マナーうんちく話535≪五風十雨≫
暦の上では春ですが、「春は名のみよ 風の寒さや・・・・」と歌われるように寒さはまだまだ続きそうです。
それどころか実は今が一年で最も寒い頃で、只今立春寒波に見舞われています。
A型とB型のインフルエンザも猛威を振るっています。
しかし裏を返せば、一年で最も寒さが厳しくて、辛い時が、本当は一番上昇気流に乗れる時で、希望が持てる時かもしれませんね。
ところで立春は二十四節気のスタートになる日で、一年の起点とされました。
これからは日ごとに日差しが長くなり、寒さが緩んでくるので、前向きになれる日でもあります。
だから先人はこの日を一年のスタートにしたのでしょうね。
「八十八夜」や「二百十日」は立春から数えて88日目と210日目になります。
今のように食べ物も、暖房器具も豊かでなかった厳寒の冬は大変厳しかったので、それだけ春が待ち遠しかったわけですね。
「春告げ草」「春告げ鳥」「春告げ魚」等、季節の植物や鳥や魚にもこのような名前を付けて春の到来を待ち望み、喜んだ気持ちが理解できます。
ちなみに「春」の語源は晴れる日が多くなるので「晴る」が春になった説と、草木の芽が「張る」が春になった説、加えて万物が「発る」が春になった説などがいろいろありますが、いずれも希望が持てる前向きな意味が多いのが特徴です。
また偉人が詠んだ名言や歌にも元気づけられる内容が多いのがこの時期ですね。
テレビで話題の西郷隆盛の「耐雪梅花麗」という言葉も、この時期に勇気を与えてくれそうです。
明治の立役者の名言には重みがありパワーを感じます。
梅は春告げ草として縁起物にもなっていますが、厳しい寒さを耐え忍び、春に一番にかぐわしい香りとともに可憐な花をさかせる。
つまり、いろいろな苦労や苦難に耐えたら、人間が成長できるという意味です。
さらにこの時期に縁起がいい諺があります。
このコラムでも一度紹介いたしましたが「立春大吉」です。
邪気払いのお札としても有名です。
4つの漢字が全て左右対称になっているので、鬼がやってきて、家に入る前に読んでも、家に入って振り返ってみても入ってみても同じように見えるので、家に入ったかどうかわからなくなって錯覚して、結局もどってしまうので、縁起がいいとされています。
自分で縦書きに書いて、寝室や勉強机の前に貼っておくと、これからスタートする一年、何かいいこと起こりそうですよ・・・。
2月は「衣更着」の異名があるように、日差しは確実に伸びていきますが、寒さはぶり返します。
辛いことや悲しいことが起きて心が沈んだ時に「立春大吉」に元気をもらうのもお勧めです。
また2月は「如月」とも呼ばれます。
寒い時期ですが、春の兆しが実感できる時でもあります。
色々な春を探しながら、寒い季節を賢くお過ごしください。