マナーうんちく話1456《日本人なら知っておきたい「端午の節句」に込められた多彩な意味》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

ゴールデンウイーク後半は「憲法記念日」や「みどりの日」がありますが、ビッグイベントは何と言っても「こどもの日」でしょう。

吹きわたる薫風を受け、力強く鯉のぼりがなびく姿は、爽やかな季節の風物詩であり、平和と繁栄のシンボルでありますね。

5月5日は「こどもの日」であり「端午の節句」です。
ちなみに「端午」とは月の最初の「午(うま)」の日のことです。
「午」は「五」に通じ、五月五日はお目出度い五の数字が重なるので祭礼を行う日になったとか・・・。

日本には江戸幕府により定められた5つの公的な行事である「五節句」がありますが、それぞれが大きな季節の節目に当たるので、昔から親しまれてきて現在に至ります。

今まで五節句については何度も触れてきましたが、再確認の意味も込めて再度触れておきます。

1月7日は七草粥でおなじみの「人日の節句」、3月3日はお雛様の「上巳の節句」、5月5日は五月人形の「端午の節句」、7月7日は彦星と織姫が逢瀬を楽しむ「七夕」、9月9日は菊酒を飲む「重陽の節句」です。

また日本は稲作を中心とした農耕文化で栄えた国ですが「神人共食」の文化が存在する国です。

「花見」や「正月のお節料理」、加えて「神人共食箸」である「祝い箸」がそれを物語っています。
だから五節句の日は、神様に御供え物をして神様と共に食事をする日でもあります。

端午の節句は鯉のぼりを掲げ武者人形を飾り、菖蒲風呂に浸かり、かしわ餅やちまきを食べます。

かしわ餅は徳川家光の時代からだと言われていますが、江戸時代は自家製のかしわ餅が多かったようです。
江戸はかしわ餅で、上方つまり大阪はちまきだったようです。

柏は新芽が出ないと古い葉が落ちないから家計が繁栄すると言われていますが、ちまきは「ちまきで故人の霊を慰めたという中国の故事がもとで、厄除けの食べ物」になったと言われています。

これから一月も立てば梅雨になるわけですが、梅雨の本来の意味は「黴雨」です。じめじめした雨季はなにかと邪気、つまり赤痢の様な病気が蔓延しがちです。

そこで菖蒲酒を飲み、菖蒲湯に浸かり、かしわ餅やちまきを食すことで、このような邪気を祓おうと試みたわけですね。

菖蒲独特の臭いが邪気を払う効果があるとされたためですが、菖蒲の葉っぱは刀に良く似ているところから、邪気を払う効果が有るという説もあります。

すでに万葉の頃からこのようなしきたりがあったと言われていますから、この伝統は是非後世に残したいものですね。子どもの健全な発育を願う親の気持ちは古今東西普遍だということです。

また「鯉のぼり」は男の子の立身出世を願うものですが、では端午の節句は男の子だけの節句か?と言うとそうでもなさそうです。花見には村人が桜の木を囲んで山の神様と共に食事をして山の神様を里にお連れします。
そして「山の神」から「田の神」になって頂きます。
これから始まる田植えが無事に執り行われ、秋に豊作を迎えるためです。

だから田植えが始まる頃に村の女性が、菖蒲で身を清め「早乙女」となり、田の神様をお迎えする神事を行います。
今でも早乙女の活躍は田植えの頃の風物詩になっています。
つまり田植えは女性が大きく関わっていたということです。

昔は女性が主役となり田植えが行われていたという説もあります。
端午の節句は奥が深いですね。米を主食にしているからには、ぜひ理解して頂きたい年中行事の一つです。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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