マナーうんちく話453≪冬来りなば春遠からじ≫
睦月もいよいよ最後になり間もなく2月です。
インフルエンザが猛威をふるっていますのでご用心下さいね。
和風月名では2月は「如月(きさらぎ)」です。
厳しい寒さが続きますが、草木の芽が萌えいずる頃という意味です。
一年12カ月にはそれぞれ四季に応じた素敵な名前が付けられていますが、特に2月は春を迎える喜びに満ちた月でもあります。
ところで四季が明確に分かれている日本では、新しい季節はどのようにやってくるのでしょうか?
月日が立てば自然にやって来るものでしょうか・・・。
先人はユニークな捉え方をしています。
季節は風が運んで来るもので、人はそれをうやうやしく迎えるわけです。
そして、旧暦ではその季節の節目を暦に記しました。
つまり「二十四節季」として農作業や生活の目安にしてきたわけです。
ちなみに春は東風が運んできます。
『東風吹かば 匂い起こせよ梅の花 主なしとて春な忘れそ』という菅原道真の歌は有名ですね。
「東風(こち)」は春が近くなると東の方から吹いてくる風のことで、「梅」は寒風の中一早く春の到来を告げて咲く花で「春告花」です。
また中国から伝わった五行思想では、季節毎に色分けや方向が定められています。春は青色で方位は東、夏は赤色で南、秋は白色で西、冬は黒色で北です。
北原白秋の「白秋」という名もここからつけられているとか・・・。
そして2月4日は立春です。
旧暦では一年の始まりです。
東風と共に、青色の着物を着て春を迎えるのも風流があっていいモノです。
春の喜びが身体全体で感じられそうです。
話は変わりますが春の語源をご存知でしょうか?
色々あるようですが「張る」が有力です。
冬の間、心に込めていたものが、次第に暖かくなり、東風が吹いてきたので、芽が膨らんでくるわけですね。
また「啓蟄」には冬眠していた虫達が地中から顔を出す頃でもあります。
「春は名のみよ風の寒さよ・・・」と謳われますが、立春を境に春の気配を身体全体で思い切り吸収し、前向きに過ごしたいものです。