マナーうんちく話239≪バラ色の人生とマナー≫
日本には昔から「穢れの少ないものほど清くて美しい」という価値観が根付いています。
今まさに全てが清くて明らかな季節で、花咲く春の息吹を謳歌できる絶好の季節ですね。
つい遠出をしたくなりますが、新型コロナウイルスのせいで、なかなかそれも難しいのが現状ではないでしょうか。
4月4日は二十四節気のひとつ「清明」です。
なじみの薄い言葉かもしれませんが、「全てのものが清らかで、生き生きとする頃」という意味です。
そこでこの有難い「気」を吸収するために、家の中や職場の整理・整頓を心がけてはいかがでしょうか。
天気のいい日に思いきり窓を開け、部屋を掃除するのもお勧めです。
部屋を清めたら、次は自分自身の心と身体を整え、「清明」という清らかな季節との調和を図るのもいいでしょう。
猛威を振るう新型コロナウイルス対策に、どれくらい功を奏するかは明らかではありませんが、今最高潮に達している自然の「清める力」の恩恵を受けることにより、何かいいことが起こるかもしれませんよ・・・。
ところで中国では季節を色で表現しています。
夏は赤(朱)、秋は白、冬は黒、そして春の色は青としています。
青い春、すなわち「青春」とはここからきた言葉だといわれていますが、まさに清明にぴったりの言葉ですね。
またいくつ年を重ねても「生涯青春」でいたいものです。
わたしは人生100歳時代を踏まえて「生涯現役講座」「生涯青春講座」なども開催していますが、体の衰えは致し方ないにしても、心は気持ち次第で、清く、美しく保つことができるものだと思います。
今から100年以上前にアメリカで活躍された実業家であり詩人のサムエル・ウルマンは、不朽の名詩といわれる「青春の詩」の中で、「青春とは人生のある期間を言うのではなく、心の様相を言うのだ・・・」と述べています。
この言葉は戦後日本にも伝わり多くのファンができ、敗戦で大打撃を受けた日本の復興を精神的に支えた歌だともいわれていますが、今度は「人生100年時代」を明るく照らしてくれそうですね。
そして4月は何かと出会いの多い季節です。
入学式に入社式、それに異動などなどで素敵な出会いのシーンが、あちらこちらで春風になびきながら展開することでしょう。
大切なことは、せっかくの「ご縁」を、どのように結んでいくかということです。
例えば徳川家の剣術指南役を務めた柳生家の家訓にあるように、「小才は縁に逢っても縁に気づかず、中才は縁に逢っても縁を活かず・・・」では困ります。
縁というものは偶然ではなく必然であり、神様からのありがたい贈り物と思い、感謝の気持ちで大切に育んでいく努力が大切です。
日頃のコミュニケーション力が問われるということです。
コミュニケーション能力を磨き「大才は袖触れ合う他生の縁もこれを活かす」ようになりたいものです。
そして4月は希望を抱くときでもあります。
サムエル・ウルマンは青春の詩の中で「人は希望がある限り若く、失望とともに朽ちる」とも言っています。
多くの花が咲き乱れ、小鳥がさえずり、優しい春風が吹く4月は「希望に満ちる時」でもあります。
心も体も新型コロナウイルスのせいで閉鎖的になりがちですが、自然の恵みが体一杯感じられる時です。
希望をもって前向きに歩みましょう。