マナーうんちく話138≪贈り物を渡す時のマナー≫
梅雨時の風物詩といえば紫陽花ですが、この時期は合歓の花が旬を迎えています。
夫婦が共寝する姿によく似ているので「合歓の木」と名付けられたようですが、夕方になって咲くピンク色の花はとても幻想的です。
蒸し暑い夕方に、合歓の花が風に吹かれている様子を見れば心が和みます。
ところでこの時期は《お中元》を贈ったり、頂いたりする頃でもあります。
お中元はお歳暮とともに季節の贈り物ですが、贈る側も、贈られる側にもマナーが存在します。
虚礼にならないためにも、正しい知識やマナーを身に付けたいものです。
ちなみにお中元は上司や先輩や生家へのご機嫌伺です。
品物を贈ることばかりに気をとられずに、直接伺い、「いつもお世話になりありがとうございます」と、日頃の感謝を述べに行くのが本来の姿です。
できる限り世話になった人に直接出向いて、顔を合わせて挨拶することを心がけて頂ければと思います。
お中元は贈る時期も大切です。
昔は満月の頃とされていましたが、今は7月15日まで、あるいはところにより8月の15日までとされているようです。
ではタイミングを逃がしたらどうすればいいでしょうか?
お中元の時期が過ぎたら「暑中お見舞」、もしくは「暑中御伺」がいいでしょう。
但し立秋を過ぎたら「残暑御見舞」になります。
ただお中元は「これから先も何卒よろしくお願いいたします」という気持を形で表現するものですから、一度きりにするものではありません。
今回限りの場合は「御礼」として贈るのがお勧めです。
またお中元は頂いた側にもマナーがあります。
お中元が届いたら、「無事に品物が届きました」ということをできる限り早めに知らせて下さい。
親しい間柄であれば電話でもいいでしょう。
葉書や手紙ならよりいいと思います。
相手の気づかいに感謝の気持ちを添えるとともに、「健康でいて下さい」というような、相手に対しての思いやりの言葉もぜひ加えて下さいね。
気になるのは、お中元を頂いたときのお返しです。
マナー講座で参加者に尋ねると、「お中元」「お歳暮」を頂いたときに、お返しは「する」と答える人が多いようです。
頂いたら丁寧なお礼は必要ですが、「お返し」は不要です。
気になるようでしたら、時間をおいて、お中元にしないで、名前を変えて「暑中御見舞」などとすればいいでしょう。
私はお中元もお歳暮もよく頂きますが、電話と葉書による御礼だけで済ませることが多いです。
たまに旅行の土産を現地から贈るようにしています。
なおお返しに「寸志」「粗品」、あるいは「志」などの表書きはやめてくださいね。