マナーうんちく話1610《節分にはなぜ豆をまき、恵方巻を食べるの?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

2月3日は「鬼は外」でおなじみの節分です。
節分はいまでは2月3日しか話題になりませんが、本来は季節の分かれ目ですから一年に4回あります。

立春、立夏、立秋、立冬の前日が節分です。
二十四節気の始まりは立春で一年がスタートする日です。
つまり正月ですから、その前日の節分は今の大みそかのようなもので、特別に大切な日であったわけです。

だから二月三日がメジャーになったと考えられますが、厳しい寒さの冬から暖かい春を迎える喜びが大きかったようですね。

ではなぜ節分に豆をまくようになったのでしょうか?
これには非常に複雑な歴史が反映しています。

豆をまくようになったのは室町時代ころからだといわれていますが、もとは正義のヒーローがやってきて目には見えない鬼を退治したという内容だったそうですが、今は少し様子が変わって鬼がやってきて、それに向かって豆をまきます。

従って豆まきをするマメは、本来は正義へのお供え物であったという考えもあるようです。

しきたりや風習は長い時間の経過を経て様々な形に変化しますが、新春を迎える節目に当たり、邪気を払う点では一致しているようですね。

またなぜマメなのか?疑問をお持ちの方も多いと思います。
生きることは食べることですが、特に米、麦、粟、黍、豆は昔から日本人にとっては命をつなぐ貴重な食べ物です。

五穀豊穣という言葉がありますが、この五穀のなかでもコメに次いで大切な食糧が豆です。

ちなみに五穀には邪気を払う効果あると信じられていたようで、別にコメをまいてもいいわけですが、米をまいたら後の処理が大変ですから豆になったと思われます。
加えて「豆=マメ(健康)」に結び付けた説もあります。

また豆まきのスタイルは畑に豆をまくようなしぐさがお勧めです。
つまり豆まきスタイルで豆をまくことにより春からの方策を祈るわけですね。
加えて豆は火に通しますが、鬼は火が嫌いですから焼いた豆を使用します。

さらに鬼は嫌な臭いやトゲが苦手です。
鰯の頭と葉がとがった柊を戸口に飾るのはそのためです。
このお呪いは鬼を寄せ付けないお呪いですが、「鰯の頭も信心から」という諺がありますね。

一方鬼を退治するのではなく積極的に新春に福を呼び込もうとする行事が「恵方巻」ですね。

江戸末期の江戸のノリ屋さんの戦略という説がありますが確かではないようです。
歳神様が宿る方向、つまり恵方は毎年変わりますが、その方向に向かって、福を巻き込む巻きずしを、縁を切らないように、丸ごと、黙して食べるという滑稽な食べ方ですが、意外に人気が高いようですね。

2018年の恵方は南南東ですから、心で願い事をしながら、丸ごと一本を食べれば縁起が良いとされているようです。

ちなみに鰯の頭も信心からという意味は、とるに足らないようなものでも信じれば救われるという意味です。

ひとえに売上向上の巧みな戦略と思われるこの食べ方を信じるか信じないかは人それぞれですが、丸かじりして、のどに詰まらせないようにご注意ください。

所によってはそばを食べる習慣もあるようですね。
立春が正月だから、その前日の節分の日は大晦日になるので、理にかなっている気がします。

欲張って、巻きずしとそば、どちらも頂くのもありかもしれませんね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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