マナーうんちく話2239《日本人なら知っておきたい国歌「君が代」の由来や意味と斉唱時のマナー》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

三寒四温を繰り返しながらも日毎に春めいてきました。
日本は今でも旧暦と新暦が混じっている気がしますが、春は二十四節気では「立春」から「立夏」の前日までで、これが天文学的には「春分」から「夏至」の前日までということになります。
ただ理屈はどうであれ、感覚的には3月・4月・5月だと思いますが、最近の気候変動で今後は大きく変わるかもしれませんね。

ところで昔の人は、春は「東風」に乗ってやってくると信じていたようですが、それとともに鶯がさえずり、梅が高貴な香りを放ってくれるようになります。
ちなみに鴬は「春告げ鳥」であり、梅は「春告げ草」と呼ばれ、ともに大変おめでたい春の使者です。
「梅に鶯」という言葉もあります。

梅は奈良時代に留学僧によって中国から伝わったといわれますが、当時の貴族は自分の屋敷に梅を植え、それを愛でるのがステータスだったとか。
厳しい寒さの中で百花に先だち、いち早く春の訪れを知らせてくれるので、大変重宝されていたようです。
したがって当時は花見といえば「梅」だったことが容易に推察できます。
しかし梅はおめでたい花ですが、国花ではありません。
日本の国花は春の代名詞ともいえる「桜」と、秋を代表する「菊」です。

そして日本の国歌は「君が代」です。
前回触れました日本の国旗である「日の丸」や、今回のテーマである日本の国歌の「君が代」は、それぞれ日本のシンボルです。
世界の多くの国が、国民の思いや自国の文化や歴史を背景に、国旗や国歌を定めています。
だから特に国際社会では、国旗や国歌を尊重することはとても重要な事であり、大切な儀礼でもあります。
ただ、いまの日本では国旗にせよ、国花にせよ、あまり詳しく教えないので、幼いころから何十年も、機会あるごとに「君が代」を、歌ったり聞いたりしているにもかかわらず、その意味は正しく理解されていないのではないでしょうか。
改めて「君が代」について触れてみます。

君が代の歌詞は「君が代は 千代に八千代に さざれ石の 磐をとなりて こけのむすまで」の57577からなる文字で構成されている、古今和歌集の中のお祝いの唄とされています。
1000年以上前の「読み人知らず」の歌ですが、今では数多くの研究書があり、諸説あります。
時代の流れとともにいろいろな捉え方をされてきたということでしょうか?

そして明治4年に陸海軍の制度が成立し、それとともに、本場ヨーロッパなどから教師を雇い「軍楽隊」が発足させ、儀式や式典で演奏するとともに広報活動を担うようにます。
日本の国歌も、君が代の歌詞をもとに、最初イギリス人の陸軍軍楽隊長が作曲しますが、どうやらこれは日本人の感性にマッチしなかったようです。
そこで明治の中頃になって、今度は海軍軍楽校の教師により吹奏楽用に編曲され、国歌として位置づけられた、ということになっているようです。
さらに歌詞の意味も、親しい人の幸せや長寿を願う意味から、「君」が天皇を意味するようになり、天皇の治世が末永く続きますようという願いが込められた感じに変化したわけです。
つまり国歌の繁栄や永続を祈る内容になったということでしょう。
「千代に八千代」にとは非常に長い時間を表します。
「さざれ石の 磐となりて 苔の蒸すまで」という表現は、長い時間をかけて国や社会が成長し、繫栄していくという意味ですが、もとの解釈は、男性と女性が結婚し子どもが生まれ、やがて孫が生まれ、家族や親族が栄えていく意味だったようです。

つまり社会背景により歌詞の意味が異なり、歌詞内の比喩表現、さらには戦争との関係により異なってくるので、本当に難しいことは確かだと思います。
いずれにせよ「和歌」としては1000年以上、国歌としては100年以上続いていることは確かであり、歌詞や旋律を通じ、日本人の美意識や伝統を忠実に守りながら、平和や繁栄や長寿を表現した君が代は、世界最古の国歌で、世界に誇れる国歌ではないでしょうか。

●国歌に対するマナー
戦前の義務教育が教えた「国民礼法」では、初等科4学年の生徒に対し、君が代を歌う時は、静かに立って、姿勢を正して、真心こめて歌うよう指導していますが、全くその通りだと思います。
「国歌斉唱」の時になすべきことは二つあります。
一つ目は起立して姿勢を正すことです。
帽子をかぶっているときは脱帽してください。

二つ目は大きな声で歌うことです。
斉唱とは声を揃えて一緒に歌うという意味です。

国歌斉唱の時は起立して、姿勢を正し、指は足の両端に伸ばし、指先はピンと伸ばしてください。
その状態で、日の丸の一点を見つめ、真心こめて、大きな声で歌うということです。

外国、特にアメリカなどでは、右手を胸に当てて歌うところもあるようですが、私は日本では胸に手を当てる必要はないと思います。
なお「国歌独唱」といって、国歌の吹奏のもとで、代表者が単独で国歌を歌唱することがありますが、この場合は黙って聞けばいいでしょう。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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