マナーうんちく話521≪お心肥し≫
古来日本では、八百万の神と表現されるように、山や川や海、巨木や巨岩、台所やトイレなど至る所に神が宿るとされていました。
同じように人が発する言葉にも神が宿ります。
「言霊(ことだま)」です。
「言魂」とも書き、霊的な力をもつものとされています。
昔は「言」と「事」が同一の概念と感がられていたのでしょうか?
声に発した言葉が、何等かの影響を与えると考えられていたようですね。
つまり、「良い言葉」は良い影響を与え、悪い言葉は悪い影響を与えることです。結婚式や葬式の時には、その場に相応しくないので発してはいけないとされている「忌み言葉」が有りますが、まさにそれでしょう。
また日本語は世界中の言葉の中でも大変美しい言葉と言われていますが、同時に単語が非常に沢山あり、加えて尊敬語や謙譲語や丁寧語が存在し、とても難しい言葉です。
しかし、「良い言葉」と「悪い言葉」の使い分けは誰しも簡単に出来ます。
良い言葉が良い結果をもたらすのであれば、意識的に良い言葉を発するように心がければいいわけです。
人間だれしも幸せになりたいと思うものです。
しかし幸せの明確な定義はありません。
捉え方も10人10色でしょう。
そして、幸せは「なるもの」ではなく、「感じるもの」であり「気づくもの」ではないでしょうか。
自分流に「これが幸せなんだ」と気づき、感じることが大切だと考えます。
そのためにはできる限り、感謝の気持ちと「よい言葉」を使うようにすればいいと思うわけです。
たとえば、食事は毎日のことですから、その都度「美味しい」という言葉を発し、人と接する時には何かに付け「ありがとう」「うれしい」「楽しい」「好き」等の言葉を発することが大切でしょう。
「でも」「だって」「どうせ」等の否定的な言葉は極力控えます。
また「もう年だから」「わたしなんか」のようなネガティブな言葉もお勧めできません。
自分が発する言葉で、自分の世界を限定してしまうのはさびしい限りです。
さらに言い方を前向きに変えるのもお勧めです。
たとえば「今日は疲れた」を「今日もよく頑張った」、「忙しい」を「充実している」等と良い言い方に変えてみるのもいいでしょう。
「笑う門には福来る」と昔からいわれます。
嬉しいから笑うのではなく、いつも微笑みを絶やさないから幸運がやってくるという意味です。
言葉遣いも同じ理屈で、前向きな言葉を発していれば、幸運を呼び込み、前向きな明日がやってくると信じて下さいね。