まなーうんちく話798《月々に 月見る月は 多けれど・・・。》
今年は晴天に恵まれ「中の名月」も「十六夜の月」も「立待月」も、さらに「居待月」も大変美しくみることができました。
何かいいことありそうな気がしますが、この調子で10月11日(金)の「十三夜」、そして11月6日(水)の「十日夜」の月もみられたらいいですね・・・。
ちなみに「お月見」といえば、ふつう旧暦8月15日(令和元年は9月13日)の「十五夜」をさしますが、このほか旧暦9月13日(10月11日)の「十三夜」、そして旧暦10月10日(11月6日)の「十日夜」があります。
「十三夜」は仲秋の名月に次いで美しい月とされていますが、「十日夜」は主に収穫を祝う意味が濃く、この日に春の田植えが始まる時に山から麓に降りてこられて「田の神」になられた神様が、再び山に帰られる日とされています。
稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本には豊かな精神文化が多くありますが、美しい月を愛でる「お月見」は日本ならの行事で、「十五夜」「十三夜」「十日夜」と一年に3回お月見ができたら、その年は幸運に恵まれるといわれています。
ところで現在使用している「新暦」は明治になってからですが、それ以前は月の満ち欠けを基本に作られた「旧暦」の世界です。
だから月の満ち欠けが生活のリズムを作っていたわけで、中でも満月の日は大きな節目の日でもありました。
当時は照明器具も乏しく、経費の掛からない月の明かりはとても貴重で、月の明るさが生活に大きな影響を与えたのでしょう・・・。
そして暑さも和らぎ、寒くもなく、加えて収穫の時期となると、澄んだ秋の夜空に神々しく輝く月に祈りをささげた、先人の気持がひしひしと感じられますね。
十五夜(望月)、十六夜(十六夜)、十七夜(立待月)、十八夜(居待月)、十九夜(寝待月)、さらに「有明の月」「星月夜」「無月」「雨月」「おぼろ月」などとつけられた「月の言葉」からも、いかに月を愛してきたのかが伺えます。
詩にも多く詠まれています。
※《月々に 月見る月は 多けれど 月見る月は この月の月》
「マナーうんちく話798」を参考にしてください。
このように「秋は月」ですが、秋の夜にはもう一つ大きな楽しみがあります。
美しく響き渡る「虫の音」に耳を傾ける季節でもあります。
おそらく鈴虫や松虫の鳴き声を聞いて、それを美しいと感じる感性は日本人くらいだと思いますが、四季が豊かで、国家として非常に長い歴史を有する日本では、枕草子や源氏物語にもその様子が描かれているとか・・・。
1000年以上も延々と続いている文化です。
環境保全に心がけ何時までも大切にしたいものですね。
蛍もしかりです・・・。
先人は鈴虫や松虫の音を聞いて楽しむ「虫聞き」という文化を作りましたが、虫の音を聞きながら、これからやってくる寒さに備えて「衣替え」の準備をしたのでしょうね。
今年も大きな天災に見舞われました。
地球温暖化のなせる業でしょう。
相手が自然ですから手も足も出ませんが、風も雨も半端ではなくなってきた今、改めて自然に対し素敵なマナーを発揮したいものです。
原発の汚染水もしかりです。
物の豊かさや便利さばかり追求する社会は、よく考えてみると、この上ない自然に対して無礼な行為になっていると思います。
だから自然が悲鳴を上げているのかもしれません。
時にはわずらわしさから解放されて、空気が澄んだ美しい夜空を見上げ、虫の音に耳を傾け、自然に真摯な態度で向き合う大切さをみんなで感じたいものですね。