マナーうんちく話500≪継続は力なり、500回ありがとう!≫
このところクーラー不要の日が続いていますが、暦の上では「処暑」。
暑さが峠を越え失せ始めてくる頃で、朝の涼しい風と、夜の虫の声に秋の気配を感じます。
以前ほど虫の声も力強くなくなった気がしますが、弱弱しい声の方が、かえって趣が味わえそうです。
ただしこの時期は実りが生じる反面、台風などの天災に注意が必要な時でもあります。
秋の語源は「実りの季節を迎え、米を始め沢山の食べ物が飽きるほど市場に出回るから、飽きるが秋に転じた」という理由が有力ですが、収穫までもうひと頑張りというところでしょうか。
【食前、食後の感謝の言葉を有する国】
30年以上テーブルマナーに関わってきて、毎回冒頭にお話しすることですが・・・。
「もったいない」という素晴らしい文化を有する日本には、食前・食後に、食材や料理を作ってくれた人に感謝の気持ちを伝える美しい言葉があります。
食前に神に祈りをささげる国はあるようですが、感謝の言葉を発する国は、恐らく日本だけでしょう。
「いただきます」と「ご馳走様」ですね。
そしてそんな素晴らしい言葉を作った先人の涙ぐましい努力のおかげで、「美食の国」「飽食の国」になって、今では世界屈指の豊かな食生活を謳歌できているわけです。
感謝です。
【日本には世界の飢餓を共有する役目があるのでは】
ところで人類は長い歴史の中で常に「飢餓との戦い」の連続だったと思いますが、現在地球上には飢餓に苦しむ人々が、最新のデータでは約8億1000万人存在するといわれています。
コロナの影響で増加したそうですが、地球上の総人口78億人の1割以上です。
ちなみに2030年までに飢餓をゼロにする持続可能な開発目標がありますが、なんとしてでも達成してほしい目標ですね。
《マナーうんちく話》でもたびたび触れていますが、古今東西「生きることは食べること」です。
その上で日本は先進国として、また「もったいない文化」を有する国として、率先して世界の飢餓と向き合わなければいけないと思っています。
だから私が主催する和食及び洋食のテーブルマナー講座では、世界の食事情と日本の飽食の実態をお話しします。
世界では実に4人に一人が栄養失調に悩まされている中、食料自給率が先進国でワーストクラスの日本で、多くの食品ロスが生じている現状についてです。
一見豊かと思われる日本の食糧事情ですが、豊かなのは量やカロリーや種類や色などで、「コケッココ症候群」などの貧しい実態を説明し、テーブルマナーの意味や意義を理解していただくのが狙いです。
ところで「飢餓」とは、身長にふさわしい体重を維持し、軽度の活動を行うことができるカロリーが摂取できてない状態ですが、今の日本ではよほどのことがない限り考えられませんね。
最後に日本には「衣食足りて礼節を知る」という言葉があります。
マナーうんちく話でも何度か触れましたが「他者を思いやるには衣食住が充実することが大切」という意味と、「衣食住が充実したら他者を思いやることが大切」という意味があります。
貧困、災害、紛争などが複雑にかみあわさって飢餓が生じるわけですが、物質的にも豊かで、平和な日本こそ、全ての人が栄養のある食料を十分得られるようその役目を果たしたいものです。