マナーうんちく話1764《逝き方の選択とそのお作法・不作法①》
「人生100年」という言葉がすっかり定着してきた今、老後に関する様々な研究や調査が実施されています。
65歳以上の高齢者を対象にしたアンケート調査もあれば、若い世代からシニア層まで幅広い層を対象にしたものなど多岐にわたるので、一概に結論を出すわけにはいかないでしょう。
私は「シニアライフアドバイザー」「健康生きがいづくりアドバイザー」「マナー講師」として《高齢期を【幸齢期】にするため》の講演を全国各地で行っていますが、かれこれ10年経過しました。
概ね60歳以上の方が対象ですが、数えきれないくらい多くの高齢者とご縁を頂くとともに、多くのことを直に教わりました。
デスクの前のパソコンからでは得られない、いわゆる現場の生の声です。
高齢者の不安もしかりです。
ほとんどの高齢者は多かれ、少なかれ多様な不安や心配事を抱えています。
現時点で直面している難題もあれば、数年先、10年先、20年先の不安や心配事もあります。
中でも私が講演会の席で耳にした不安は「健康」に関する不安で、地域に関わらず最も大きなウエイトを占めています。
歳を重ねれば重ねた分、内面も外面も若い時には思いもしなかったことに遭遇します。このことは高齢者と同じ視点に立たないとわからないと思います。
白髪やシミやシワが増え、髪の毛も薄くなります。体形も大きく変化し、体力や内臓の衰えも感じるようになり、さらに生活習慣病等の心配も出てきます。
目は薄くなり、耳も遠くなります。
食べ物を飲み込む力も衰え、免疫力も低下し、加えてがんや認知症がとても心配になります。
免許証の返納も視野に入れなくてはいけません。
この様に長寿になればなるほど、高齢者は健康を意識するようになるわけですが、食生活、睡眠、適度な運動の重要性はマスメディアでも多々取り上げられています。
これからは発信される情報に一喜一憂するのではなく、自分の健康をセルフマネージメントできるような、総括的な取り組みが必要になってくるでしょう。
人生100年時代になったのですから、健康に関する学校教育の在り方も変わるかもしれませんね。
「お金」に関する不安も多くの人が抱いていますが、現在のシニアは学校時代に商業系以外の学校ではほとんど金融教育は受けていません。
それが今になって響いてきたという感がありますが、健康面もしかりです。
日本は戦後とても速いスピードで長寿が進展したので無理もないことだと思いますが、健康管理や資産運用などに関する教育がこれからは必要だと考えます。
さらに老後の「孤独」や「孤立」も深刻な課題になります。
高齢期を【幸齢期】にするためには、周囲との良好な人間関係はとても大切ですが、本音で何でも話せる相手が近くにいないと、老後の生活はいくら資産があっても寂しくなるのではないでしょうか。
高齢者に資産運用を勧めるより、孤独対策の方がはるかに大切だと私は思いますが、如何でしょうか・・・。
加えて「生きがいづくり」も避けて通れない項目でしょう。
生きがいという概念は日本独特のものだと思いますが、現役を過ぎ仕事が無くなれば、充実した生活を送るうえでとても大切になってきます。
「健康」と「生きがい」は両輪のようなものですが、わたしはこちらの方をお金より優先するので、お金はそんなにありませんが不安はあまり感じていません。
恐らくこのような人は多いと思います。