マナーうんちく話535≪五風十雨≫
クールビズという言葉が産まれて10年以上経過しますが、四季が明確に分かれている日本には昔から「衣替え」といって、季節に応じた衣装に着替える風習が有ります。
昔は、一般庶民は衣装を季節に合わせて着変えるほど沢山持っていませんので、この習慣は平安貴族に端を発します。
教養も風流も持ち合わせていた平安貴族ですから、季節にマッチした衣装に取り替えることで、季節に寄り添って心豊かに暮らしていたようですね。
さりとて昔のことですから、今と違って着物はそんなに簡単には作れません。
貴族しかりです。
だから着るものは非常に大切に扱っていました。
洗い張りをしたり、糸の状態までほぐしたり、兎に角大事に扱うのが当たり前の社会だったのでしょう。
のリサイクルの最先端を走っていたのかもしれませんね。
時代や状況は現代社会とは比較にならないかもしれませんが、衣服を大切に扱って、長く着ることはとても大事なことだと思います。
大量生産、大量消費で経済が回っている時代と逆行しますが、一着の衣装を大事に扱い、長く持たせる精神は見習いたいものですね。
衣替えを機に衣装の総点検をするのもお勧めです。
そして暮らしにめりはりをつけることでリフレッシュが可能になり、豊かな生活を謳歌出来ます。
暑いから有無を言わずクーラーに頼るのではなく、暑さを上手にしのぎ、加えて暑さを利用して、夏を思い切り謳歌するのもいいでしょう。
部屋の中のインテリア等にも工夫を凝らせばなおいいかもしれませんね。
6月の声を聞けば気分的には夏ですが、夏がすぐそこに来ている6月は、全てのエネルギーが満ち溢れている時でもあります。
しかし6月11日は暦の上では「雑節」のひとつ「入梅」です。
梅の実が熟す時期にふる長雨を意味しますが、元は「黴雨」です。
じめじめしてくるので衛生面には注意したいものです。
睡眠とバランスのとれた栄養をしっかり取って体力を蓄えて、年の後半に備えて下さいね。
また雨の風情を楽しむのもお勧めです。
雨に似合う花が何と言っても紫陽花だと思いますが、既に咲き始めている所もあります。
雨に打たれてひっそりと咲いているその風情は日本人の感性に沁みるようです。
そして食べ物では、「姿良し、香りよし、味もよし」といわれる鮎がお目見えします。
鮎は季節毎に呼び名が変わるくらい日本人に親しまれていますが、最も華々しく躍動する時期は夏です。
香魚ともよばれる気品高い「鮎の塩焼き」で、一匹丸ごとの魚の食べ方の練習もお勧めです。
「マナーうんちく話561《鮎の塩焼きの正しい?食べ方》」を参考にして下さい。