マナーうんちく話2199《素敵なマナーを身に着け仕事も人生もモア・モアハッピーに》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

12月の和風月名は「師走」がよく知られていますが、他にもお洒落な呼び方があります。

先日食事に行った店で「春待ち月のおすすめ料理」といった表示を見ましたが「春待ち月」も美しい呼び名ですね。

旧暦の正月は今の立春の頃ですから、正月を迎えるということは、同時に花咲く春になるということで、さぞかし待ち遠しかった事だと思います。

また古い年を除くという意味で「徐月」とも言います。
正月には歳神様をお迎えするわけですから、邪気を取り除き、清浄な空間を作らなくてはいけません。年末の大掃除も、もとは邪気を払うためです。

今年はコロナに加えインフルエンザの蔓延や異常な暑さが続きました。
さらに政界財界の不祥事が目立ちました。
もう慣れてしまいましたが・・・。

だから古い年をリセットして、清々しい気持ちで令和6年を迎えたいものですね。


【長い人生を自分らしく輝いて】

日本は今や世界屈指の長寿国です。
特に日本人女性は平均寿命も健康寿命も国連加入国193か国中トップクラスの長寿が続いています。男性も世界一ではないですが、つねにそれに近い成績を維持しています。

加えて人口10万人当たりの百歳人口も日本はスバ抜けて高く、百寿者は全国に9万人以上存在しています。
ごく普通の人が百歳を迎えているということです。

人類永遠のテーマである「長寿」を世界に先駆け実現したといってもいいと思います。大変すばらしいことで世界に誇ることですね。

では長くなった人生をどのように生きたらいいのでしょうか?
自分らしく輝き、豊かに生きたいものです。

自分らしい生き方はまさに10人10色ですが、他人と比較せず、しっかりとした考えのもと、やりたいことや楽しいと思えることを選択しながら過ごせたらいいと思うのですが・・・。


【人生思い通りにいかないことも多々ある】

ところが学生時代一生懸命勉学に励み、希望に燃えて社会に出たものの、こんなはずではと悩んでいる人も多いと思います。

自分の人生を振り返ってみたら、精いっぱい頑張っているつもりだけど、どうも転職が多く、どこの職場も長続きしなかった。

年齢のわりには人脈が築けていない。

人間関係がうまくいっていない。

上司やお客さんともうまくいかないことが多い。

何回お見合いをしても断られるケースが多いなどなど。

いっぽう、たいして能力があるように思えない、また努力もしているわけでもないのに、仕事やプライベートがうまくいっており、いつも幸せそうにしている。

いったい、この違いはどこにあるのでしょうか。

運、不運もあるでしょう。
コネも考えられます。

長年ホテルの現場の第一線で接客の仕事に携わり、さらにマナー講師として、数えきれないくらい多くの人に接してきて痛感することは、素敵なマナーを発揮できる人とそうでない人では、歴然とした違いがでるということです。

それだけマナーは社会生活に大きな影響を与えるということですね。


【戦前のマナー教育は素晴らしかった】

多大な効果があるマナーについてですが、現在日本の公立の学校で体系的なマナーを教えているところは、私の知る限りではほとんどないと思います。

800近くある大学で「礼節学部」とか「マナー教育学科」という言葉は聞いたことがありません。

ただ専門学校等ではビジネスマナーなどを教えるところは結構あるようですが、それでも全体の割合からすれば微々たるものでしょう。

日本は「礼節の国」といわれますが、それはどうやら江戸時代や戦前の学校教育によるものだと思います。

ちなみに江戸時代の日本の教育水準は世界屈指の高さだったといわれていますが、藩校や寺子屋のお陰でしょう。

特に人口の9割近くを占める庶民の教育を担っていた寺子屋で、非常にレベルの高い礼節教育が行われていたわけです。

例えば以前にも触れましたが「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理で末決まる」という言葉が江戸しぐさにあります。

当時は15歳くらいになれば立派な大人で、社会人として働くことになります。
大店に丁稚奉公に行くことが多かったようですが、すでにそれまでに今のビジネスマナー全般を寺子屋で学んだのでしょう。

最初に「三つ心」といわれているように、三歳まで親は家庭で子供に徹底的に愛情を注ぎ、心を養っていたと思います。
「三つ子の魂百まで」といわれますね。

そして6歳まで日常生活における基本的なマナーをしつけたといわれています。
履き物の脱ぎ方・揃え方、美しい箸使い、排せつのマナーなどなど。

9歳になるまでにはコミュニケーションスキルを身につけ、12歳ころにはビジネス文章全般を習得し、15歳になると物事の道理を理解できるようになったわけです。
ご立派。

そしてこの精神は明治から昭和20年に終戦を迎えるまで、当時の尋常小学校、尋常高等小学校、国民学校、高等女学校に受け継がれていきます。

理科や国語や社会などと同じように教科として「礼節」を学んだわけです。

なにしろ戦争期ですから軍国主義の要素や良妻賢母的要素はあるものの、礼節教育に使用された教科書は、全体的には凛とした美しさを兼ね備えているように感じました。
またレベルの高さには感心しました。

そして敗戦を機に戦後教育に移るわけですが、残念ながらここでは一切学校でマナー教育に触れていません。
公立の学校では宗教教育もないでしょう。

マナーも宗教も長い人生をよりよく生きるためのものですが、そのような教育が現在の日本の学校でどのくらい行われているのでしょうか。

先進国のなかでも、友達を作る能力が日本の児童は極端に低いのが気になりますね。

美しい箸使いが、精神的にも肉体的にも多大な効果を及ぼすことおよび、先手必勝の挨拶や笑顔や人の話を聞くことの大切さなどをしっかり教えればいいと思うのですが、現代教育は、それより大事なことが多いということでしょうか?

私は小学生に英語を教えるよりも先に、美しい箸使いや挨拶の仕方などを教えた方がいいと思っていますが、いかがでしょうか?

自国の文化や美しい作法をないがしろにしては国際化に対処できないでしょう。

思いやりの心、感謝の気持ちなどは戦前の学校教育がそうであったように、まだ幼い時、つまり小学校から中学校を終えるころまでに育まれていくのではないでしょうか?

大学を卒業する頃や新入社員になって、にわかに身につけるものではないということです。


【マナーの学び方は多種多様】

現実的には、マナーの大切さを認識した時から、自分でコツコツ学ぶことがお勧めです。
情報は氾濫するくらいあります。
さらに学び方もいろいろあります。

講座を受けてもいいし、通信教育も充実しています。
ネットの情報だけでも大学院修士課程レベルまで学べるといわれています。

私は50歳過ぎてから、それまでの生活習慣を激変させて、働きながら通信教育で学ぶとともに、手当たり次第いろいろな本を読みました。

マイベストプロ岡山に登録して「マナーうんちく話」のコラムを書くようになり、それに拍車がかかったように思います。

あくまで自己満足の範囲を超えませんが、多くの人と素敵なご縁をいただき、自分なりに満足のいくセカンドライフだと思っています。

人生百年時代ですから、マナーを学ぶについては、いくつになっても遅すぎることはないと思います。

実際私が主催している講座には卒寿を過ぎた人も珍しくありません。
選りよい生活を実現するためには、マナーに是非関心を持っていただきたいものです。


【和の礼儀作法には人生をよりよく生きるヒントが凝縮されています】

西洋のマナー、日本のマナーにはそれぞれ特徴があります。

西洋のマナーはコミュニケーションに大いに役立つと思います。
特にテーブルマナーはその要素が大きいでしょう。
また国際社会で存在感は高いと思います。

いっぽう日本のマナーは四季に恵まれ、平和な社会環境で生まれただけに、他者に対する「思いやり」や「感謝」や「敬意」を根源としており、その精神はSDGSにも大いに役に立つと考えます。

いずれにせよ、マナーには《なぜこうするか》という合理的理由が存在するので、まずはそれを理解されることをお勧めします。

例えば和室の襖の開け閉ては複数回に分けておこないますが、理由は部屋の中にいる人への思いやりです。

「畳のふちを踏むな」といわれますが、これも本来の意味は思いやりの心から来ています。

座礼の時に扇子を前において挨拶する理由は、相手に対する敬意からです。

この様になぜそうするのかという理由を理解すれば、それが心になり、形になります。その結果、人格が形成されるということでしょう。

戦後日本は復興を目指し、なりふり構わず懸命に働きました。
そのお陰で経済大国の仲間入りし、物質的な豊かさを謳歌できるようになりました。長寿になった大きな原因もここにあるでしょう。

そして物が豊富になれば、今度は心の豊かさを追求するゆとりが生じてきました。

「衣食足りて礼節を知る」ですね。

改めて四季に恵まれ、稲作文化を築き、平和な社会の中で生まれ、育まれた日本の文化を見つめ直してみると、その素晴らしさに気がつくことができます。

他者に対する思いやりや敬意や感謝の心を根源にした日本の礼儀作法が、現代人が背負っている深刻な課題である、平和や環境保全などに役立つことも理解できるでしょう。

最近特に西洋文化に押されて影を潜めてきた日本のしきたりも、冠婚葬祭の中では脈々と生きています。


【マナーを理解している大人が少なくなってきている】

しかし残念ながら、若い人のみならず社会経験の豊富な大人でさえも、振舞い方が解らない人が多くいます。

親が子に、美しい箸使いや挨拶の仕方などを、どう教えたらいいのか、わからないケースも珍しくありません。

このことはマナーに関する多くの講演を通じ痛感していますが、学校で学んでいないわけですから無理もないことです。

加えていま、政財界の不祥事が目立ちすぎている感があります。

まるで悪事を働かないと儲からないとか、出世ができない世の中になっているかのようですね。
大変由々しきことです。
真面目に生きている人はたまりませんね。

改めてマナー教育の重要性を認識していただきたいものです。
特に社会的影響力が大きい人は。
教育や子育てに携わる人しかりです。

世界の偉大な喜劇役者の言葉ですが、世界中の人が少しでも素敵なマナーを発揮し続けたら、世界はもっと、もっと住みやすくなります。

マナーは自分も相手も幸せにします。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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