マナーうんちく話2182《暮らしに取り入れたい和の心・和のしきたり・和の作法》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

デジタル化、国際化、少子高齢化、核家族化、過疎化などなどにより、世の中が目覚ましく変化していきますが、ビジネスや日常生活においても、そうせざる得ない場合は多々あると思います。

しかし、たまには自然の移ろいや、先祖のことなどに思いを馳せるひと時があって欲しいものです。

自分に対し「今何を感じているのか?」「これからどう生きたいのか?」・・・。

自分自身に対して素直な気持ちで問いかけることで、先人が長い月日をかけて築き上げた豊かな感性や、思いやりの心に触れることができるでしょう。

例えば日本には「敬語」という素晴らしい言葉があります。
ビジネス教本でいくつかの典型的な言葉に触れても、本当の意味で自然に対する繊細な感性や優しさが養われないと敬語を理解することは難しいと思います。

例えば「今年も紫陽花が見事に色づきましたね、本当に小まめにお手入れをなさるから・・・」。

「お褒めに預かりありがとうございます。この雨で紫陽花も喜んだのでしょう・・・」。
「それはようございましたね。ではごきげんよう・・・」。

このような優しい会話と、雨上がりの紫陽花を見て、それを美しいと感じる気持ちが敬語の世界だと考えます。

また時の流れでしょうか。
「SDGs」とか「自然保護」とか言われますが、日本にはもともと自然保護という概念はありません。

自然は保護するものではなく、地球上のすべての生き物、つまり動物も人も植物もすべて自然そのものなのです。

日本人は「自然によって生かされている」という謙虚な気持ちがあったのでしょう。
しかし人間が自然を超越していると捉えている国も多くあります。

水が上から下に自然に流されるのが日本の庭園ですが、外国には噴水を作って人間の力で水を上にあげる庭園も存在します。

日本には日本の、西洋には西洋の感性があり、マナーがあります。

国際化の時代ですから、時と場合により「和の作法」や、「プロトコール(国際儀礼)」を使い分ければいいでしょう。

また日本には「もったいない文化」がありますが、一番もったいないことは、国際化の波を受けて西洋のマナーや文化を優先するあまり、自国の文化や作法が影を薄めることです。

例えば戦後キリスト教系のクリスマスやバレンタイン、ハロウイーンなど儲けにつながる行事は一大イベントになりましたが、日本の伝統行事で失われたものも多々あります。


そして「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され10年になります。
季節性や食材の多様性も大きな魅力ですが、年中行事との深い関りが世界に認められたわけです。

しかし残念ながら多くの伝統的行事は影を潜めたものも少なくありません。
また本来の意味が歪んできているのもあります。

さらに和食の作法や、和食に込められた精神文化などを知る人は少なくなる一方だと感じます。
寂しい限りですね。

飽食の国、美食の国になった今の日本には、料理番組が飽きるほどあります。
大食いを競う番組も人気がいいようです。

でもテレビやグルメ本に、和食の作法の解説はまずありません。
そればかりか味見をするレポーターの、器や箸使いが気になることが結構あります。

オリンピックの「おもてなし」もそうでしたね。

東京オリンピックの招致委員会で、日本の「お・も・て・な・し」が世界の話題になり、大変誇らしく思いましたが、いざスタートしてみると、箸をつけられてない弁当が大量に廃棄されたり、収賄や談合が大きな問題になり、こんなはずではと思った人も多かったと思います。


ところで私が個人的に大変勿体無いと思うのは、戦前の義務教育が教科の一端として教えた、素晴らしい作法が年々影を薄めていくということです。

例えば贈答の作法や神社での参拝の作法、冠婚葬祭に関する作法、和食の作法などなどです。

今「内祝い」や「土産」などの文化を否定する人が多くなりました。
個人の自由だと思います。

しかし時代の流れといってしまえばそれまでですが、残念な気がします。

ちなみに私は旅行にはよく行きますが、必ず気持ちばかりの土産を知人・友人に買います。

それぞれ、差し上げる人の好みや、価値観に合わせ、時間をかけゆっくり選びます。

勿論経費もかかり荷物にもなりますが、相手が喜んでくれる顔を思い浮かべながら選ぶ時間は幸せな時間です。

そして持参して、笑顔になっていただけたら、とてもハッピーな気分になれます。
相手の役に立つ、喜んでもらえるということは本当に幸せなことだと思います。

お土産を差し上げる人も多いですが、頂くことも少なくありません。
持ちつ持たれつの、いい関係は大切にしたいと思っています。

お土産の意味も昔に比べ大きく変化しましたが、そこに込められた思いは不変です。
尊い心は時代がいかに変わろうとも大事にしたいものです。

「土産」にせよ「内祝い」にせよ日本独特の習慣です。
だからこそ大事にする必要があると私は思っています。
これが日本の伝統であって文化なので、不必要に西洋に合わせることはないでしょう。

農作物でもそうです。
我が家で育てた野菜の「初物」を収穫すれば、ご近所に配ります。
また戴くことも結構あります。
とても心地よい関係です。


戦後の教育は、内容は豊富ですが、学校で礼節を教えることがなくなりました。
また宗教教育も公立の学校ではありません。
なぜでしょうか?

愚痴を並べても仕方ないのですが、日本のしきたりや和の心を再度振り返りたいものです。

戦前の小学生や、江戸時代の子が学んだ作法が、現代人に理解されないことはないと思うのですが・・・。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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