マナーうんちく話500≪継続は力なり、500回ありがとう!≫
「二月の雪、三月の風、四月の雨が美しい5月を作る」といわれますが、春先の風や雨のおかげで、五月に緑や花々を楽しむことができます。
我が家の庭に牡丹に続いて、芍薬がすらりと伸びた茎の先端に花を咲かせてくれました。そして百合が後に続きますが、芍薬を見ると「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という諺が頭に浮かびます。
牡丹は百花の王様に、芍薬は女王にたとえられるくらい美しい花で、百合は清楚で風に揺られている姿がとても美しい花です。だから美しい女性の姿や立ち居振る舞いを花に見立て形容した言葉ですが、見た目も美しく、動作も美しい女性はいつの時代にも憧れの的でしょう。
この言葉は江戸時代に作られたといわれていますが、当時の女性の装いは着物です。その着物姿の女性の所作が美しかったのでしょうね。
江戸末期から明治にかけて日本を訪れた欧米の要人は、日本人女性の貧しくとも、凛とした美しい立ち居振る舞いに感動を覚えたといわれています。
単に振る舞いだけでなく、茶道や華道、短歌に俳句といった教養もしかりで、それに加え「優しい心」を持ち合わせていたのでしょう。
それにしても、日本人の素晴らしさは「和を尊ぶ」ことではないでしょうか。
聖徳太子の十七条の憲法の冒頭にある「和を以て貴しとなす」の条文は、多くの日本人の心に生きている言葉で、今でも職場、学校、地域で大事にされております。
だから聖徳太子は常に日本の最高紙幣の座にあったわけでしょう。
今新型コロナ危機で、多くの不安や悩みを抱えている人は多いと思います。
誰も予測できなかった未曽有の危機で無理もないことですが、備えも耐性もないので、不安や恐れから理性を失い、平常時では考えられない行動に走ります。
マスク、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、アルコール洗剤の買い占め、加えて様々な批難、中傷、誹謗などの見苦しい行動へ走ってしまいます。
礼節の国といわれた日本人は平常には殆どの人が素敵なマナーを発揮します。
しかし怖いのは、移ろいやすい人の心です。
一方阪神淡路大震災、東日本大震災に遭遇した際、被災地ではボランティア精神、助け合いの精神が芽生え、人と人との絆が豊かになりました。
秩序を守りながら、思いやりや支えあいの精神を発揮し困難を乗り越えたわけです。
今回の危機も「和する」という先人が築いてきた伝統的精神で、常に礼節を失うことなく、世界中の模範となって克服したいものです。
ヨーロッパのある国の大統領が、コロナは「国と国、人と人が武器を持って戦う戦争ではない。今私たちの人間性が試されている」といっているように、全ての国が英知を出し合い、協力することが大切だと思うのですが、今回ばかりは様子が異なるようで心配ですね。大国同士が睨み合ってはだめでしょう。
以前オリンピック招致委員会のプレゼンテーションの席で、日本の「おもてなしの心」が話題になりましたが、その根源になるのは他社への思いやりです。
新型コロナ禍の今こそ、思いやりの国、礼節の国らしく、強い意志と緊張感のある品格を保ちたいものです。
これから新型コロナと長い付き合いになりそうで、守りと攻めの両立が問われていますが、その大前提になるのも、利己より利他の心、加えて他者に対する思いやりです。加えて自分を犠牲にして、果敢に新型コロナウイルスと戦っている多くの人への感謝の気持ちも必要です。
最後に、今回のコロナは人と人との距離を遠のけたようですが、なんといっても非常時には「人と人へのつながり」や「結束」は大事です。
人とのつながりが多ければ多いほど、支えあったり励ましあったりできるものです。
また有益な情報も共有できます。
「和の国」日本人には、その潜在能力が十分備わっていると信じています。
そして本当に品格のある人とは、非常時に美しい振る舞いができる人だと思っています。