マナーうんちく話662《冠婚葬祭マナー2、「冠」のいわれと内容①》
お歳暮やクリスマスプレゼントに縁が深い人は多いと思います。
恐らくお歳暮とクリスマスプレゼントの両方を、贈ったり贈られたりする人が多いのではないでしょうか。
贅沢な話です。
そして、これらは贈っても贈られてもうれしいものですが、これらの文化は全く異なります。
お歳暮は純国産文化で「水引」を使用するケースが多いようですが、クリスマスプレゼントは明治以降に欧米から伝わった文化で「リボン」が多いですね。
では水引とリボン、その目的の違いをご存知でしょうか?
順を追って詳しく触れてみますので贈り物をする際の参考にしてください。
最近では、贈答品に水引を使用するより、水引や熨斗紙が印刷された「熨斗紙」やリボンのほうが一般的になりましたが、水引は日本古来の文化です。
意味や由来を正しくご理解いただければ嬉しいです。
古代にものを束ねるのに用いたのが水引で、婚礼用の祝儀樽に注連縄を掛けて結んだのが、その始まりだと考えられています。
恐らく麻や藁の縄が主流だったと思われますが、やがて和紙を縦に細長く切って細い「こより」にして、それにのりを引いて、乾かして、固めたものになりました。
それがいろいろな進物用の結び紙などを結ぶ「飾り紐」になり普及したのでしょう。
また結び方や水引の色にも、慶事と弔事によりいろいろな違いがあり、複雑多様ですから、自分でひもを作ったり、買って結ぶケースは極端に少なくなりましたね。
加えて大正時代以降になると印刷技術が格段に進歩して、手軽に利用できる「のし紙」や「封筒」がでまわるようになりました。
【水引の結び方】
用途に合わせていろいろな結び方があるので、その意味を正しく理解して間違えないようにしてください。
〇蝶結び
この結び方が一般的で「リボン結び」ともいいます。
何度でも結べるのが特徴です。
だから「入学祝」「長寿の祝い」「昇進祝い」など、何度あってもうれしい祝いごとに利用します。
ちなみにこれはあまり知られていませんが、蝶結びの「蝶」は蚕(かいこ)の「蛾(が)」を意味します。
では、おめでたい結び方になぜ「蛾」が登場するのでしょうか?
日本は昔から絹貿易で栄えましたが、蛾は絹を生み出すので大変縁起が良いと考えられたわけです。
〇あわび結び
「淡路結び」ともいわれ、両端を引くとどんどんほどけなくなるので、結婚式などにも使用されます。慶事、弔事に使用されます。
〇真結び
「結びきり」ともいわれ、比較的簡単に結ぶことができますが、一度結んだらほどけないので、一度きりの祝い事や弔事に使用します。
以上色々な結び方がありますが、その目的は人と人とのかかわりという意味が濃厚です。ほかにも「未開封」とか「魔除け」の意味もあります。
贈り物に対していろいろと心を込めたということでしょう。
次回に続きます。