マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
今年は半端ではない豪雨や台風の影響で季節の移ろいがややスロウのようですが、11月7日は二十四節気の一つ「立冬」です。
冬の始まりを意味する言葉ですが、では今は冬か?秋か?と聞かれれば難しいところですね。
現在使用されている新暦の定義では冬は12月と1月と2月ですが、旧暦では立冬から来年の立春の前日、つまり豆まきをする節分までが冬と表現されます。
ややこしいですが、長い・長い歴史の中で、新暦になってまだ150年くらいですから、旧暦と新暦が混然となっているのも無理のない話です。
また冬は「初冬」「仲冬」「晩冬」に分かれますが、冬の季語で「初冬の候」という言葉があります。
時候の挨拶としてよく使用されますが、タイミングとしては立冬から11月22日の二十四節気の一つ「小雪」の頃がお勧めです。
この時期はすっかり日差しが弱まり、日が短くなると同時に木枯らしが落ち葉を舞い散らす時期でもあります。
だから「初冬の候、木枯らしが吹きすさぶ頃となりましたが・・・」などの文面の挨拶が目立つようにもなりますね。
そしてその年に初めて降る雪やみぞれを「初雪」と言いますが、気象庁から発表されます。
加えて晩秋から初冬にかけて吹く北寄りの冷たい風が「木枯らし」ですが、こちらは「木枯らし1号」として発表されます。
いずれも、この便りを聞くと本格的な冬の到来を感じさせられます。
現在は暖房器具も衣服も食べ物も照明器具も非常に恵まれていますから、よほどのことがない限り、飢えや寒さで命を落とすことはありませんが、昔は大変です。
従ってこれから「厳しい冬に向かう頃」と、厳しい冬が開けて「暖かい春を迎える時期」は、暦の上での表現も大きく異なったことでしょう。
特に春を待ちわびる言葉は希望に満ち、浮き浮きした内容ですが、冬へと向かう時期の季語は危機管理的要素が濃いように思います。
冬のど真ん中、つまり仲秋の頃の「冬至」は特別な意味合いを持っています。
「一陽来復」という言葉がありますね。
いずれにせよ、これからは栄養、睡眠をしっかりとり、ストレスをためないよう元気でお過ごしください。
この時期は「つるべ落とし」ともいわれ、夕方になると急に暗くなるので運転にも気を付けて下さいね。