マナーうんちく話2098《コロナ禍だからこそ意味がある節分祭!豆まき、柊・鰯・恵方巻に込められた思いとは?

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

「鶏始乳(にわとりはじめてにゅぅす)」で二十四節気七十二候が締めくくられていますが、大昔から「夜明けを告げる鳥」として多くの人に尊ばれてきた鶏が、春の気配を察して高らかに鳴き始める頃です。

鶏は今では1年中卵を産むように飼育されていますが、本来は冬には卵を産まず、日照時間が長くなって生み始めます。

日本では仏教の影響で、殺生が禁じられていたので、牛や馬や猿、そして鶏も食べられていませんでした。

しかし江戸時代頃から卵を食するようになり、食文化の発達とともに多くの卵料理が登場して、鶏卵を用いた料理の専門書まで発行されていたようです。


コロナ禍でなにかと大変ですが、もうすぐ春ですね。
ただ季節は冬から春に急に変わるわけではなく「変わり目」があります。

日本は四季の国ですから、季節の変わり目は4回あります。
立春、立夏、立秋、立冬の前日ですが、それが「節分」です。
つまり節分は一年に4回存在するということです。

中でも旧歴の正月は立春の頃ですから、その前日の節分は大きな意味を持ちます。寒さの厳しい冬から、花咲く春になるわけですから事態が大きく変わるわけです。

【節分に豆まきをする理由】
冬は過ぎたけど、まだ春には至っていない今の時期は何かにつけ中途半端になり、不安定になります。

そこに疫病、天災、飢餓といった邪気が降り注いでくるわけです。
だから邪気を払わなければなりません。
「節分」に豆まきをするのは邪気を払うためです。

【なぜ豆をまくの?】
昔から穀物には邪気を払う力があると考えられていました。
「五穀米」という言葉は広く知られていますが、米、麦、粟、キビもしくは稗、そして豆など、人の主食になる主要な穀物を五穀と呼びます。

豆は、まいた後でも拾って食べることができるので豆にしたのでしょう。
加えて豆は「魔滅」につながり、悪霊を払うと信じられていたようです。
さらに日本では神事を執り行う際、豆は米に次いで多く供えられます。

なお豆まきは平安時代に宮中で執り行われた「追儺」という鬼払いの儀式に由来しているといわれています。
つまり1000年以上の歴史を有する伝統行事だということです。

邪気を鬼に見立て豆をまくわけですが、鬼は火が嫌いです。また撒いた豆から芽が出たら不吉なことが起こるので、豆は炒って使用します。

【まいた豆はどうする?】
SDGsの観点からも、撒いた豆は色々な形で有効利用したいですね。
一般的には年の数だけ食べれば、その年は無病息災でいられると信じられていたので食べればいいと思います。

ただし旧暦の数え方ですから「数え年」になるので、満年齢より一つだけ多めに食べて下さいね。
とはいえ私のように歳を重ねたものが、年の数だけ食べるのは胃腸に負担がかかります。ではどうする?

「福豆」にして福を招く方法もお勧めです。
3粒から5粒くらいの豆を。湯飲み茶わんに入れ、こぶと梅干を加え、お湯を注いで出来上がりです。

【節分に邪気を払う方法は他にもある】
日本には邪気を払う方法は沢山ありますが、節分に鰯の頭と柊を使用する方法は多くの地域でみられます。
鰯独特の強烈なにおいで邪気を退散するわけです。

また「柊(ひいらぎ)」は12月頃にかわいらしい小さな花を咲かせますが、とても鋭い葉を有しています。
節分には柊の枝に、鰯の頭をつけて、玄関先にさしておけば、邪気が寄ってこないと信じられています。
「節分の季語」に「柊挿す」があります。

【節分と恵方巻】
1000年以上続く伝統行事も、商売につながらないと存続は難しくなるのでしょうか。だからいろいろな業界が、あの手この手で販売戦略を練りますが、「ホワイトデー」や「恵方巻」はまさに典型的な例でしょう。

恵方巻の由来も色々な説がありますが、江戸末期に大阪の商人が商売繁盛に生み出したという説もあります。
さらに最近になってコンビニ業界が仕掛けたという説もあるようです。

いずれにせよ、厄除けや商売繁盛を祈念して、巻きずしにして福を巻き込むというのでしょう。「縁を切らないように一本丸かじりをする」「福を逃がさないように黙って恵方の方角を向いて食す」という戦術は良かったと思います。

ただ恵方巻をいただくこれらの理由は、どうも「あとづけ」のような気もするのですが・・・。

今では大変人気の高い年中行事になり、春の節分のみならず夏の節分の商品まで開発されていますね。コロナ化で黙食が奨励されているので、今年はさらに売り上げが伸びるのではないでしょうか。

【まだある節分の食べ物】
また旧暦では立春が一年の始まり、つまり正月ですから、その前日の節分は「大晦日」ということになります。

だから今でも節分に「そば」をいただく地域は結構存在します。
いわゆる「節分蕎麦」で日中から食してもいいとされています。

今年もコロナのせいで、「節分祭」が多くの神社仏閣で中止や規模が縮小されていますが、コロナのような、邪気を払うための伝統行事が、このような状況に追い込まれるということは、実に寂しい限りです。
3回目のワクチン接種が広く行き渡ればいいですね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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