マナーうんちく話2043《子どもより大人こそ食育を!「心を通わす食卓」の勧め》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:マナーの心得

暦の上では「梅子黄なり(うめのみきなり)」で、梅の実が黄色に色づく頃です。

青い梅は生では食べられませんが、黄色く熟した梅はまるで李や桃のような、とろりとした甘い味がします。
昔は身近な食べ物だったかもしれませんね。

ところで今でも日本人の食生活に欠かせない「梅干し」は、江戸時代になって庶民に普及したといわれますが、健康食品や薬としての存在意義は大きかったと思います。また女性にも結構好まれていたとか・・・。
つわりの時の特効薬が梅干しだったようです。

《母苦労 昨夜も梅が 3つ減り》という川柳があります。

保存食の梅干しが減ってきているので、母親が娘のつわりを心配している句です。

ところで古今東西、人類永遠のテーマは長寿を実現することであり、そのためには、いかに食べ物にありつけるかが最大の関心事だったわけです。

日本では戦後まもなく飢餓から解放されましたが、今でも地球上には飢餓で苦しんでいる人が8億人以上いるといわれています。

食料自給率が先進国でワーストレベルの日本が、飽食の国、美食の国になったことには素直に深謝したいと思います。
いろいろな人の努力で食べ物が豊かになったことは嬉しい限りです。

しかし豊かになったのは量と、種類と、色と、カロリーで、「手軽で美味しい」が重要視される現代の食生活では、加工食品が多く健康的ではないようですね。
生活習慣病も多発しています。

加えてコロナ禍で「マスク会食」「黙食」などの新しいスタイルの食べ方も出現し、心を通わせる食卓の存在が増々薄れたのも事実でしょう。

つまり人の「心と体を癒してくれる食卓」ではなくなったということで、大げさな表現かもしれませんが「生きる基盤が揺らいでいる」とも言えます。
とてもゆゆしきことです。

この機会に改めて「食」を見直すとともに、知育・体育・徳育の基盤となる「食育」と真摯に向き合ってみるのもお勧めです。

そして古今東西「生きることは食べること」である以上、食べ物や食べ方次第で、大人も子どもも、良くも悪くもなるということを再認識したいものです。

平成17年6月に、国民の健康増進と豊かな人間形成を目的に「食育基本法」が制定されたのに伴い、毎年6月は「食育月間」、毎月19日は「食育の日」になっています。

食育を目的として、子どもを対象にしたイベントやセミナーはよく見かけますが、意外に大人を対象にした内容は少ないのが現状です。

和食と洋食のテーブルマナーに30年以上関わっていますが、まずは大人が食育に向き合っていただきたいと痛感しています。

さらに食育に限らず、今の日本では大人のための生活指導が大切と考えます。
挨拶、言葉遣い、身だしなみ、態度、表情など、子どもに教えるようなことを大人にも指導するということは、おかしなことだと思いますが、大人は子どもにとって鏡のようなものですからしようがないですね。
「子は親の背中を見て育つ」ということでしょう。

しかし「きっかけ」ひとつでガラリと変わるものです・・・。

「ワークライフ・バランス」という言葉が話題になり久しいですが、日常生活の改善に取り組んでいただきたいものですね。

日常の生活に重きを置き、仕事と生活のバランスを保つことは決して難しいことではなく、やるか?やらないか?だと思います。

日頃の小さな改善から取り組むことがお勧めで、その手始めとして、食べ方を見直してはいかがでしょうか。
気づきも多く、それを改善することで意外に大きな効果が期待できると思います。

そして家庭や職場での生き方モデルになり、魅力的な人間、立派なリーダーになる
事を目指してください。

具体的な取り組みは様々ですが、手軽にできることからスタートしてみて下さい。

●父親に実行していただきたいこと
今コロナ対策として「8時だよ、全員帰ろう」というキャッチコピーが話題になっていますが、食育の視点でもとてもいいと思います。
遅くとも8時には帰宅し、家族全員でともに食事をしていただきたいものです。
お父さんにも家族共に食べる努力をしてほしいということです。
そして、とにかく家族との「共食は楽しい」ということを実感するとともに、子どもにもそのことをきちんと教えて下さい。

●食に対して「賢母」の存在は大切
バランスの良い栄養や必要な量もきちんと把握したお母さんの手作り料理もいいですね。できる限り旬のものも取り入れ、できれば和食の大きな特徴である年中行事との関りも大切にして下さい。
今飽食の国日本では健康食品がブームになり、巷には情報が氾濫し、過剰宣伝が気になります。不必要に踊らされることなく、食の目を養ってください。
都合で出来合いものですませるばあいでも、せめてもきちんと皿に盛る工夫もお忘れなく。

また家族全員が心地よく食事ができる雰囲気作りも大切です。
食卓は常にきれいにして下さい。季節の生花でもあれば最高ですが、せめて箸置きくらいは揃えて下さい。

加えて食卓における「作法」を子どもの年齢に合わせ教えることはとても大切です。
子どもの躾を家庭で親が担うのはごく当たり前と思いますが、躾の基本は「食礼にあり」と心得て下さいね。
教え方ですが、「マナーうんちく話」で詳しく触れていますので参考にして下さい。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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