マナーうんちく話502≪会話の中に季節の話題を積極的に!≫
【日本の子どもの幸福度はお世辞にも高いとは言えない】
ユニセフが公表している子どもの幸福度調査ではオランダ、ノルウェイ、アイスランドなどが上位を占め、日本の子どもの幸福度は低いようですね。
大人の幸福度も、最新の世界幸福度ランキングでは62位という結果ですから無理もないと思います。
親が幸せでないのに子どもが幸せにはなれないでしょう。
【日本人は昔から子どもを大切にしてきた】
ところで平和な社会を築き、世界屈指の長寿を迎えている日本では、昔から人生の節目を大切にする習慣が多々ありました。
そして赤ちゃんの健やかな成長を祝う行事も数多く存在し、生まれて1年以内だけでも「お七夜」、「お宮参り」、そして「お喰い始め」などがあります。
それだけ赤ちゃんの健康や幸せを願う気持ちが強かったということでしょう・・・。
今はともかくとして、昔は子どもにとって日本という国は「生まれてきて一番よかった国」だったのではないでしょうか。
【日本では昔は個人の誕生日を祝う習慣はなかった】
ちなみに今では考えられないと思いますが、昔は日本では個人の誕生日という概念はなかったようです。
「マナーうんちく話」で何度も登場しましたが、昔は満年齢ではなく「数え年」で老若男女全ての人が、正月になると一つ年を取り皆で祝うからです。
【日本には子どもの成長を祝う行事が多く存在する】
しかし生まれた赤ちゃんが7日経過したら、早くも誕生後初めてのお祝いがあり、家族で命名式を行い子どもの健やかな成長を祈ります。「お七夜」です。
さらに一月過ぎれば、一月無事に過ごせた感謝と今後の健康や長寿を祈念して、その土地の氏神様にお参りする「お宮参り」があります。
100日前後経ったら、赤ちゃんが生涯にわたって食べ物に困らないように「お食い初め」の儀式を執り行います。
そして一年たった日だけは「初誕生日」として家族で盛大に祝ったようです。
祝い方は地域によりさまざまで、今でも地域により独特の祝い方があります。
また誕生後初めて迎える節句は「初節句」と言い、これも盛大に祝います。
男子と女子では異なり、女の子は3月3日の「上巳の節句」で雛人形を飾り、男の子は5月5日の「端午の節句」で5月人形や鯉のぼりを飾ります。
ただし生まれてひと月以内に節句を迎える場合は、来年にお祝いするのが多いようです。
【五節句と上巳の節句】
ところでまもなく上巳の節句。
桃の花が咲く頃の節句ですから「桃の節句」ともいわれ、女の子の成長をお祝いする行事で、雛人形を飾りご馳走をいただきます。
平安時代頃から人日、上巳、端午、七夕、重陽の節句には、その時期の旬の植物のパワーにあやかり身を清めたといわれますが、上巳には野山で摘んだ薬草で清めます。また桃には邪気を払う効果があると信じられていました。
【雛飾りの種類と由来】
「雛飾り」は皇室の結婚式を表現したもので、登場する人物や物がたくさんあります。すべて揃えると予算もかなりかかるし、場所も必要ですから、それらに応じて色々な飾り方があります。
お殿様とお雛様の2体だけの「親王飾り」は場所を取らないので人気があるようです。「出し飾り(だしかざり)」は親王飾りに3人官女で構成されます。
さらに1段目にお殿様とお姫様、2段目に3人官女、3人目に能楽を演じる5人囃子(ごにんばやし)、4段目に左大臣と右大臣の随身(ずいしん)、5段目にいわゆる雑用係の衛士、6段目7段目に婚礼道具などの7段飾りなどもあります。
こどもの成長過程においては、まだ抵抗力がありません。
そこに向けて飢餓、病気、苦しみなどの様々な災難が降りかかるわけですが、これを代わりに引き受けてくれる人形を紙や草で作って、それを川に流した「流し雛」が今の雛飾りの起源といわれています。
従って雛人形は、時期が過ぎたら速やかに片付けるのがいいとされています。
加えて長女から次女、3女に受け継がれるものでもないといわれます。
【豪華さを競うより、年中行事本来の意味を理解することが大事】
現在は経済的豊かさが常に優先される社会で、物質的豊かさを達成したら成功したと思われる風潮が強い気がします。一理あるけど全てではないでしょう。
雛飾りも豪華さばかりが追求される傾向にあるようですが、何より大切なことは、年中行事の本来の意味を正しく子に伝えることではないでしょうか。
加えて本当に子どもが健康で幸せになって欲しいなら、まずは親が手本を示す意味においても幸せになっていただきたいものです。
「物の豊かさや便利さ=幸せ」ではないような気がするのですが・・・。
次回に続きます。