マナーうんちく話535≪五風十雨≫
暑い日が続いていますが、朝夕になると涼しい風がそろそろ吹き始め、なんとなく秋の気配が漂ってくる感がします。
柿や栗が早くも青い実をつけ、暑いさなかにも、秋を始めて感じられる頃ですね。
「秋隣」とは、ちょうどこの時期の夏の季語です。
「秋近し」という言葉もありますが微妙に異なります。
秋近しはどちらかと言えば暦の上での話になりますが、秋隣は、木々のそよぎ、空の色、風の気配、空気の乾燥の具合、草木の茂り等五感で感じる秋の予感です。
メールや手紙の時候の挨拶に、是非一言添えられてはいかがでしょうか?
確かに日中は秋の気配はみじんも感じられませんが、夜になると風の温度が急に異なってきます。
今ではすっかりなくなりましたが昔は「夕涼み」という風習がありました。
団扇を片手に夜になると外に出て、涼しい風に触れるわけですが、ご近所さんとのコミュニケーションタイムでもありました。
まだ「スローライフ」というきざな言葉は有りませんでしたが、向う三軒両隣の団らんタイムで、とてもくつろげる時間です。
今は、物は豊かになりましたが、それと引き換え、このような心の豊かさが失われたのは残念な気がします。
また、風だけでなく、虫の鳴き声にも変化が生まれる頃です。
夏の終わりを告げる風物詩は「ツクツクボウシ」です。
晩夏から初秋に発生するこの鳴き声は、どこか物悲しく聞こえますが如何でしょうか。
都会暮らしだとなかなか季節の移り変わりを肌で感じることはできません。
折角四季の美しい国に住みながら、これでは寂しいですね。
ポケモン探しが全国的に大きな話題になっていますが、四季の移ろいを察して、「小さい秋」を探してみるのもいいですね。
慌ただしさの中にあっても、このような変化をいち早く察する感性は仕事の上でもとても役にたつことでしょう。
そしてそれは、クールビズ等という言葉に踊らされるより、余程環境を大切にすることに直結すると思うわけです。