マナーうんちく話569≪泥より出でて、泥に染まらず≫
突然ですが、九里先まで香るので「九里香」と名付けられた秋の花をご存知でしょうか・・・。
10月の声を聞くと、秋風に乗って金木犀の甘い香りが漂っています。
つやつやした常緑の葉ですが、小さな橙色の花を咲かせるのは10月の初めごろですが、今年は9月下旬から咲き始めました。
例年より少し早い感じがしましたが、皆様の地域では如何でしょうか?
日本では「金木犀」のほうがなじみ深いようですが、原種は白い花を咲かせる「銀木犀」だそうです。
春の「沈丁花」、夏の「口なし」の香りもユニークですが、数ある花の中でも香りと言えばまず浮かぶのがキンモクセイですね。
近くまで来ると木の姿が見えなくても、金木犀が咲いているのがはっきりわかります。そしてその香りは9里先までも届くので「九里香(きゅりこう)」とも呼ばれます。
木犀や しきりに匂う 宵の程(正岡子規)
甘い優しい香りが疲れた体を癒してくれそうで、幸せの香りですね。
我が家の庭にも大きな金木犀が有りますが、手入れをする必要があまりないのが嬉しいです。
但し金木犀は実をつけることはないようです。
江戸時代に中国から日本に伝わったようですが、雄樹だけだったせいで、実がつかないそうです。
ところで、同じ秋を象徴する樹木で、食用になる実をつけるのはイチョウでしょうか。
イチョウの葉が黄色く染まってくると、丸い実を付け、それが熟してくると落ちるので、それを頂くわけです。
イチョウの木ならすべて実がつくわけではありません。イチョウには雄と雌の木が有り、実をつけるのは雌の木です。
素手でではかぶれるケースもあるので手袋をお勧めします。
ちなみに私有地は別として、街路樹として植えられているイチョウの木の下に落ちている銀杏は、もともと実を収穫するために植えているのではないので、頂いても大丈夫だそうです。
風が強く吹いた後は、銀杏拾いにもってこいですね。
「銀杏拾い」も秋の風物詩ですが、皮をむぎ火で炒ったり、茶碗蒸しに入れて食べれば最高ですね。
とにかく、銀杏やドングリや栗など、秋は拾って楽しめるのがいいですね。
香りも味わえ。味覚も楽しめる。まさに花と団子の季節到来です。