マナーうんちく話521≪お心肥し≫
【はじめに】
幼い頃はクリスマスや正月を指折り数えて待ちましたが、今思えば当時はとても時の流れがゆっくりだったような気がします。
それが歳を重ねてくると何から何までがあわただしくなるせいか、時の流れを非常に早く感じるようになりましたが、いかがでしょうか。
昔の人はとても勤勉で朝から晩まで仕事に精を出していたようですが、それでいて心と体が喜ぶ多様な行事を上手に取り込んでいました。
「ハレ」と「ケ」が程よく調和していたということですね。
だから日常生活が充実していたのではないでしょうか
【ストレス社会】
現在の日本人は当時に比べるといろいろなものを手に入れました。
物質的な豊かさ、利便性、長寿、自由などなど・・・。
しかし豊かさや長寿の裏には多くの矛盾が生じているのも確かです。
人と人との絆が希薄化し無縁社会に陥り、加えて多くの子どもも大人もストレスを抱えています。
病気ではないけど、心も体も元気がない。
どこか虚しい、一抹の寂しさがぬぐい切れない・・・。
日常の生活は、物に恵まれそして大変便利になったけど、幸福感はほとんど味わえない。
明治維新以後日本は欧米諸国から様々な物や文化を輸入しました。
西洋のマナーもしかりです。
加えて精神的なイライラを「ストレス」として処理するようになりました。
ストレスという言葉は明治以降に入った言葉ですが、それまではあまり日本人にはなかった概念ではないでしょうか。
あえて言えば「けがれ」だと思いますが、気を枯らさない暮らし方は多くの先人が「生活の知恵」として残してくれています。
自然と共生し豊かな感性をはぐくみ、周囲の人とも思いやりの心を発揮しあい、とてもいい関係を築いてきたわけですね。
とにかく昔の人は自然や人と仲良くすることがとても上手だったように思います。
だから貧しくとも幸せを感じることができたのでしょう。
世界屈指の物質的な豊かさや利便性や長寿や平和を手に入れながら世界屈指のストレス大国になっている現代人が見習うことも多いみたいです。