マナーうんちく話1790《縁起担ぎと恵方巻》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

「光陰矢の如し」とか「1月はいぬる」といわれますが、月日の経過を早く感じる人も多いと思います。

特に年齢が上がるにつれ、毎日の体感時間が早くなっていくのを実感しますが、如何でしょうか?

常に新しいことに挑戦するとか、新しい刺激を取り入れている人は時の流れをゆったり感じるそうです。
逆に何も考えず生きている人は月日が早く流れると感じるとか・・・。

あなたはどのタイプでしょうか?

また人は19歳を境にときめきが薄れてくるといわれますが、いくつ年を重ねても、ときめきも挑戦する心も大切にしながら、充実した人生を歩みたいものですね。

ところで平成最後の睦月もあとわずかで、間もなく節分。

ちまたでは「恵方巻」の商戦が華々しく繰り広げられ、今や年中行事としての存在がとても大きくなった気がします。
恐らくほとんどの人が恵方巻を食されるのではないでしょうか?

ちなみに1600年の終わり頃に酢を使用する「寿司」が普及し、1700年の中頃になって「巻き寿司」が登場したといわれています。

江戸時代になると平和な社会になり、それに伴い文化や食文化が発展し、料理のレパートリーも拡大して、やがてそれらに遊び心が加味され「巻きずし」になったのでしょう。

最初は「かんぴょう」「キュウリ」「沢庵漬け」「奈良漬」などが具材として使用されたようですが、具材が1種類だけでは寂しいので、現在のように贅沢嗜好になったわけです。

それにしても今の恵方巻は大変豪華になりましたね。
江戸の人もさぞかし驚いていることだと思います。

ところで今や世界屈指の飽食の国、美食の国になった日本で、多くの人が当たり前のように巻きずしを丸かじりするのは、これもひとえに「縁起」を担いでのことだと思います。

そういえば日本人は常に「うらない」や「しきたり」に囲まれて生活しているようですね。
程度の差こそあれ、ほとんどの人がそうではないでしょうか。

「そんなものは迷信」と一括する人もいるでしょうが、多くの人は迷信だと理解はするものの、周囲の人がそうすれば、それに従って振舞うのでしょう。
「しきたり」にはそのような側面があると思います。

しかし恵方の方向を向いて、巻きずしを丸かじりする縁起担ぎも、度を過ぎると考えものです。

「うらない」と「のろい」は同じ漢字です。

特定の人に物理的手段ではなく霊的手段により、災いがかかるように神仏に祈れば「のろい」になりマイナスのイメージになります。

しかし災いから逃れようと祈れば「うらない」でプラスのイメージになりますね。

「うらない」も「のろい」も紙一重ということでしょうか?

縁起を担いで、恵方巻を黙して食べる姿は好意的にとらえると微笑ましいかもしれませんが、大量生産の結果、売れ残った大量の巻きずしの廃棄のシーンは醜く感じます。

出来る限り見たくありませんね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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