マナーうんちく話535≪五風十雨≫
12月22日は二十四節気の一つ「冬至」です。
冬に至ると表現されるように、本格的な冬の始まりということですね。
「夏至」とは逆で、一年で昼が一番短く、夜が長い日とされ、昼の長さも夏至に比べると5時間くらいの差があります。
昔は全ての生物を太陽が左右すると考えられていたようで、冬至は太陽の力が最も弱い日なので「どん底の日」とされました。
ここに天から邪気が降り注ぐわけで、何か対策を講じなければいけません。
地域によりその方法は異なりますが、西洋では太陽の力が復活することを願って「火祭り」が行われたようです。
やがてキリスト教が広まり、4世紀にローマでキリストの誕生日が12月25日と定められ、「太陽復活を祈念する火祭り」と「キリストの誕生日」がコラボレーションして、現在のクリスマスの形になったといわれています。
古今東西、古い風習と新しい風習が融合して、全く新しい形が生まれるケースは多々あるようです。
中国の天帝に供え物をする上元・中元・下元の文化と、日本の仏教の風習が融合して生まれた日本の「お中元」のしきたりもまさにそうですね。
ちなみにクリスマスのクリスマスツリーには「樅木」が使用されますが、これは冬でも緑を絶やさず、葉が落ちないからで「希望」「命」の象徴とされたからでしょう。
日本では正月の門松に松の木が使われますが、これは松が一年中緑を絶やさない常緑樹だからで、全く理屈は同じですね。
多神教である仏教や神道と、一神教のキリスト教は全く異なりますが、意外に似たようなこともあるのですね・・・。
一方、日本では冬至には、邪気を払う力があるとされる小豆が入った「小豆粥」や、「ん」のつく蓮根、みかん、だいこん、にんじん、金柑、うどん、南京(かぼちゃ)などを食します。
冬至にカボチャを食べることは良く知られていますが、冬に不足しがちな栄養が効率よく取れるからだといわれています。
しかし最も大きな理由は、茄やキュウリなどの数ある夏野菜で、唯一かぼちゃだけが冬まで保存がきいたからだと思います。
加えて、強烈な匂いが邪気を払う効果があるとされる「ユズ湯」に入るのも一般的ですが、これも柚子がちょうど今頃が旬だからでしょう。
西洋でも日本でも、太陽の力が最も弱まる冬至には、邪気がやってきて災いが起きるので、それを防ぐために様々な行事が執り行われ、それがしきたりとなり今まで脈々と伝えられているわけですね。
太陽の力が最も弱くなるこの時期を境に、これから日に日に日差しが増してくるので、冬から春への希望を抱かせたのでしょう。
「春の来ない冬はない」ということです。
《一陽来復》という言葉があります。
もとは冬至をさす言葉でしたが、転じて「悪いことが続いた後は幸運に向かう」という意味で使われます。
悪いことが起これば、だれでも気分がめいり、気持ちがすぐれなくなります。
しかしいつまでもくよくよしても何ら好転しません。
どこかで区切りをつけ、前向きに歩んでいただきたいものです。
直面する問題や課題の重たさで異なるものの、「最悪の事態に備えた覚悟」さえ決めておけば、たいていの場合は何とかなるものです・・・・。