マナーうんちく話622≪世界平和記念日と日本の礼儀作法≫
初日の出を拝みに出かけられた人も多いと思います。
近くで拝むことができればそれに越したことはないのですが、なかにはかなり遠方まで無理して出かけられた人も多いのでは・・・。
確かに初日の出にあやかることができれば、なんとなく縁起がいいように思え、苦労の甲斐がある」というものでしょう。
ではなぜ初日の出を拝むようになったのでしょうか?
今から1300年位昔のお話になります。
国家としては世界屈指の長い歴史を誇る日本には、実にユニークな物語がたくさんあります。
天武天皇の命を受け編集された、日本最古の歴史書である「古事記」に、「天の岩戸開き」という物語があります。
太陽神である天照大神が、弟君の乱暴な行為に心痛められて、岩でできた天戸という洞窟にかくれてしまいました。
そうするとこの世はたちまち闇になり、多くの禍が起こりだしました。
そこで非常招集された八百万神が集い、「どうすれば天照大御神を岩戸から出せるか」について作戦会議を開きます。
実行された作戦は「天宇受売命(あめのうずめのみこと)が、岩戸の前で面白おかしく踊るというものでした。
神々がこぞって爆笑するので、天照大神も気になって岩から身を乗り出され、この瞬間に注連縄が張られ、結局外へ出てしまわれたわけです。
すると再び日が照るようになり、生き物が元気を取り戻しました。
つまり正月に初日の出を拝むのは「今年一年間、太陽の恵みを存分に受けられますように」との願いを込めるわけです。
日常生活において、太陽の存在のありがたさは古今東西普遍です。
縄文時代、弥生時代、古墳時代、飛鳥時代と歴史はさかのぼりますが、古事記は712年に編集されています。
そんな昔の物語に誘われて、今でも多くの人がその影響を受けているわけですね。
不思議といえば不思議な気がしますが、このようなことは多々ありますね。
ちなみに「ご来光」とは、日の出を敬った表現で、高い山の頂上で見る荘厳な日の出のことです。
おそらく日本独特の文化でしょう。
日本には昔から山岳信仰が根付いており、山から見る日の出は特に神秘的にとらえられたのでしょうか。
幸多い年になりますように・・・。