マナーうんちく話535≪五風十雨≫
【秋の語源】
晩夏から初秋にかけて、草木に宿る冷たい露を「寒露」と表現します。
暦の上では「白露」から「寒露」、さらに「霜降」へと露から霜に変わっていく時節ですが、今年の秋はどうでしょうか・・・。
秋の語源は実りの季節を迎え食物が「飽きるほど」市場に出回るので「飽き」が「秋」になったという説が有力ですが、紅葉が始まり木々の葉が紅く染まるので「紅」が「秋」になったという説もあります。
加えて、空気が澄んで明るくなるので「明るい」が「秋」になったという説もあります。抜けるような雲一つない青空の事を「秋晴れ」といいますね。
いずれも心が前向きになる説ばかりですので、食欲の秋、行楽の秋、読書の秋、芸術の秋など五感をフル稼働しながら、しっかり日本の秋を楽しんでくださいね。
【女心と秋の空】
しかし油断大敵です。
「女心と秋の空」という言葉もあります。
女心と秋の天気は変わりやすいということです。
では男心はどうでしょう。
「男心と春の空」という言葉があるかどうかわかりませんが、秋の天気も、春の天気も、人の心も変わりやすいのは確かなようです。
日本文学では秋の夕暮れが多くの作品に登場しますが、秋には「鶴瓶落とし」という言葉もあります。
暮れそうでなかなか暮れないのが春の天気ですが、くれそうな気配がないのに急に暮れてしまうのが秋の空です。
釣瓶とは井戸で水を汲み上げるための道具ですが、私が住んでいる地域には殆どの家に井戸があります。
ただ人力で、釣瓶でくみ上げるところはさすがに少なくなり、ほとんどがモーターでくみ上げ、農業用水などとして利用します。
井戸の釣瓶は殻の状態では、井戸の底に急に落ちるので、秋の夕暮れはそれに似た感じでは急に暮れるという例えです。
誇張表現ですが、確かに夏から秋に向かって日没時間は早くなり、しかも日没後の薄明の時間まで短くなるので、急に暗くなったと感じるわけです。夕暮れ時は、いそがしい時間帯だと思いますが、たまには秋の空の変化を楽しむのもお勧めです。



