マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
令和元年も残すところひと月になりましたが、皆様方にとって令和はどんな年だったでしょうか?
ところで12月は旧暦では「師走」といいますが、ここでの「師」は「師僧」のことで、「お坊さんが檀家回りで慌ただしく走り回るから」師走になったという説が有力です。
恐らく師走は和風月名の中でもなじみの深い言葉ではないでしょうか・・・。
一方12月は「除月」という異称もあります。
除月という名はあまり知られていないようですが、正月に里帰りされる歳神様を迎えるために、この一年の邪気を払い、新しい年を迎えるという意味を有します。
ちなみに12月31日は「除日」といい、12月31日の夕方が「除夕(じょせき)」で、12月31日の夜は「除夜」と表現します。
除夜の鐘は日本人なら誰しも耳にする言葉で、なんとなく親近感がわいてきますが、「除」には、古いものを捨てて、新しいものに移るという意味があるようです。
本日から一か月間は、令和元年から令和2年に移行するけじめの月です。
この一年の穢れを払って、家の中を清め、令和最初の年神様をお迎えする準備に取り掛かるのもいいでしょう。
縁起を担ぐ人は、「難を転じ、福を呼ぶ」南天を部屋にしつらえるのもお勧めです。
また冬に旬を迎える大根、蕪、ゴボウなどの根菜類を食べ、元気をつけて下さい。
「根菜」とは土に埋もっている部分を食べる野菜の総称ですが、もちろん大根や蕪などは葉っぱも食べられます。
加えて、私が主催する講座では参加者をもてなす意味で、この時期には「運盛り」をしますが、銀杏、蓮根、人参、南京(かぼちゃ)などの盛り合わせを飾るのも、心が満たされ、楽しい気分に浸ることができるでしょう。
ポイントは、幸運を招くといわれている「ん」のつく野菜や果物と、縁を結ぶといわれている「蔓もの」を混ぜ合わせることです。
玄関やダイニングに飾ればいいでしょう。
令和最初の一年を反省し、来る令和2年がハッピーな年になるように心がけることは大切です。
しかしただ念じればいいものでもないでしょう・・・。
幸運を引き寄せるには努力も必要です。
「蒔かぬ種は生えぬ」ということです。
大切なことは、旬を味わい、季節と同化し、タイミングを合わすことだと思います。
こうすることにより、何事にも瞬時に対応できる感性が磨かれ人生が好転するでしょう。
まだ記憶に新しいと思いますが、令和の時代を迎えたときに「万葉集」が一躍クローズアップされました。
ではその万葉集からどんな気づきが得られたのでしょうか?
万葉の時代をそのまま現代に反映することは所詮無理な話ですが、四季折々の慣習を現代生活にマッチしたスタイルで取り入れ、何百年も、何千年も先人が取り組んできた季節や自然に向き合ってこそ万葉集の価値が理解できると考えます。
環境保全の心もこのような取り組みから培われるのではないでしょうか・・・。
「南天」も「運盛り」も、このAI全盛の時代に、一見アナログすぎるしつらえと思われるかもしれませんが、意外に効果があるかも・・・。
令和最初の師走。
今までとは一味違う過ごし方もお勧めです。