マナーうんちく話500≪継続は力なり、500回ありがとう!≫
国際化が進展する中、思いやりの心を根源とする「和の礼儀作法」が廃れていくのは本当に寂しい思いがします。
家庭でも学校でも、礼儀作法などを教えてもらうことなく大きくなるので当たり前かもしれませんが、日本には平和な社会を背景に培われてきた礼儀作法が存在することを理解し、誇りに思っていただきたいものです。
また和室での礼儀作法は特に窮屈とか堅苦しいイメージがありますが、そんなことはありません。
相手を大切だと思い、その思いを形として表現することが礼儀作法ですので、相手に対して思いやりの心を抱き、いかに心を籠めるかが大切になるわけです。
ところで和室でのスピーチですが、和室での振る舞いは基本的には正座になりますので、スピーチも座ったままです。
洋室と異なり和室では、常に相手より自分を下位におくということです。
洋室でのスピーチは立礼から始まりますが、和室では座礼からということですね。
ただ床の間があり、季節の生花が活けてあり、凛とした雰囲気が漂う和室では、立ち居振る舞いにも美しさが要求されるので姿勢は特に大事です。
さらに座礼には、いろいろと種類があります。
「指建礼」「折手礼」などといわれる簡単な挨拶から、「拓手礼」「双手礼」などの丁寧な挨拶があります。
また扇子を自分の膝の前においてすることもあります。
ある程度の知識やスキルがあればいいのですが、そうでない場合は、正座をして、背筋を伸ばし、両手を膝前に揃えるよう心がけて下さい。
挨拶をするときには座布団は使用しません。
スピーチの目的、相手、場の雰囲気、自分の置かれている立場などを考慮し、それにふさわしい挨拶が大切です。
加えて和室には日本独特の文化が存在します。
現代の諸事情からかけ離れている点も多々ありますが、和室とはそういう文化が存在するところだと考えます。
女性も和室ではレディーファーストを期待しない方がいいでしょう。
若い人は「不作法ですので」の一言で気が楽になるかもしれませんが、ある程度歳を重ねたり、指導的立場の人は美しくこなしていただきたいものですね。
また和室は季節感を大切にしますが、挨拶の冒頭に季節に相応しい美しい言葉があればいいでしょう。
二十四節気や七十二侯、あるいは五節句や雑節などを参考にすれば品格のある挨拶になるでしょう。日頃から季節の言葉を大切にしてくださいね。
筆まめになることもお勧めです。
改まった和室でのスピーチは緊張を伴うかもしれませんが、和室では「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という言葉のように《謙虚さ》が大切です。
たとえば、予め打ち合わせが行われている場合は別として、会合の冒頭に「○○さん一言お願いします」と指名された場合、どんな金持ちでも、どんなに偉い立場の人でも、「いやいや私なんか」と言っていったんは断ります。
「三辞三譲」という日本人の美徳を表した文化です。
3回辞退し3回譲るという謙虚な気持ちを表した言葉ですが、3回はあくまで目安です。
一度は断って「私は謙虚な気持ちを持ち合わせていますよ」とアピールした方がいいでしょう。(マナーうんちく話《好感度が上がる謙虚上手の勧め》)
加えて和室では目線で人間関係を図りますので、和室での挨拶は視線も大切です。
知人、友人、同僚の場合は視線を合わせればいいですが、目上の人の場合、視線をやや落とすくらいがいいかもしれません。
頭の位置は相手に対する敬意を表す上で大切だということです。