マナーうんちく話1486《便利な暮らしから「丁寧な暮らし」のお勧め》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

現在地球上には190余りの国が存在し、約76億人の人が生活していますが、中でも12700万人の日本人は大変豊かで便利な暮らしを謳歌しています。

勿論それ自体は素晴らしいことで、異論は有りません。

しかし全てそれがいいことずくめではありませんね。
日本人の幸福度ランキングは世界中の中でも50位前後であり、必ずしも物の豊かさや便利さに比例していません。

つい1世紀前までは暦も旧暦で、自然と寄り添って暮らし、生活の中には常に自然が有りました。
「暑さ寒さも彼岸まで」がごく当たり前の生活だったわけですね。

着るものもしかりです。
「衣替え」という風習は、自然の移ろいに合わして素材を変える四季の豊かな日本独特の文化です。
食べ物も旬の恵みを頂くのが常でした。

だから毎日生きていることが実感できるのではないでしょうか。

今は何もかも豊かで便利になり過ぎたせいで、自然を感じる機会が少なくなった気がします。
都会暮らしの人は特にその傾向が強いのではないでしょうか。

生きている実感とは、暑いも寒いもしっかり感じて命を感じることです。

今人工知能が急速な勢いで開発され、世の中ますます便利になって来ています。
便利になりそれを謳歌することは確かに素晴らしいことかもしれませんが、こうなると人は益々怠惰に流されてしまいそうな気がしてなりません。

豊かになり便利になればなるほど命を感じる機会は薄れていく気がします。
食事がいい例です。

いつの時代も「生きることは食べること」です。
今の様に文明が発達していなかった時代は、人が来ると馬に乗り獲物を取りに狩りに行かなければなりません。

そして仕留めた獲物を料理して客人に振舞うわけですが、大変なエネルギーが必要です。

「頂きます」という言葉は、自分の命を生き長らえるために、狩りで仕留めた獲物の命を頂くという意味です。

そして「ご馳走様」という言葉は、私を持て成すために馬に乗って走り回って獲物をしとめて、料理して食べさせてくれてありがとうという意味が込められています。

まさに生きるために全力を投入していたわけですね。
丁寧に生きるとはそのような意味ではないでしょうか。

いくら時代が便利になろうとも、生きることは食べることに変わりは有りません。食べ物には真摯に向き合い、丁寧な食事を心掛けて下さいね。

加えて、自分の世界をしっかり持ち、今この時を丁寧に生きたいものです。

つまりいくら便利になっても、当たり前のことを、当たり前に、心を込めて行うようにしたいものです。

さらに四季折々の時間を丁寧に生きることで、日々の暮らしは格段に豊かになります。

日本には季節に相応しい美しい言葉が沢山ありますが、日常の挨拶に季節の言葉を積極的に取り入れるのもお勧めです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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