使用されますが、秋の終わりと冬の到来を知らせる言葉です。

そして11月27日から12月1日頃は七十二候の「朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)」です。

北風が、木の葉を払うように落としていく頃で、冷たい風が吹く度に木の葉が舞い散っていきます。

「木の葉時雨」という言葉もこの時期にはお似合いです。
雨でなく、風で木の葉が舞い散る情景を表した冬の季語ですが、何となく切ない気分になりそうですね。


美しい紅葉も色が褪せてきて、風に吹かれて散っていくと、いずれ我身もと、何となくネガティブな気分になりやすいものですが、そこは考え方次第です。

紅葉した葉が落ちる姿を、来春の芽吹きの準備として前向きに捉えるとともに、日本の四季の移ろいを、落ち葉で楽しむのもいいものです。

また落ち葉を植物の根元に敷いて土の乾燥を防いだりすることができます。
また水分を保持することもできるし、腐葉土もつくれます。

ところで江戸時代の初めにサツマイモが渡来しましたが、やがて焼き芋全盛の時代を迎えます。

さらに元禄時代になるとカボチャが普及し始めますが、当時の日本人女性は、カボチャとかサツマイモの甘味が大好きだったようです。

かぼちゃは「初かぼちゃ 女房千両でも 買う気」という川柳もあります。
一方サツマイモは「九里四里旨い十三里」という洒落が人気を集めたようです。

我が家でも落ち葉を集めて焼くときに、家で採れたサツマイモで「焼き芋」をつくります。
決して見た目は美しいとは言えませんが、熱々の味は最高です。


ところで間もなく寒気が到来するようですが、12月7日は二十四節気のひとつ「大雪」です。

いよいよ積雪の季節になり、木の葉が北風に舞い散る光景があちらこちらでみられるようになります。

そして「南天」の実が赤く色づいてきますが、12月2日から6日頃は七十二候の「橘始黄(たちばなはじめてきばむ)」です。

橘は柑橘類ですが、ミカンや八朔のようになじみ深いものではありません。

しかし唯一日本原産の柑橘類で「日本書紀」や「古事記」に登場しているとか。
常緑樹で、つやつやとした青い葉が茂っているので、大変縁起の良い木とされています。

そんな橘の実が黄色く色づく頃でもありますが、今では「冬至」のカボチャや柚子が圧倒的に知られていますね。

ちなみに冬でも葉っぱが落ちない木として「松」がありますが、松は神様が宿る木であり、門松に使用されます。


さて令和7年もついに師走を迎えましたが、師走の声を聞くと気分的にあわただしくなるのは、やはり気持ちよく新年を迎えたいという日本人の気持ちの表れだと思います。

インフルエンザが全国的に猛威を振るっています。
うがいや手洗いなど基本的な対策を心がけ、無理をしないで元気にお過ごしください。

落ち葉には油分が含まれているので、落ち葉が重なり合っている場所では注意が必要です。特に濡れ落ち葉は雪道や凍結路と同じくらい危険です。
ご注意ください。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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