マナーうんちく話53≪接客の歴史と社会貢献≫
このコラムでは何度も初対面においては第一印象が大切と言いますが、江戸しぐさでも同じようなマナーがあります。
前回は「後引きしぐさ」でしたが、今回は「おめみえしぐさ」に触れてみます。
今流の意味とは少しニアンスが異なるかもしれません、
現在では、初対面の時は短時間で出来る限り自分の良い点、つまり姿勢、身嗜み、言葉遣い、態度、表情に心配りします。
つまり先ずは自己主張ですが、江戸しぐさは非常に謙虚な態度で臨んでいます。
たとえば初対面の人には、不必要に自分を誇張せず、むしろありのままの自分を出すと言った謙虚な姿勢です。
どちらがいい悪いは言えませんが、問題は相手がどう受け取るかです。
例えば就職の面接試験や婚活では、かなり前向きに自己アピールするよういわれていますが、時と場合においては謙虚な姿勢が必要ではないでしょうか。
婚活イベントに参加した際、相手を選ぶというより、選んでいただくという姿勢も大切でしょう。
終活しかりです。
見栄を張った後の付き合いと、謙虚さを認めて頂いた後の付き合いでは、雲泥の差があります。
婚活イベントで「カップル」は結構誕生しますが、その後続かないという話をよく聞きます。どうやらこの辺に問題が有るかもしれませんね。
江戸しぐさの「あめみえしぐさ」は、相手にありのままの姿を最初に見せて、その後の長い取引において、無理なく正直な付き合いが出来るよう心がけたものです。
持続的発展ということを考えると、意外に「お目見えしぐさ」は功を奏するかもしれませんね。
最近選挙もイメージ戦略が問われますが、戦略として作られた第一印象に不必要に執着するのではなく、人柄や政策をしっかりみきわめたいものです。
中身を見抜く力が本当に大切だと痛感します。
そのためには、豊かさや利便性ばかり追求するのではなく、時には窮地に陥ったり苦労したり、無駄と思えることも必要ではないでしょうか。
2日間に渡りお届けした「お目見えしぐさ」と「後引きしぐさ」。
江戸のビジネスマンの行動には見習うべき点が多々あります。
是非両方身につけて出来る人になって下さい。