マナーうんちく話544≪薔薇で攻めるか、それとも恋文か?≫
紅葉前線が到来し紅葉便りが気になる中、全国津々浦々において日本の秋を謳歌する楽しいイベントが目白押しの季節になりましたね。
各地で繰り広げられる様々な儀式が気になるところですが、今回は「儀礼」と「礼儀」の違いに触れてみたいと思います。
一定の規則に従って行う神事や仏事や公事や作法は儀式と呼ばれます。
ちなみに「公事」は「こうじ」と読めば政府や官庁などの公の仕事をさし、「くじ」と読んだら古代・中世における朝廷の政務や儀式のことです。
また儀式は英語ではセレモニー(ceremony)と表現されます。
そして一定の形式にのっとって行われる、宗教的な儀式や慣習によって形式が整えられた礼式を「儀礼」と表現します。
ある状態から違う状態に移る《通過儀礼》の「七五三」「成人式」「結婚式」などはおなじみです。
加えて一般的には葬儀と呼ばれている死者を葬る「葬送儀礼」があります。
これは、従来は宗教観が深く反映されていましたが、現在は散骨や樹木葬などもあり、かなり様子が変わってきたようですね。
そして主に冠婚葬祭で使用される場合が多いようですが、正装として着ていく服が「礼服」で、格式により「正礼服」「準礼服」「略礼服」にわけられます。
また警察官や自衛隊員や消防隊員などが着用し、冠婚葬祭に着る「儀礼服」もあります。
さらに日本は部屋に入る時にはき物を脱いで入る文化を有する国ですが、部屋に入る時に靴を脱ぐ行為などの秩序付けられた行為一般も「儀礼」と表現されます。
身振り、手振り、言葉によって心を通わせる「挨拶」も儀礼と言えるでしょう。
総じて儀礼は「形式」をさす場合が多いようです。
これに対して「礼儀」とは「思いやり」「感謝」「尊敬」の気持ちを抱くことです。
ただし抱くだけでは相手に伝わらない場合が多いわけで、これらの気持を態度や表情や言葉、さらに文章などで具体的に表現しなければいけません。
その表現の仕方が「作法」です。
つまり「礼儀」と「作法」の両側面を有するものが礼儀作法になります。
表現の仕方は国々の国民性、気候風土、食べ物、文化、歴史、宗教により異なります。
加えて時代と共に変わる不易流行的な側面を有しています。
大切なことは儀礼の意味や意義を正しく理解することです。
このコラムでいろいろと触れておりますので参考にしてください。