マナーうんちく話1335《「孤食」はなぜいけないの?》

平松幹夫

平松幹夫

テーマ:日常生活におけるマナー

「食は命なり」「幸福は口福から」等と言われますが、日常生活にとって「食べる」という行為は命に直接かかわることで、なにをさしおいても優先されるべきものだと思います。

育ち盛りの子ども達も、働き盛りの大人も、高齢期に差し掛かっている人達全ての人にとって、その重要性はますます高まっています。

日本は終戦直後の1945年頃は平均寿命が先進国で最下位だったようですが、それから半世紀を経過した頃には世界屈指の長寿の国になり、現在女性の平均寿命は87歳、男性は80歳になりました。

世界に誇れる数字ですが、国連が推奨している「健康寿命」、つまり自立して生活できる期間とは大きなギャップが有ります。
生活習慣病の人がいかに多いかということですね。

既にこのコラムでも触れましたが、老若男女全てが《You are what you eat》の諺を認識する必要があります。「今日食べたものが明日の貴方を作る」という意味で、食べ物や食べ方の大切さを説いています。

ところで、「食」については今まで色々と触れてきましたが、今回は比較的家庭や職場で陥りやすい「孤食」について触れておきますので参考にして下さい。

「孤食」とは一人で食事をすることです。
自由きままに、ゆったりとくつろいだ気分で、自分流に楽しく食事が出来るスタイルではありません。これはこれで素晴らしいことだと思います。

しかし2000年頃から現れた言葉ですが、単に一人で食べるというより、それにより「孤独を感じる」、あるいは「寂しい、辛いと感じる」食事の在り方を「孤食」と表現するようになりました。

そして生活スタイルや家族形態の変化により、「孤食」には様々な年代の人が陥っています。

「子どもの孤食」は食育の分野でも大きな課題になっていますが、家族一緒ではなく、誰もいないテーブルの上に食事が置いてあり、それを一人で食べるというものです。

家族や親のそれぞれの事情があるので、ある程度避けられないかもしれませんが、この状態での食事だと「自分スタイルの食事」になってしまいます。たとえば箸の持ち方や、食べ方、姿勢なども自己流になるのが気になります。
加えてコミュニケーション能力が欠如する恐れが大きいと感じます。

これらは目先の算数や国語の点数に影響が出ることはあまりないので、親も認識できないかもしれませんね。

しかし社会人になる時、あるいは、なった時には非常に大きな影響が出て来ると考えます。長い間学生の就職支援や若者や中高年の再就職支援に関わっていますが、痛切に感じます。

「高齢者の孤食」も由々しき事態です。
食生活が贅沢になったせいでしょうか、現代は柔らかいものが好まれるようになっています。

たとえばステーキなどでも「柔らかい=美味しい」という構図になっていますが、一人で会話もなく、柔らかい物を食べる食事だと咀嚼回数が非常に少なくなり、舌の筋肉が衰えます。こうなると認知症の危険度も増してくるということにもなりかねません。

ではどうするか?
次回に続きます。

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平松幹夫
専門家

平松幹夫(マナー講師)

人づくり・まちづくり・未来づくりプロジェクト ハッピーライフ創造塾

「マルチマナー講師」と「生きがいづくりのプロ」という二本柱の講演で大活躍。「心の豊かさ」を理念に、実践に即応した講演・講座・コラムを通じ、感動・感激・喜びを提供。豊かでハッピーな人生に好転させます。

平松幹夫プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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