マナーうんちく話498≪うかつ謝り≫
新しい年になったからといって全てが変わるわけではありませんが、日本人にとっては、1月は最も大切な月です。
晴れやかに、清らかに過ごす月でもあります。
ところで正月になると津々浦々「新年おめでとうございます」という挨拶が飛び交いますが、では何がおめでたいのでしょうか?
「新年(明けまして)おめでとうございます」という挨拶は、私たちに幸福と繁栄をもたらして下さる《歳神様》への歓迎の言葉です。
「今年もようこそおいでくださいました」という祝いの言葉であり、「今年もどうか五穀豊穣、家族安泰をお願いいたします」という祈りの言葉でもあります。
またお陰様で「今年も無事正月を迎えることができました」という感謝の言葉でもあります。
さらに旧暦では「数え年」で、正月に誰もが揃って年を取るわけですから「ハッピーバースデー」の祝いの言葉もあるでしょう。
このような由来を持つ言葉ですから、できる限り多くの人たちと挨拶を交わしていただきたいものです。
そして一年の始まりは、歳神様の恵みを受けながら、清々しく過ごしてください。
一年のスタートを寿ぐ風が、日本全国を豊かに包んでくれるといいですね。
「最初が肝心」といわれるように、年の初めに、しっかりやるべきことをやっておくと、2月、3月、4月と後の月が気持ちよく過ごせるでしょう。
ところで、明治以後、現在のグレゴリオ暦を採用して、月の表示が1-12の数字を使用するようになったわけですが、それ以前のいわゆる旧暦では、各月を季節感が漂う言葉を使っていました。
《マナーうんちく話》でも何度も登場してきた「和風月名」といいますが、これによると1月は「睦月」と呼びます。
1年の始まりの月であり、和を大事にする日本人にとってとても大切な意味を有しています。
正月早々、身分の上下や老若男女に関わらず誰もが、互いに往来し、仲睦まじくする月という意味です。
1月を表す言葉は「初春」「陽春」「太郎月」などいろいろありますが、念頭において、人と人とが仲良くし合うという心構えはとても大切です。
特に夫婦や家族のように暮らしを共有したり、仕事を共にする人同士が、仲睦まじくすることは最優先事項ではないでしょうか。
コロナ禍の正月に改めて認識したいものです。
ではどうすれば、互いに仲良くできるのか?
ここにマナーの存在意義があります。
日本のマナーの根源を成すキーワードは「感謝」「尊敬」「思いやり」です。
相手の存在に常に感謝し、相手を尊重し、そして相手に対して思いやりの心を発揮することです。
「思いやり」とは、相手に不快感を与えないことと、相手に好感を与えることです。
加えて相手をまず好きになることが大切と考えます。
そのためにはできる限り共有する時間を取って下さい。
また1月は歳神様がいらっしゃる月ですので、立ち居振る舞いや、言葉遣いも注意してください。
神様の前では悪い言葉は使用しないで、良い言葉を使ってくださいね。
繰り返しになりますが、先人に倣って、自然や目に見えない大いなるものにも常に感謝の気持ちで令和4年を生きるのもお勧めです。