マナーうんちく話1440《天上天下唯我独尊》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:歳時記のマナー

優しいそよ風が吹き、小川の水がさらさら流れ、多くの花が咲き、小鳥がさえずり、全ての生き物が春の息吹を謳歌する絶好の季節です。

ところで四季が明確に分かれ国土の7割以上山で覆われている日本では、四季折々の山の様子を擬人化して春は山「笑う頃」、夏は「滴る頃」、秋は「装う頃」、冬は「眠る頃」と表現していますが、中国は四季を色で分類しています。

春は青、つまり青い春で「青春」の言葉の語源になっています。
ちなみに夏は赤、秋は白、冬は黒になります。

日本の文化は中国の影響を大きく受けていますが、最近では欧米文化におされぎみですね。

今ではすっかり忘れ去られてしまった感が有りますが、仏教の国日本人ならクリスマス以上に大切にしてほしいのが4月8日の「花まつり」、つまりお釈迦様の誕生日ではないでしょうか。

「仏生会」といって、お寺の境内では花で飾った小さな花御堂に童形の釈迦を設置して、甘茶を3回頭の上から杓子でかけてお参りします。
この時にお寺で甘茶を頂き、無病息災を祈願します。

クリスマスはキリスト教が日本に伝わってからですが、一般に普及したのは戦後です。これに比べ花まつりの歴史は古く、奈良時代にインドから中国を経由して日本に伝わったと言われています。

冒頭の「天上天下唯我独尊」の言葉をご存知でしょうか。
日本人にはとてもなじみの深い言葉ですが・・・。

お釈迦様は生まれるやいなや歩いたと言われています。
その際、右手で天を、左手で地を指してこの言葉を発したと伝えられています。

「行きとし生けるものみな尊い命を持っている」という意味です。

年の数え方には「満年齢」と「数え年」が有りますが、「数え年」は産まれた時が1歳で、正月になると1歳加算されます。
母親の胎内の子どもが宿った時点でその子の人格を認めるという考えです。

そして「天上天下唯我独尊」は、この世で唯一かけがいの無い命をどのように生きるかを問う言葉です。

世界屈指の長寿になった今の日本人が最も大切にしたい教えだと思うのですがいかがでしょうか。

暦の上では一番すがすがしい時で花見シーズンでもあります。
そして花見は山の神様をお迎えして「田の神」になって頂き、これから始まる田植えの無事を祈願する事に原点が有ります。

さらに花まつりは、百花繚乱の花が咲き誇る時期に執り行われるお釈迦様の誕生日です。
神様・仏様の国日本で一番大切にしたい時期と言えそうですね。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

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