マナーうんちく話535≪五風十雨≫
12月8日は一通り農作業を終える「事納め」の日です。
続いて12月13日は「正月事始め」です。
師走といえば大掃除がありますが、本来は正月に里帰りされる歳神様を迎えるために、家の中の邪気を払い、清めるために箒で履く習慣で「煤払い」ともいいます。
昔はどこの家でもかまどや囲炉裏があり、家中が煤だらけになるので、定期的にそれを取り除かなくてはなりません。
今では年末の大掃除もめいめいバラバラですが、煤払いは厳密に取り組む日が決められていた神事なのです。
昔は衣替えも、炬燵を出すのも、7草粥を食べるのも、すべて決まった日に一斉に行われていたようです。
今のように「個性」だとか「自分らしさ」というキーワードは存在しなかったということですね。
つまり個より組織が大切だったということでしょう。
ところで6月の終わりに「夏越の祓い」の神事がありますが、昔は一年に二度心と身体を清めていたのでしょうか。
意外にそのような遺伝子があるから、今の日本人は世界屈指の清潔好きかもしれませんね。
そして年末の大掃除が終わればご馳走を用意し、その後ゆったり風呂につかり、今年の厄も垢と一緒に落として下さい。
さらに12月13日は、正月を迎える準備として山に出向き、門松に使用する松の木を採る仕事があります。
「松迎え」といいます。
正月を迎える準備をすることを「正月事始め」といい、煤払いや松迎がありますが、今ではこれらの言葉を耳にしたり目にしたりすることはなくなりました。
松迎や煤払いの行事を済ませ、お歳暮の用意をしていたのですが、年末行事本来の意味や意義が、時代の変遷とともに大きく変化したということでしょう。
煤払いの行事は今でも神社仏閣の年末の風物詩として残っていますが、一般的にはクリスマスがすんで行われることが多くなりました。
煤払いをして家を清めることにより歳神様が快適に正月を過ごすことができます。
そのお返しとして、歳神様から沢山の幸せが頂けるかもしれません。
日本のおもてなしの基本はハード面では掃除ですが、この精神はいつまでも残していきたいものです。